写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

夏の雪崩

2020年09月02日 | 生活・ニュース

 安倍首相の退陣表明を受けて、後継を選ぶ自民党の総裁選が始まった。岸田氏、石破氏に続いて菅氏が出馬し、3氏による選挙戦となる構図が固まった。

 本命の菅氏が出馬を表明する前に、すでに主要派閥が雪崩を打つかのように、寄らば大樹の陰とばかりに菅氏の支援を決めており、国会議員票で大きく優位に立っている中、党員投票はせず、両院議員総会方式で新総裁を選出することが決定している。

 

 自民党の両院議員の総数は394人だという。従って無派閥議員の64人を除いて、菅氏には派閥単位での総数だけで280票くらいが集まり、47都道府県連票の141票に期待しなくても菅氏が選出されることになる。  

 岸田氏と石破氏は、明らかに負け戦であることは明白であるにもかかわらず立候補した。1年後には必ずある自民党の総裁選をにらんで、止むに止まれぬ訳がそれぞれあるのだろうが、特に石破氏に関しては、それにしてもという感じがしてならない。

 

 石破氏は派閥の長であるが、同士は19人しかいない。19人と言えば自民党国会議員394人の僅か5%である。ワイドショーなどを見ていると、石破氏は、議員仲間からの評判が思わしくない。それも、高邁な考え方や政治姿勢についてではなく、人間性というか、人付き合いの面で、好きか嫌いかというと「嫌い」という人が多い。

 

 将来、自民党の総裁を民主的に目指そうという人なら、まずは数の論理を突破しなければいけない。まずは仲間を増やしてからでないと、自分の政治理念を具現化することは不可能である。

 

 確固たる政治信条を持っていることは必須であるが、その上で、人間的な魅力を備えないと石破氏はいつまでたっても孤高の一匹狼で終わるだろう。他人の力を借りるには、まずは人に好かれるような立ち居振る舞いも大切だということは、古今東西、血の通う人間に共通した必須条件かもしれない。