俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「クラッシュ」  CRASH

2006年03月26日 02時08分28秒 | 時系列でご覧ください
クリスマスが近づいているロサンゼルスを舞台に36時間という限られた時間の中で起こる、様々な怒りや哀しみ、そして憎しみや喜びといった人間模様が見事に描かれていくこの作品、そのあまりに巧みな脚本と見事な演出にほとほと感心させられてしまった。

正直言って重層的にいくつものエピソードが何人もの登場人物によって繰り広げられていく前半は、決して肯定できない、だけど現実として間違いなくある人種間の差別であったり偏見であったり、あるいは医療、介護、政治の腐敗、夫婦間の温度差といった様々な問題があからさまに容赦なく次々と描かれ、救いようのない気持ちになってくる。

ところが中盤、レイシスト(人種差別主義者)であると思っていたマット・ディロン演じる警察官の境遇を知るあたりから物語は見事にそれぞれがまさにクラッシュしながら有機的に繋がっていき、天使のマントのエピソードから悲劇的な結末となりかねない展開にも予想しえなかった心温まる結末が用意されていて、どんどんどんどん映画の世界にのめり込んでいってしまった。



良かれと思う善意が違った結果を生んだり、思いの丈が通じないもどかしさがあったりと、人と人との係わり合いにおいて人間それぞれが思い描くことに対して決して思い通りにはならないことも多いかもしれない。

だけどそれでも実はそんなに捨てたもんじゃないよという「奇跡」みたいな思いについ駆られてしまう、切ないけれどどこかに救いを残したこの物語、賞云々はさておき、とにかく心深く感じ入れざるを得ない凄いチカラを持った作品であることに間違いない。

それにしても「天使の街」という意味の言葉が名前の発祥だというこの街『ロス・アンジェルス』のやりきれなさ、それはやがてあたかも天使が見つめているかのような最後の雪が降りしきるシーンでもしかして未来へ繋がっていったと感じたと書いてしまうと、それはあまりに楽観過ぎるかな?

とにかくひとつのファンタジーとして観るもよし、人それぞれが持つ心の寂しさが見事に描かれている秀作であることに間違いない。オススメです。



今日の1曲  “ Maybe Tomorrow ” : Stereophonics

この映画の大きな魅力のひとつはマーク・アイシャムによる哀感漂う音楽でした。
そんな中、今や言わずとと知れた今や英国を代表するバンドとなったステレオフォニックスが2004年にリリースした4枚目のアルバム『 You Gotta Go There To Come Back 』に収められていたこの曲が、映画の最後に流れ、あまりに映画のテーマに一致しているように思えて何とも印象的でした。
とにかくこの映画を観たあと改めて聴くと、ケリーの独特な歌声と相まってひときわ心に響いてきます。
試聴はコチラ

"Maybe Tomorrow"

I've been down and
I'm wondering why
These little black clouds
Keep walking around
With me
With me

It wastes time
And I'd rather be high
Think I'll walk me outside
And buy a rainbow smile
But be free
They're all free

So maybe tomorrow
I'll find my way home
So maybe tomorrow
I'll find my way home

I look around at a beautiful life
Been the upperside of down
Been the inside of out
But we breathe
We breathe

I wanna breeze and an open mind
I wanna swim in the ocean
Wanna take my time for me
All me

So maybe tomorrow
I'll find my way home
So maybe tomorrow
I'll find my way home

So maybe tomorrow
I'll find my way home
So maybe tomorrow
I'll find my way home

So maybe tomorrow
I'll find my way home
So maybe tomorrow
I'll find my way home



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (ミチ)
2006-03-27 20:38:50
こんにちは♪

私もこの映画お気に入りです。

マット・ディロンをいけ好かない人物だと思っていたら、父親の面倒を見ていたり命がけで人命救助したり。

どの人物も他方向からの視点で見せてくれて感服しました。

若い警官だけはなんとかまっとうに生きて欲しいと思っていたらあの結末・・・。

やりきれなくなりました。

金沢に来たらもう一度みたいのですが・・。
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こんにちは~ (mimia)
2006-05-09 16:16:25
いち早くご覧になってたんですね。



「ER」なんか見てても思いますがアメリカの医療保険制度っていまいちよく分かりません。医者を替えることもできない?マットディロンのセクハラも度は過ぎていましたが、鬱憤晴らしの相手は黒人だからではなく、いちゃついてるセレブだったのでしょうか。



マーク・アイシャム、いいですよね。Windham Hillの頃からジョージ・ウィンストンと共にfanです。
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