写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

烏骨鶏の卵

2020年10月03日 | 食事・食べ物・飲み物

 先輩の知人Hさんから電話がかかってきた。「今から珍しいものを持っていこうと思うけど家にいる?」という。物をもらえるのであれば、少々の用事は差し置いて待つしかない。間もなくするとHさんがやって来た。

 

 部屋に入るや「これ、烏骨鶏が産んだ卵。今朝と一昨日に産んだもの」と言って机の上に2個が入ったポリ袋を置いた。烏骨鶏の卵なんて、道の駅などで売られているのを見ることはあるが、じっくりと見たことはない。

 

 今年の春先のことである。Hさんが「烏骨鶏の有精卵を5個手に入れた。孵化させて、卵を生ませようと思う」と話をしたことがあった。直後、DIYで小さな鳥小屋を作り、白熱電球で37度に温度を保って孵化させたと聞いていた。

 

 5羽の内メスは2羽だけだった。そのうちの1羽が成長し卵を産み始めたのを持ってきてくれた。エサは、スーパーへ出向き、キャベツや野菜の廃棄物をもらって帰り、切り刻んで与えている。そのせいか、卵は2~3日に1個は産んでくれるという。

 

 卵は無地で薄いベージュ色。大きさは鶏の卵に比べると二回りくらい小さい。ハカリを持ち出して重さを計ってみた。2個とも全く同じで36gであった。冷蔵庫の中に置いてある鶏の卵を計ってみると54gある。重さは丁度7割がたであった。 

 

 烏骨鶏とは、ニワトリの1種で、辞書を引いてみると、「烏」とはカラスというほか、黒いという意味がある。烏骨鶏はその名が示す通り、皮膚、内臓、骨に到るまで黒色。中国では霊鳥として扱われ、不老不死の食材と呼ばれた歴史がある。栄養学的に優れた組成を持つため、現在でも一般的な鶏肉と比較して高価格で取引されている。

 

 卵も同様の理由により非常に人気が高く、産卵数も週に1個程度と少ないことから非常に高価であり、1個が数百円もするという。

 
 そんな貴重な卵を、今朝奥さんと1個ずつ割って、卵かけご飯として頂いた。ビタミンBが多く滋養強壮に良いといわれている。食べ終わった後、急に元気が出るようなことはなかったが、ことの他おいしい気がする烏骨鶏の卵かけご飯を生まれて初めて食べてみた。