春のG1、ディープとキンカメの復習

2015-06-15 10:36:52 | 配合論

〈これまでディープインパクト産駒はダービーに17頭が出走して[2.0.1.14]という成績ですが、勝ったディープブリランテとキズナには「Burghclereのニアリークロスを持つ」という配合的共通点があるのです

Burghclereはディープインパクトの母母で、Busted~Donatello、Hypericum~Hyperion、Court Martial~Fair Trialといった重厚な欧スタミナ血脈ばかりで構成されており、ここがディープインパクトのスタミナ源と言ってしまっていいほどです

そしてディープブリランテはBustedやAuroraやCourt Martialなどを使って、キズナはDonatelloやAuroraなどを使って、このBurghclereのスタミナをニアリークロスしており、これが2400mに延びても踏ん張りがきいた大きな要因と考えられるのです

Burghclereの血をニアリークロスすることがスタミナ獲得に有効なのは、ディープ産駒で最も長距離を得意とするファタモルガーナ(ステイヤーズSとダイヤモンドSで2着)や中山大障害に勝ったレッドキングダムが、ともにBurghclereの血を色濃くニアリークロスしていることからも明らかでしょう

ただ不思議なことに牝駒の場合は、ジェンティルドンナもデニムアンドルビーも、長距離をこなすのにBurghclereのニアリークロスは持っておらず、このニアリークロスは牡のほうがスタミナとして伝わりやすいのかもしれません

というわけで、Burghclereのニアリークロスを持たないディープ産駒はダービーに9頭が出走し[0.0.1.8]という成績、掲示板に載ったのはトーセンホマレボシだけで、人気を着順が上回ったのも3頭だけ

リアルスティールもBurghclereのニアリークロスを持っていないので、2400mを克服できるかどうかは微妙と言うべきですが、トップスピードに乗る速さは世代屈指で、ジェンティルドンナに近い脚質という私のイメージが正しければ、スローの上がりだけの競馬になったほうがチャンスはあるでしょう〉
(『UMAJIN』5月号「血統と馬券 ここだけの話」ダービー展望部分より抜粋)

リアルスティールの骨折の影響がどれぐらいあったのかは微妙で、厳密な距離適性の問題は秋に持ち越しになりましたが、2着サトノラーゼンの母系に入るIron Dukeは母父がAureole、つまりサトノラーゼンはBurghclere≒Aureoleのニアリークロス3×6を持つのです

下記エントリで「東京の大レースで好走するキンカメ産駒はみんなナスキロのクロスを持っていて、持ってなかったのはHornbeam≒パロクサイドのナタのストライドで走るルーラーシップだけ」と書いて、だからダービーではコディーノもトゥザワールドも軽視したのですが、今春の東京G1で好走したキンカメ産駒は、ルーラーシップと3/4同血のドゥラメンテと、母系にA.P.IndyとHabitatを引くケイアイエレガントと、母父フレンチデピュティのミュゼスルタンで、今年もナスキロクロスとHornbeam≒パロクサイドしかきませんでした

Burghclereのニアリークロスを持たないリアルスティールがBurghclere≒Aureole3×6のサトノラーゼンを差せず、ナスキロのクロスを持たないトゥザワールドがMill Reef5×5のタガノグランパを差せなかったというのは、東京2400mという舞台においては順当な結果といえるのかもしれません

配合に素直な前チャンピオンサイアー(3)~東京G1で好走したキンカメ産駒は、みなナスキロのクロスだった
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/b2b7f4870cd1ed736f6dc4df4481abf3


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10 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-06-15 11:03:06
もう1度マンデラとの仔が見たいなあと思ってるのですがなかなか実現しませんねえ
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 (龍馬)
2015-06-15 12:37:16
こんにちは、MJ様お疲れ様です。ディープダービー出走の数は、今年入っていないのですか?サトノラーゼン2着ですが?
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Unknown (MJ)
2015-06-15 12:42:59
本文中の〈〉の中はUMAJINに書いたダービー前の原稿ですので、昨年までの数字ですね
今年を含めると[2.1.1.16]になります
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Unknown (龍馬)
2015-06-15 12:54:10
解答ありがとうございます。
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Unknown (KR)
2015-06-15 13:14:23
ダービーを勝ったディープ産駒って2頭しかいなくて(気付かなかったf(^^;)、その2頭にはそんな共通点があったんですね。
と言うことは、今の流れだとディープ牡馬でダービーを狙うにはBurghclereをいじらないとダメな感じですね(^^;
少し前にMJさんに質問させていただいた母ミゼリコルデを結局の所、一発狙いでPOG指名したので頑張ってもらいたいです。
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Unknown (たろう)
2015-06-15 17:15:48
ディープインパクトのスタミナ源としては、もう1つ、母ウインドインハーヘアが、いわゆるダブルコピー牝馬と見なされている(サラブラッド誌第3号)ことがあると思います。
現役時代のディープの体型は、異常に胸前が深く、逆にトモは小さめという、かなりアンバランスな体型をしており、この大きな胸による高い心肺機能が、スタミナ源の1つであったと考えられるでしょう。
ホーン女史のXファクター理論は、まだ仮説ではあるものの、見た目だけでも明らかに心臓が大きそうと判断できるケースもあり、有力な仮説だと思います。
見た目でいえば、たとえばエアグルーヴ一族は、どの馬も胸がアンバランスに大きく、エアグルーヴがダブルコピー牝馬の可能性はかなり高いと考えています。
ディープの体型は、サンデーにもAlzaoにもブラックタイドにもオンファイアにも似ておらず(ブラックタイドはAlzao~Lyphard似です)、画像で確認できる範囲では、5代母Hypericumそっくりである点も、強い裏付けになりそうです。
X染色体に関する遺伝は伴性遺伝ですから、牝馬の産駒にはディープのX染色体上の大きな心臓の遺伝子が伝わるわけで、ジェンティルやデニムのスタミナの根拠になっていると思われます。
伴性遺伝はフィリーサイアーの根拠とされますが、先ほどからの見た目の話いえば、ウォーエンブレムが牝馬の大物を出すのは、あきらかにXファクター絡みでしょう。
ブラックエンブレムもローブディサージュも、アンバランスというより不格好というほうが適切なくらい、異常に胸が大きいです(その意味で、ディープ×ブラックエンブレムは、牡馬より牝馬のほうが走る確率が高そうですね)。

ディープインパクト(皐月賞)
ttp://livedoor.4.blogimg.jp/jrdbjp/imgs/2/e/2e0bbb10.gif
Hypericum
ttp://www.sporthorse-data.com/horse/507389/665/Horse_Hypericum-big.jpg
ブラックエンブレム(桜花賞)
ttp://www.keibado.com/keibabook/080414/photo08.html
ローブディサージュ(桜花賞)
ttp://www.keibado.com/keibabook/130408/photo03.html

追伸
リアルスティールについてですが、かなり無理があるかもしれませんけれど、Burghclere≒Flower Bowlのニアリークロスと見ることは出来ないでしょうか?
ハイインローが共通で、DonatelloとBoudoirがニアリーです。
何故そのように考えるかというと、唐突に思われるかもしれませんが、パシフィックプリンセス一族の重賞勝ち馬が、ビワハヤヒデなどの例外を除き、ブライアンズタイムとディープインパクトの産駒に集中していることにヒントを得ています。
ブライアンズタイム×パシフィックプリンセス一族の走る根拠が、Flower BowlとFijiのニアリーな関係にあり(Hyperionが共通、Boudoir≒Donatello、Son-in-Law≒Bongo)、ディープ×パシフィックプリンセス一族の活躍の理由が、Burghclere≒Fijiのニアリークロスにあるわけですから、もしかするとBurghclereとFlower Bowlの間にも何らかの関係性があるのではないかということです。
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Unknown (MJ)
2015-06-15 17:54:04
そうですね、私は「マヤノトップガンやサニーブライアンのスタミナは、Flower Bowl≒Aureole(Homeward Bound)のニアリークロスによるところが大きい」と書いた人間ですから、そこはもちろん考慮していますよ(・∀・)スマートロビンのスタミナもKey to the Mintで説明できると思います
一つの事実として、ダービー連対のディープ産駒3頭にはBurghclereのニアリークロスという共通点がある、ということを書いたまでで
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Unknown (ユビキタス)
2015-06-15 18:57:38
安田記念に出た
ヴァンセンヌ
フィエロ
ミッキーアイル
ここらへんはBurclereのニアリークロス持ちですよね

これらは母父ロックの取扱説明書とか母フラワーパークですけど2400持つかは見極めが大変です
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Unknown (MJ)
2015-06-15 20:06:30
そのへんは入れ物(体型骨格)や体質の問題も絡んできますからね~
マイラーやスプリンターにもスタミナは必要だし、ステイヤーにもスピードは必要
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Burghclere (ミマタオー)
2015-06-16 22:40:21
かなりのご無沙汰でございます。

Burghclereからの牝系を見ると、ディープとその母を除くと2000mがほぼ限界で、
もしや、Queen's Hussarの一子相伝を受け継いでいるのか(・囚・)
とオカルト的に考えてましたが、牝馬には関係ないとなると、
これは重過ぎてスピードを入れるしかなかったのかなぁと。
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