写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

存在感

2020年09月11日 | 生活・ニュース

 自民党の総裁選は14日に行われるというが、候補者が出そろう前からすでに主だった派閥の領袖の意向によって、次期総裁は菅官房長官に決まったようである。これでは開かれた自民党というキャッチフレーズはお題目で、派閥の領袖による密室談議で決まったとしか言えない。

 会社勤めのサラリーマンであれば、能力のない、いやな上司と言えども、上司が白と言えば白に、黒と言えば黒にしないと、たちまち自分の首が飛んでしまう可能性がなきにしもあらずである。

 ところが、国会議員であれば、生殺与奪の権利は地元の国民が握っていて、派閥の領袖ではない。それであればいくら派閥の一員であっても、自分の意見というものはきちんと言わなければ、国民を代表した国会議員だとは言えない。

 そうはいっても、余りたてついたりすると冷や飯を食わされるのを見ていると、「もの言えば唇寒し……」で、権力者には従順になるのであろう。 

 先日、辞任を表明した安倍総裁は、7年8カ月もの長い間総理大臣を務めた。権力は長くなると腐敗するとは、よく言ったもので、安倍総理もモリカケに始まる数々の1強独裁にまつわる疑惑に何一つ明快な説明責任を果たすことなく、頬かむりをしたまま退陣しようとしている。

 しかし、しかしである。衆参国会議員の総数は710人。その内、自民党議員は397人、公明党議員を合わせれば与党議員の総数は454人にもなる。国会議員には同志はいても上司などはいない。何度も言うが、一人一人が国民から選ばれた代表である。それであれば、安倍総理にだって、おかしな点は、国会議員として自分の意見を声高に言ってもらいたい。

 黙っているのは、おかしな点を認めていることに等しい。そんな声が、与党の454人の中の、たった一人、石破茂氏からしか上がらないのはどういうことなのか。安倍首相のペットのような存在の国会議員を選んだつもりはない。言論の府で、自分の意見が言えない存在感のない国会議員は、即刻議員を辞めてほしい。