![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/d3/69112b866b3709a80ff5eeff1619a717.jpg)
小学生の頃、当時の日本中の男の子がそうであったように毎週金曜日のプロレスの中継を楽しみにしていた。
ただ力道山が本当に強かったことを同時代的に実感できる世代ではなかったので、彼の死は記憶にあるけれど、どちらかというとネガティヴな印象しか残っていなかったーーー。
それにしても
「これはフィクションであり、力道山の人生をなぞっただけの伝記にはとどまらない」
という監督のコメント通り、映画「力道山」はまさに不世出の天才レスラー力道山を題材に不器用なヒーローの栄光と孤独、そして苦悩が、民族問題も含めしっかり描かれていて、とても感心した。
演出そのものは、ストーリーが途中、話を広げすぎて散漫になったためどうしても平板となってしまうところが惜しいけれど、それを補って余りあるのが28Kg も筋トレで体重を増やし(まさに「レイジング・ブル」のデ・ニーロだ)、さらにレスリングの技を学んだという力道山に扮するソル・ギョングの見事な演技っぷり。
実際の力道山はもっと流暢な日本語を話していたと思うけれど、彼の若干たどたどしい日本語が故の彼の(そして力道山の)民族アイデンティティがそこに強く感じられ、さらに大勢の現役プロレスラーの中に入っても何ら違和感のない遜色のないその肉体も、そうした自分自身の存在感の発露として見事に体現されていた。
ちなみに武藤敬司がハロルド坂田を、秋山純が遠藤幸吉をそれぞれ演じていたのはご愛嬌ものだったけれど、横綱・東波役として今は亡き橋本慎也が出演していたのはやはり切なかった。
加えてこの作品、同じ時代背景とした「 ALWAYS 三丁目の夕日」が甘口な郷愁に彩られていたのに対して、より原色に近い(どこか日活の無国籍アクション映画すら彷彿させる?)硬派で忠実な再現ぶりが素晴らしくて、今勢いのある韓国映画だからこそ出来うる、そのこだわりにも大いに驚かされた。
また驚いたといえば、力道山の理解者であった菅野を演じた藤竜也。いわゆる“ 儲け役 ”と言えないこともないけれど、決して重厚すぎず、かといって軽妙洒脱でもない、半分「地」かな?と思わせるその演技は確かに存在感に溢れ、妻を演じた中谷美紀ともども、まさに助演賞ものだった。
とにかく単なるサクセスストーリーではなく、等身大の英雄伝説として、孤独な勝利者の物語として、見ごたえ充分な力作であることに間違いない。
今日の1曲 “ Closing Time ” : TOM WAITS
1973年にリリースされたトム・ウエイツのデビュー・アルバム「クロージング・タイム」からアルバムの最後を飾るインストナンバーである同名タイトルのこの曲を。
ちなみにこのアルバム、多くの人たちがカヴァーしている名曲“ Ol'55 ”をはじめ“ ROSIE ”“ LITTLE TRIP TO HEAVEN ”などなど名曲揃いで、ある意味トム・ウエイツのアルバムの中でも一番聴きやすいアルバムなので、役者の彼から入ってきた人には是非是非オススメであります。
しかし改めて聴いてみると、当時聴き込んでいた分どの曲にもそれぞれ思いが重なることもさることながら、声も当然ながら若々しく、しゃがれ具合も今とは全く違っていて驚きです。
試聴はコチラ
ただ力道山が本当に強かったことを同時代的に実感できる世代ではなかったので、彼の死は記憶にあるけれど、どちらかというとネガティヴな印象しか残っていなかったーーー。
それにしても
「これはフィクションであり、力道山の人生をなぞっただけの伝記にはとどまらない」
という監督のコメント通り、映画「力道山」はまさに不世出の天才レスラー力道山を題材に不器用なヒーローの栄光と孤独、そして苦悩が、民族問題も含めしっかり描かれていて、とても感心した。
演出そのものは、ストーリーが途中、話を広げすぎて散漫になったためどうしても平板となってしまうところが惜しいけれど、それを補って余りあるのが28Kg も筋トレで体重を増やし(まさに「レイジング・ブル」のデ・ニーロだ)、さらにレスリングの技を学んだという力道山に扮するソル・ギョングの見事な演技っぷり。
実際の力道山はもっと流暢な日本語を話していたと思うけれど、彼の若干たどたどしい日本語が故の彼の(そして力道山の)民族アイデンティティがそこに強く感じられ、さらに大勢の現役プロレスラーの中に入っても何ら違和感のない遜色のないその肉体も、そうした自分自身の存在感の発露として見事に体現されていた。
ちなみに武藤敬司がハロルド坂田を、秋山純が遠藤幸吉をそれぞれ演じていたのはご愛嬌ものだったけれど、横綱・東波役として今は亡き橋本慎也が出演していたのはやはり切なかった。
加えてこの作品、同じ時代背景とした「 ALWAYS 三丁目の夕日」が甘口な郷愁に彩られていたのに対して、より原色に近い(どこか日活の無国籍アクション映画すら彷彿させる?)硬派で忠実な再現ぶりが素晴らしくて、今勢いのある韓国映画だからこそ出来うる、そのこだわりにも大いに驚かされた。
また驚いたといえば、力道山の理解者であった菅野を演じた藤竜也。いわゆる“ 儲け役 ”と言えないこともないけれど、決して重厚すぎず、かといって軽妙洒脱でもない、半分「地」かな?と思わせるその演技は確かに存在感に溢れ、妻を演じた中谷美紀ともども、まさに助演賞ものだった。
とにかく単なるサクセスストーリーではなく、等身大の英雄伝説として、孤独な勝利者の物語として、見ごたえ充分な力作であることに間違いない。
今日の1曲 “ Closing Time ” : TOM WAITS
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/9d/839b1e96d6a653ceb938f1825e3b95ec.jpg)
ちなみにこのアルバム、多くの人たちがカヴァーしている名曲“ Ol'55 ”をはじめ“ ROSIE ”“ LITTLE TRIP TO HEAVEN ”などなど名曲揃いで、ある意味トム・ウエイツのアルバムの中でも一番聴きやすいアルバムなので、役者の彼から入ってきた人には是非是非オススメであります。
しかし改めて聴いてみると、当時聴き込んでいた分どの曲にもそれぞれ思いが重なることもさることながら、声も当然ながら若々しく、しゃがれ具合も今とは全く違っていて驚きです。
試聴はコチラ
それでも十分な魅力のある作品でしたね。
役者は皆名演でした。
血が吹き出しても白黒だから安心でした。
この記事はなぜかTBできませんでした・・・
ソル・ギョングふぁんサイトの管理人をしておりますtamaと申します。
「力道山」の素晴らしいコメントを拝見し、是非ともふぁんの皆様に見て頂きたいと、BBSにこちらのURLを載せさせていただきました。
よかったら、サイトの方にも遊びにきてくださいね
TBさせて貰いにスタコラ参りました。
こちらこそご無沙汰しておりまして申し訳ないです。
映画は見てからちょっと時間が経過していますが、これは
良く出来上がっていると思いました…などと私が言うのも
オコガマシイ~~ですが(苦笑)
この辺りの映画人は本当に力あるな~と感心します。
見る人が少ないかも…と心配のあまりアップしたデスが、
ファンはちゃんといらっしゃるんですね。
良かったな~~と安堵してどーする(苦笑)
で、トムさんですか、参ったな~コリャです。
コチラ、今夜もエラク冷え込みます。
どうぞ、先輩!お風邪など召されませんよーに!
力道山の姿は、幼心によく覚えているんですが、話し言葉はあまり覚えていません。当時の日本人のほとんどは、力道山のことを、日本人だと思っていたと思います。いろんな意味で、芸能人も含めて、タブーになっていて、カミングアウトという流れが出るのも、もっと、あとの時代ですね。