栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2022-2023」

第42回ジャパンC回顧~元祖鬼神、タイトな追い比べを割る

2022-11-28 10:41:08 | 血統予想

東京12RジャパンC
◎8.デアリングタクト
○3.ヴェルトライゼンデ
▲14.ダノンベルーガ
△5.グランドグローリー
△9.ユニコーンライオン
×6.ヴェラアズール
×15.シャフリヤール
東京2400という日本競馬を象徴するコースで行われるジャパンCは、日本の芝中距離戦の最高峰に必要なもの、日本の中距離の名馬とはこういうものだということを各国に証明するレースだと思っている。一昨年のJCでアーモンドアイとコントレイルと歴史的な叩き合いをやったデアリングタクトが◎。JC史上に残る圧勝を演じたエピファネイアの代表牝駒。鞍上のマーカンドはムーアばりの鬼神の追いですっかり人気者になった。オールカマーはイン伸び馬場で外を回らされ、エリ女は外伸び馬場で内枠に泣きとチグハグで不完全燃焼なレースがつづくが、つまるところどちらも力負けではない。なのにG1を勝ってないダノンベルーガやヴェラアズールやヴェルトライゼンデより人気がない。
ダノンベルーガは春よりはかなり馬が良くなったがまだ成長途上、完成手前のハーツにはちがいない。ヴェラアズールは今年のメンバーなら人気になるのはわかるが、過去のJC勝ち馬たちに比肩するレベルにはまだ達していないと思う。ヴェルトライゼンデもオールカマーは外を回らされたからノーカン。叩いて出来は絶好に見えるが、半分ドリームジャーニー的な走法だからJCよりは有馬か。シャフリヤールは秋天のパドックでも違和感を感じたが、芝で追った一週前調教の映像もピンとこない。ダービーを勝った頃のようなあのヌメヌメ感が戻ってこない。馬の資質がアルアインと同じようなベクトルに寄ってきているように思えてならない。
外国馬ではグランドグローリー。昨年も日本適性が一番高いのはこれだと書いておいたが、今年も各馬の調教やVTRを見た感想は同じ。昨年ぐらいは走る。ユニコーンライオンは本来大箱向きだし、単騎逃げで後続はノーマークだろう。

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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着を

ヴェラアズール
アヴェンチュラ、トールポピー、フサイチホウオー、ナサニエルの甥で、エルカスティージョのイトコ。母母アドマイヤサンデーは阪神牝馬特別2着。牝祖Madeliaは仏オークス馬。父エイシンフラッシュはダービーと秋天に勝ちオニャンコポンやタマモメイトウなどを輩出。大型で伸びのある体型で、母父クロフネのパワーも受け、戦績どおり大箱ベター坂コースベターの中距離馬。フラッシュ産駒だけに京都大賞典のように外に出したほうが伸びる感じはありそう。(距離◎スピード○底力○コース◎)



シャフリヤール
アルアインやダノンマジェスティの全弟で、アルナシームの叔父。母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)勝ち。母父Essence of Dubaiはスーパーダービー(米G2・ダ9F)などに勝った。アルアインよりもディープインパクト的な体質でしなやか俊敏だが、アルアイン同様ベスト距離は2000だろう。昨年のJCは3着。前走秋天ではパドックの気配が絶好調には見えなかった。ここ目標にワンランク上げてこられるかがポイント。(距離○スピード◎底力◎コース◎)



ヴェルトライゼンデ
ワールドプレミアやワールドエースの3/4弟で、欧G1を3勝したManduroの甥。母マンデラは独オークス(独G1・芝2200m)3着で、母方にはドイツ血脈とHyperionのスタミナが強い。しなやかかつ重厚な体質は兄たちと似て、ワールドプレミアのような距離適性や成長曲線になるだろうと予測してきた。オールカマーは仕上がり自体は良かったが、イン伸び馬場で外々を回らされたぶん伸びきれず。地力はG1でも足りるので持続戦になれば浮上。(距離◎スピード○底力◎コース○)



まだマイルCSの回顧も書いてないんですが、レースの記憶が鮮明なうちにJCをサラサラ書いてしまおうと…今日は東京、明日は名古屋でまだまだ多忙なのです…サラサラのスープカレーみたいな回顧です

ユニコーンライオンが予想どおりハナに立つと後続を引きつけるように逃げ、前後半1200mでいうと73.3-70.4、レース上がり34.2は過去10年で2番目の速さで(1位はジェンティルドンナが勝った13年の34.1)、JCにしては上がり特化のレースになったといえるかと

ちなみに過去5年の前後半は以下のとおり
21年74.5-70.2
20年69.4-73.6(キセキ大逃げ)
19年72.5-73.4
18年71.7-68.9
17年72.3-71.4

しかし上がりのケイバで前残りになったわけではなく、今日の高速馬場でこれだけ上がり特化になると外国馬は対応できず、上位人気の日本馬5頭、脚力のある日本馬5頭がそのまま掲示板を占める結果に

このペースですから馬群は一団で直線へ、世界の名手たちがトップクラスの馬に乗ってますからなかなかタイトな追い比べになり、ダノンベルーガが内外から抜かれるときに挟まれる形で後退、デアリングタクトは馬群を割りかけたときに進路を締められて立て直すロスがありました

ヴェラアズールはスタートは一息で最初は15番手ぐらい、そこから1頭ぶんのスペースをジワジワ押し上げ、2角ではもうヴェルトライゼンデの直後につけていたのがさすがで、マーカンドがムーアと似た鬼神追いで人気者になってますが、ムーアは何をやっても一流ですから、世界の一流とはそういうことなんですよね

直線もスペースを探しながら、左右に切り返しながら、でも決して手綱を引っ張ってないし減速もしていないという、今日のヴェラアズールはムーアでなければ勝てなかったかもしれないというぐらいのJC史上に残る名騎乗でした

ついにエイシンフラッシュ産駒がG1を、母父クロフネの牡がG1を勝ったわけですが、エイシンフラッシュの種牡馬成績が高いところで安定しなかったのはドイツ血脈が強いアウトブリードだからで、ヴェラアズールの場合は母ヴェラブランカがNorthern Dancer≒Icecapade4・5×4なのが定型としてほめられます

ヴェラブランカはアヴェンチュラ、トールポピー、フサイチホウオーの半姉妹で、鋭いというより力強いストライドはエイシンフラッシュよりもこの牝系のイメージが強く、トールポピーが斜行せずに馬群を割ってきたというゴール前でした

シャフリヤールは予想コメントにも書いたように、3歳時のあのヌメヌメしたウナギのような皮膚感、サンデー直仔のG1馬がこんな質感が多かったのですが、それがなかなか戻ってこない

おそらくアルアイン的なベクトルに寄ってきたと思われる今、東京でストライド勝負になったらちょっと厳しいのではと疑ってましたが、そういう意味では上がり4Fの勝負になって一番プラスやったのはシャフリヤールやと思いますね

実際直線半ばから一頭だけ違う回転の速さで一気に先頭に立ったんですが、ゴール前では左手前に替えて失速気味で、ゴール直後は4番手に落ちていました

この絶好のペース展開でもヴェラアズールに負けてしまったというのは、タラレバ主観を承知でいうならば、3歳時のウナギのシャフリなら勝ってたんじゃないかとも思いますね

ヴェルトライゼンデとデアリングタクトが好走したことで「インベタオールカマー外差しノーカン説」がますます有力になったといえるし、エリ女で内を走った組の巻き返しも今後あるでしょうね

あのオールカマーもけっきょくのところ、2頭で外を回してマッチレースをやってたわけで、それでデアリングがヴェルトをギリギリ差したわけで、内を走った馬たちとは別のレースをしていたんですよね

今日もスムーズならヴェルトは差していたと思うし、勝ち馬にも並ぶところまでいったと私は思っていますが、まあでもデアリングタクトが終わってないことを証明してくれたのはよかった

外国馬は今年もやっぱりグランドグローリーが最先着でしたが、これを最後に社台ファームで繁殖入り

Alzao=Light of Hopeの全きょうだいクロス3×3をもち、Alzaoといえば名うてのフィリーサイアーでウインドインハーヘアの父でもありますから、繁殖としても非常に楽しみな馬ですね

コメント (11)
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