俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「噂の女」

2007年05月12日 02時08分51秒 | 時系列でご覧ください
京都・島原の花街を舞台にやり手の置き屋のおかみ(田中絹代)と失恋の痛手で自殺未遂してしまい東京から戻ってきた娘(久我美子)、それにおかみの愛人である若い医師(大谷友右衛門)が絡むという、どこかダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』を思わせる母子を交えた三角関係を描いた物語。

製作されたのが「雨月物語」と「山椒大夫」との間ということもあってか全体に良い意味で小品感が漂い、わりと気軽に観ることが出来た。



そんな中、「イージーな生き方をしちゃ駄目」みたいなハイカラな話し方をする娘に扮する久我美子のオードリー・ヘプバーン(ちなみに『ローマの恋人』は前年公開)ばりのファッションもさることながら、やはりここでも何といっても田中絹代、田中絹代、田中絹代。

いつかは一緒になって奥さんになることを無理は承知で夢見ていたものの、相手の男と自分の娘がともに東京へ行こうと相談しているのを見てしまうシーンでの困惑ぶり。
さらには老いた女性が年甲斐もなく若い男性に夢中になるのを茶化した狂言『枕物狂』を見て観客が大笑いするところで、演じられる老婆の姿に自分を重ね合わせていたたまれなくなるシーンでの切ない狼狽ぶり。

そこから恋する中年女性の不安と嫉妬心が見事に伝わってきて、そのくせ変などろどろ感はなく、田中絹代ならでは! といった演技で思わず引き込まれてしまった。



そして帰り際、「シネモンド」の支配人とも話していたけれど、スターンダードサイズでのフルショットは本当に構図的にも美しいなと今回もまた激しく実感。

とにかくさっぱりしたエンディングを含め、気楽に楽しめる好編。
進藤英太郎の芸達者振りにもご注目あれ。



今日の1曲 “ Everybody's Talking ” : Harry Nilsson

「噂の女」といえば、思わず内山田洋とクール・ファイブ の 「どうせ私は、う~わぁ~さぁ~の女ぁ~♪」を思い出してしまいますが(苦笑)、そりゃあんまりだろうとのことで噂つながりで「噂の男」という日本語タイトルがついたニルソンのこの曲を。
ご存知ニューヨークを舞台としたダスティン・ホフマン&ジョン・ヴォイト主演のジョン・シュレシンジャー監督作品「真夜中のカーボーイ」のオープニングで流れ、この曲がきっかけとなって日本でもニルソンは一躍注目されたものでした。
68年リリースのアルバム『 Aerial Ballet 』に収録。とにかく今聴いても全然OKな、時代を超えた名曲であります。
1曲ほぼ丸ごと流れる映画のシーンを使った動画はこちら


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