ナビゲーター

　4年前、乗せ換え自由なナビゲーターを買った。2台ある我が家の車に、そのときの都合でナビを乗せ換え、便利に使ってきた。

　先日のことだった。中学の同級生仲間を募り、日帰りバス旅行を企画した。レンタカー屋で、中型のマイクロバスを借りた。

　Ｔ君が運転し、私がナビゲーターの役を果たすことになっていた。前夜、夜遅くまでかけてナビに経由地をインプットし、旅行ルートを決めておいた。

　こうしておけば、もう道に迷うことはない。万全な体制をとっておいた。旅行当日、ナビを持って勇んでバスに乗り込んだ。

　Ｔ君がエンジンをかけた。私は早速ナビをセットする。シガレットライターを抜き取り、代わりにナビの電源ソケットを差し込んだ。

　バスは出発した。ナビは順調に動き始めている。「よしよし。これで今日の旅行もスムーズに行くぞ」と思っていた。

　30分後、高速道路に乗った。その時であった。頼りのナビの画面が、突然消えて真っ暗になった。

　電源を何度も入れなおしてみるが直らない。本体を軽くたたいてみても動かない。シガレットライターはちゃんと火がつく。電源は来ている。

　何をしてもナビは動いてくれない。1時間後もう一度やってみたが、やはりだめだった。かくしてその日は、持ち込んだナビは何の役にも立たずに終わった。

　翌日、買った店にもって行き、修理を頼んだ。ことの顛末を話すと、「電圧の高い車につなぐと壊れますよ」という。

　家に帰り、取扱説明書を取り出して読んでみた。「本機はDC12V車専用です。DC24V車には使用できません。火災や故障の原因となります」と書いてある。

　そうか、あのレンタカーは、電圧が24V車だったのだ。私の不覚であった。乗せ換え自由なナビの、最も基本的なことを忘れていた。

　かくして、修理費もさることながら、ナビゲーターとして同級生の皆を、思っている方へなびかせることが出来なかった、悔いの残るバス旅行になった。

　しかし、「乗せ換え自由」がうたい文句のナビにしては、若干不自由さがあると皆さん思いませんか?自分の不勉強を棚に上げて・・・ひと言。
　　　（写真は、よく読んでいなかった「警告欄」）