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ウディ・アレン同様、老いてなお盛んとでも言うべきか、ここ最近はほぼ1年に1作のペースで次々と新作を発表し、今や巨匠と呼ばれるようになってしまったクリント・イーストウッド監督の新作である今回の作品、実は予告編を観る限りは、いささか苦手の分野に手を染めたのではないかと危惧していたものの、それは杞憂となり、結果的には相変わらずのイーストテイストたっぷりの作品に仕上がっていたのでありました。
映画の中に登場する3人の主要人物。
一人は旅先の東南アジアで大津波に遭遇した際「死後の世界」を見てしまい、以来、仕事も恋人も失いながら、自分が見たものを探求し始めるジャーナリスト、マリー。
二人目は死者と交信する能力を持ちながら、それ故に孤独な境遇に追いやられ、自らの能力を「呪い」だと嫌悪する霊能力者、ジョージ。
そして三人目は双子である最愛の兄を事故で失い、ヘロイン中毒の母親とも引き離され、亡くなった兄ともう一度話すことを願う少年、マーカス。
そんな三人に共通するのは身近に存在する「死」であり、と同時に忍び寄る深い「孤独」だ。
つまり、イーストウッドは映画の中でそんな三人の物語を交互に展開させながら「死後の世界」を描くことに傾注するのではなく、やがて三人がロンドンのブックフェアで辿り着くこととなる結びつきを描くことによって「孤独なままでは生きていけない」という人間の「生」に対しての「希望」を描いているのだ。
それにしても例えば、ジョージが体験する束の間の恋の相手とのアイマスクしてのテイスティングのなんと官能的なことか。
あるいは、物語を引き締めるディッケンズの引用の巧みさ。
そして双子の兄の自動車事故、あるいは死後の世界の描写、さらにはスピルバーグ効果とでも言うべきスペクタクルなCGによる津波シーンにおいてですら、常にイーストウッドらしいストイックな姿勢が貫かれていて、その抑えた演出に感嘆させられたのだ。
と言うことで今回もまた自身で手掛けたという心に残る音楽も含めて、全体としてやはり一級品の作品に仕上がっていて大いに感銘を受けたのであります。
ともあれ観る人によってはいろいろと意見が分かれそうな気がする作品ではありますが、観はじめたらつい惹き込まれ、あっという間に2時間9分が過ぎてしまうイーストウッド演出、その魅力をとくとご覧あれ!
今日の1曲 “ Nessun Dorma(from Turandot) ” : Luciano Pavarotti
映画の中で“ La Fleur Que Tu M'avais Jetee( from Carmen ) ”、“ Che Gelida Manina( from La Boheme ) ”といったオペラ曲とともにこの曲が流れていたのですが、何の違和感もなく、そういった意味では東南アジア、ドイツ、サンフランシスコ、パリ、ロンドンと世界を舞台として、ある意味世界共通な主題とともにグローバルな映画だったのでありました。
それにしてもこの頃のパヴァロッティって、やっぱり凄いなあ
ウディ・アレン同様、老いてなお盛んとでも言うべきか、ここ最近はほぼ1年に1作のペースで次々と新作を発表し、今や巨匠と呼ばれるようになってしまったクリント・イーストウッド監督の新作である今回の作品、実は予告編を観る限りは、いささか苦手の分野に手を染めたのではないかと危惧していたものの、それは杞憂となり、結果的には相変わらずのイーストテイストたっぷりの作品に仕上がっていたのでありました。
映画の中に登場する3人の主要人物。
一人は旅先の東南アジアで大津波に遭遇した際「死後の世界」を見てしまい、以来、仕事も恋人も失いながら、自分が見たものを探求し始めるジャーナリスト、マリー。
二人目は死者と交信する能力を持ちながら、それ故に孤独な境遇に追いやられ、自らの能力を「呪い」だと嫌悪する霊能力者、ジョージ。
そして三人目は双子である最愛の兄を事故で失い、ヘロイン中毒の母親とも引き離され、亡くなった兄ともう一度話すことを願う少年、マーカス。
そんな三人に共通するのは身近に存在する「死」であり、と同時に忍び寄る深い「孤独」だ。
つまり、イーストウッドは映画の中でそんな三人の物語を交互に展開させながら「死後の世界」を描くことに傾注するのではなく、やがて三人がロンドンのブックフェアで辿り着くこととなる結びつきを描くことによって「孤独なままでは生きていけない」という人間の「生」に対しての「希望」を描いているのだ。
それにしても例えば、ジョージが体験する束の間の恋の相手とのアイマスクしてのテイスティングのなんと官能的なことか。
あるいは、物語を引き締めるディッケンズの引用の巧みさ。
そして双子の兄の自動車事故、あるいは死後の世界の描写、さらにはスピルバーグ効果とでも言うべきスペクタクルなCGによる津波シーンにおいてですら、常にイーストウッドらしいストイックな姿勢が貫かれていて、その抑えた演出に感嘆させられたのだ。
と言うことで今回もまた自身で手掛けたという心に残る音楽も含めて、全体としてやはり一級品の作品に仕上がっていて大いに感銘を受けたのであります。
ともあれ観る人によってはいろいろと意見が分かれそうな気がする作品ではありますが、観はじめたらつい惹き込まれ、あっという間に2時間9分が過ぎてしまうイーストウッド演出、その魅力をとくとご覧あれ!
今日の1曲 “ Nessun Dorma(from Turandot) ” : Luciano Pavarotti
映画の中で“ La Fleur Que Tu M'avais Jetee( from Carmen ) ”、“ Che Gelida Manina( from La Boheme ) ”といったオペラ曲とともにこの曲が流れていたのですが、何の違和感もなく、そういった意味では東南アジア、ドイツ、サンフランシスコ、パリ、ロンドンと世界を舞台として、ある意味世界共通な主題とともにグローバルな映画だったのでありました。
それにしてもこの頃のパヴァロッティって、やっぱり凄いなあ
マット・ディモンさんが大好きなので、テイスティングのシーンは「色っぽい」と思いつつ見入ってしまいました。最後ちょっとうるってしてしまいましたね。
あと随分と余談になるのですが、もしご存じでしたら、お教え下さい。お願いします。
リチャード・ギア主演の「運命の女」で、色男さんと
ダイアン・レインが最初にダンスをするシーンの
バックに流れていた音楽は誰の演奏か…ご存じないでしょうか?ずーっと大好きな映画で、ずーっと気になっていて…。全然関係ないことでごめんなさいです。
実はこの「運命の女」(Unfaithful)」は未見です。
と言いつつ、ちょっと調べてみると、下記のサイトによると
http://www.funtrivia.com/askft/Question37285.html
VIEUX FARKA TOURE(ヴィユー・ファルカ・トゥーレ)というグラミー賞も受賞した
マリの有名なギタリストの息子さんが、ライ・クーダーと歌っている
『 Ai Du 』という曲ではないかと…。
間違っていたらごめんなさい。
昨日帰りが遅く、今「You Tube」でとりあえず
聞いてみました。
当たりでした。
早速CD探します。
本当にありがとうございました。
今度お店にこっそり伺います。。。
それはそれは良かったです。
予告編を見て、以前に深夜のテレビ放送でちょっとだけ観たような気もしますが、
改めて今度一度観てみようと思います。
ちなみに、こっそりでも全然構いませんが、出来れば声をかけてみて下さい。
出来れば、ではありますが…。
良質な作品を提供してくれます。
死後の世界はどうなるか?
生きている我々にとってこの先の命題かも
しれませんね。自分は無の世界だと
思ってます。ただ、死んだ人はこの世に
戻らないので精いっぱい、誰かを愛したいと
願う今日この頃です。