写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

風 車

2005年11月23日 | 旅・スポット・行事
 海沿いの国道188号線で柳井市に入るころから、はるか左前方の高い山の上に、大きな風車が1基ゆっくりと回転しているのが見える。

 風力発電の風車であろう。今年になって初めて気が付いた。最近、建設されたものに違いない。

 直近で観察してみたくなった。いつもの3人組みで、弁当を買い込み、ミルで挽いたコーヒーとコールマンの小型ストーブを持ってロードスターを走らせた。

 風車は、柳井の南・平生町の大星山の山頂にある。標高は438mと書いてある。入り口が分かりにくかった西側からの道を登っていった。

 登るに従い、風車はだんだん大きくなり圧倒される。頂上の少し手前で車を止めた。ぶんぶんと不連続で不気味な、風を切る鈍い音が聞こえる。

 頂上の、風車の直下にある広場に着いた。仰ぎ見ると、羽根が頭に当たりそうな感じがする。とにかくでかい。

 説明板を読んでみた。「ドイツ製、出力1500kw、年間380万kwh/年、1200世帯分の発電量、羽根中心高さ65m、羽根直径70m、平均風速6.7m/s」と書いてある。

 家庭用電力単価10円/kwhとすると、1年間で3800万円を、自然の風が稼ぎ出してくれていることになる。

 建設費がいくらかかったか知らないが、東西南北どの方向から吹いてくる風でも、風見鶏のように、この風車は風に向かい、低コストで電気に換えてくれる。

 何といっても最大の魅力は、炭酸ガスも出さず、無公害ということであろう。口を大きくぽかんと開けて上を向いていたら、ちょうど12時になった。

 弁当を食べる傍らで、コーヒーを沸かした。風が強く、ストーブの炎は横に流れる。時間はかかったが、それでもポットの湯は沸いた。

 野外でのコーヒーは久しぶりであった。寒さが厳しいほどおいしく感じる。この日は、天気は良いが風は冷たい。我慢できず、車の中で一服した。

 自然エネルギーを利用する点では、静のソーラ発電もいいが、動の風車発電は迫力がある。頑張っているのが目で見えるのがいい。

 大星山の頂上で、毎日健気に回っている風車を見ると、「今日、俺も頑張らなければ」と思う人もいるのではないかと思う。そういう効果もこれにはあるように思った。

 風が吹けば、昔は桶屋、今は電力会社が儲かる世の中となった。背筋が少し冷えてきた。「はっくしょ~ん」。薬屋も儲かる季節となった。
   (写真は、大星山頂上付近からの「風車」) 

4 コメント

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Unknown (yoshiki@岩国ユースホステル)
2005-11-23 12:51:34
近くにも色々なものがあるのですね。風力発電、ちょっと調べてみました。

風力発電のコスト例(規模1,000kW程度の場合)

設置コスト   24~37万円/kW

設置コスト   総額 2.4~3.7億円

発電コスト   10~24円/kWh

コスト比(火力発電との比較) 約1.5~3.0倍



それにしても、ロードスターさんは、行動範囲の広い御方ですね?
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真似しました(笑) (むっく12世)
2005-11-24 06:42:24
 この記事を読んで、いつ書こうかと思っていた古いエッセイを引っ張り出してきて書きました。お気を悪くしないで下さい。

 北海道の風力発電の風車の行列は見ものですよ。一度見に来て下さい。



 それでは宜しく。
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yoshikiさん (ロードスター)
2005-11-24 08:59:15
よく調べていただきました。

こんな発電コストなら、もっと建設が進んでも良いように思いますが。

頂上からの景色も格別でした。一度お出かけください。お勧めです。
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むっく12世さん (ロードスター)
2005-11-24 09:07:43
19基も並んでいるとは、見ごたえありますね。

見に行きたくなりました。

山陰旅行をしているときに、島根県のどこかで、何基も回っているのを見たことがあります。

全国いたるところで、見られるようになるのでしょうか。
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