すべては最後の4分間のために --- 。
多分観た多くの人たちが思うと同様、その圧倒的なパフォーマンスには思わず息を飲んでしまった。
何とも象徴的な刑務所の俯瞰シーンからピアノに魚が落ちてくるシーンまで、淡々としながら力強い意思が感じ取れる心惹かれるオープニング。
そしてどこかベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説である「朗読者」とも通底するナチスの影。
かたや自分が犯した過去に縛られ絶望的な人生を送る老ピアノ教師クリューガー。
対する自分が受けた蛮行によって傷つき破滅的な人生を歩みつつある囚われた若きピアニスト、ジェニー。
お互いに激しく違う性格と境遇の二人。そんな彼女たちを結びつけたものが「ピアノ」だった。
ただそこへのアプローチもまた人生で受けた傷と同様大きく深く違っていた。
後先考えず鏡へのパンチ、あるいは病院での窓への突進。
そんなジェニーの持つ「激しさ」に対して、決して理解しようと向き合うのではなく、エゴイスティックに自分の思いをぶつけるクリューガー。
師弟愛とか甘ちょろい信頼感なんて一切なく激しく対峙する二人。
互いに怒り、罵倒し、喜び、その真摯さによって世代を超えて共鳴しあうようになるその姿には大きく心動かされた。
そして迎えるラストシーン。
ハープのようにグランドピアノをつま弾き、ポップミュージックからベートーヴェンまでトイピアノで演奏する“アヴァンギャルド・ピアニスト”、マーガレット・レン・タンを思わず彷彿させたジョン・ケージ的な楽曲とその演奏にはやはり圧倒された。
激しさと優しさ、調和の中にある奔放さ、ジェニーがようやくたどり着いたスタート地点への魂の叫びがここにはあったのだ!
それにしても、それにしてもだ。
幸いにしてこれまで未見だったこの作品の予告編。先ほど映画の公式ページではじめて見てビックリ。
この映画の一番の肝である鮮やかなストップモーションのエンディングがそのまま流されているというのはどうしたことか。
そのあまりの思慮のなさには愕然。
叶うことならそうしたものに一切目を触れずに観ることを強く強くオススメであります。
今日の1曲 “ In The Name Of The Holocaust ” : Margaret Leng Tan
シンガポール出身のアメリカ在住のピアニスト、マーガレット・レン・タン。
ジュリアード音楽院における、女性初のピアノ演奏の博士号取得した彼女、トイピアノ演奏の第一人者であるにとどまらず、ジョン・ケージ作品の最高の演奏家の一人とも知られ、そんな彼女がプリペアド・ピアノを演奏するのをはじめて見たときは衝撃的でした。
それにしてもこうした限りなくインプロビゼーション的音楽にちゃんと譜面があって、それを忠実に演奏しているって、やはり驚きだったりします。
'42年に作られたジョン・ケージの作品を演奏する映像はコチラから
多分観た多くの人たちが思うと同様、その圧倒的なパフォーマンスには思わず息を飲んでしまった。
何とも象徴的な刑務所の俯瞰シーンからピアノに魚が落ちてくるシーンまで、淡々としながら力強い意思が感じ取れる心惹かれるオープニング。
そしてどこかベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説である「朗読者」とも通底するナチスの影。
かたや自分が犯した過去に縛られ絶望的な人生を送る老ピアノ教師クリューガー。
対する自分が受けた蛮行によって傷つき破滅的な人生を歩みつつある囚われた若きピアニスト、ジェニー。
お互いに激しく違う性格と境遇の二人。そんな彼女たちを結びつけたものが「ピアノ」だった。
ただそこへのアプローチもまた人生で受けた傷と同様大きく深く違っていた。
後先考えず鏡へのパンチ、あるいは病院での窓への突進。
そんなジェニーの持つ「激しさ」に対して、決して理解しようと向き合うのではなく、エゴイスティックに自分の思いをぶつけるクリューガー。
師弟愛とか甘ちょろい信頼感なんて一切なく激しく対峙する二人。
互いに怒り、罵倒し、喜び、その真摯さによって世代を超えて共鳴しあうようになるその姿には大きく心動かされた。
そして迎えるラストシーン。
ハープのようにグランドピアノをつま弾き、ポップミュージックからベートーヴェンまでトイピアノで演奏する“アヴァンギャルド・ピアニスト”、マーガレット・レン・タンを思わず彷彿させたジョン・ケージ的な楽曲とその演奏にはやはり圧倒された。
激しさと優しさ、調和の中にある奔放さ、ジェニーがようやくたどり着いたスタート地点への魂の叫びがここにはあったのだ!
それにしても、それにしてもだ。
幸いにしてこれまで未見だったこの作品の予告編。先ほど映画の公式ページではじめて見てビックリ。
この映画の一番の肝である鮮やかなストップモーションのエンディングがそのまま流されているというのはどうしたことか。
そのあまりの思慮のなさには愕然。
叶うことならそうしたものに一切目を触れずに観ることを強く強くオススメであります。
今日の1曲 “ In The Name Of The Holocaust ” : Margaret Leng Tan
シンガポール出身のアメリカ在住のピアニスト、マーガレット・レン・タン。
ジュリアード音楽院における、女性初のピアノ演奏の博士号取得した彼女、トイピアノ演奏の第一人者であるにとどまらず、ジョン・ケージ作品の最高の演奏家の一人とも知られ、そんな彼女がプリペアド・ピアノを演奏するのをはじめて見たときは衝撃的でした。
それにしてもこうした限りなくインプロビゼーション的音楽にちゃんと譜面があって、それを忠実に演奏しているって、やはり驚きだったりします。
'42年に作られたジョン・ケージの作品を演奏する映像はコチラから
あまっちょろくないところが魅力でしたね。
ピアノ映画は多いけれど、大概はクラシックの名曲の演奏になっちゃうから、このアプローチはよかったです♪
で、ふと思い出したのが「コープスブライド」と「けんかえれじい」。
前者はともかく、後者は我ながら困ったものです(苦笑)。
最後の展開にはニンマリさせられました。
加えてストップモーションで終わる映画も久しぶりだった
そんな気がします。
年明けにやっと観てきました。確かに、今思えばあの予告編・・・でも、予想以上にダークでした。
あの暗く重苦しい雰囲気のなかに射す光のように、音楽の存在が際立ってました。理解できないものにとってピアノは卓球台ですが、ジェニーや看守にとっては欲してやまないものなんですよね。
TBさせてくださいね。
「音楽をモチーフにした映画にハズレなし」
というシャーロットさんの名言をまさに体現したような作品でした。
それにしてもドイツ人の過去の戦争にこだわり続けるる姿勢もまた
驚嘆だったりもしました。
クラシックだってブラスバンドだって、先日の「ONCEダブリン~」だって、本当にどれも一定レベル以上のものを届けてくれます。
それにしてもホームページがそんな事になってるんですか?
見てこようっと(笑)
公式サイトであそこまで見せてしまうセンスのなさには
呆れてしまいました。
「4分間」という原題から親切にも(?)改題された邦題でも
充分ネタバレではあるんですが、追い討ちをかけています。う~む。