栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第69回阪神JF回顧~オルフェ黄金配合、堂々の2歳女王に

2017-12-11 09:28:38 | 血統予想

阪神11R 阪神JF
◎4.マウレア
○11.ラッキーライラック
▲8.トーセンブレス
△15.ナディア
「オルフェーヴルvsディープインパクト」の構図となった今年のJFだが、オルフェ産駒ではラッキーライラック、ディープ産駒ではマウレアが最も配合が良いし、もっと厳しいレースになってもシッカリ伸びきれそうな前走内容だったと思う。トーセンブレスは新馬の勝ち方が圧巻で、それだけに前走は食い足りない内容だったが揉まれると良くないタイプか。他では小柄だが母方のダルシャーンの斬れで差すナディア。母母キュンティアはこのレース(阪神3歳牝馬S)2着だった。

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ラッキーライラックの配合については「オルフェーヴル産駒として極めてオーソドックスな好形だ」と当ブログでもずっとほめてきました
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/4c03af3c0eee1ba2fefcbaab6590cd27
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/4f9fa4396c6c79f57ae2721ab9773e92

3月発売の『パーフェクト種牡馬辞典』では
<(オルフェーヴルは)ノーザンテースト4×3の強いクロスを持つので、ノーザンダンサー系の血をクロスしない繁殖牝馬との配合がベターだろう。ミライヘノツバサもエスティタートも母は非ノーザンダンサークロスだ。ヌレイエフやサドラーズウェルズなどスペシャル牝系の血とは合うはず>
と書いていますが、ラッキーライラックがまさにそのパターンなのも上記で説明しています(リリーノーブルが持つKingmambo×ビーバップのニックスについても同エントリで書いていますのでご一読を)







オルフェーヴル産駒はどういう配合がいいんですかね?とよく質問されましたが、私も栗山さんも「ひとまずエスティタートを教科書とすべきでしょう」と説明していて、だからエスティタートの弟のオルフェーヴル産駒(G1で募集)も当然ピックしましたが、これもようするに「母が非Northern DancerクロスかつSpecial持ち」

種牡馬辞典の新種牡馬コーナーはオルフェーヴルとヘニーヒューズとエイシンフラッシュが私の担当で、「オルフェーヴルは母が非Northern DancerクロスかつSpecial持ち」「ヘニーヒューズはフジキセキと好相性」このあたりの読みは我ながら正しかったと自画自賛してるんですが、しかしピックしたのがラッキーライラックではなくアプルーヴァルなのが大きな声では言えないところで(^ ^;)、やっぱりステゴ系で大物を狙うなら牡だろう、という考えはまずありましたね~

しかしフタを開けてみると、今のところ代表産駒2頭はともに牝、昨日のパドック中継を見ていても、改めて痛感させられたのが牡駒に共通するトモの緩さでした

これはダイナサッシュ牝系由来と言っていいのでしょうが、牡は馬体自体は見映えする馬が多いのですが(だから新馬戦でよく人気になるのでは)、パドックで歩いているのを見るとトモの入りや踏ん張りに力強さが足りず、そのため概ねスタートが良くないし追い出してからも重心が沈まずフワフワしていてギアが上がらない

しかし牝はJF出走の2頭はもちろん、中京で未勝利を勝ったサラスも新馬戦で3着だったシエラも後ろはシッカリしてて、だからまずゲートを踏ん張ってポンと出ます

まあ何度も書いているように、オルフェーヴル自身が2歳~3歳春まではコロコロ負けつづけた馬で、神戸新聞杯で後駆に肉がついてついに本格化したような成長曲線で、いわば未完成の状態で春二冠を勝ってしまったようなもんですからね

だからオルフェ牡駒も父と元値が違うだけで同じような成長曲線を辿るのではないかと、アプルーヴァルも3歳夏にはパンとして洋芝2600mで3連勝して菊の秘密兵器ぐらいにはなってほしい(笑)

ちなみに「母が非Northern DancerクロスかつSpecial持ち」というオルフェ産駒はここまで下記の8頭が出走しており、うち牝馬はラッキーライラックとモルフェオルフェとシエラ、いちおう3頭とも動いてはいますね
ラッキーライラックf[3-0-0-0]
ムーンレイカー[0-3-0-0]
モルフェオルフェf[0-1-0-2]
ダノンテアトロ[0-1-0-2]
シエラf[0-0-1-0]
アプルーヴァル[0-0-0-2]
ノーフェイク[0-0-0-3]
レヴァンテ[0-0-0-2]

ラッキーライラックの3代母ステラマドリッドは北米G1を4勝した一流馬で、ミッキーアイルやダイヤモンドビコーなどが出て子孫も繁栄しており、こないだもある大喜利で「この牝馬ならミッキーアイルでステラマドリッドのクロス狙うのも面白い」なんてやってました

そこにSeattle Slew(Nasrullah4×4)とFlower Alley(Mr.Prospector3×3とNorthern Dancer4×4)が配された好配合で、プリンセスオリビアとMy CharmerとMy Bupersという名繁殖の血を強く受け、しかもG1アシュランドS(AF8.5F)に勝ったライラックスアンドレースが繁殖として有能でないはずはない

姉のラルクもデビュー時からずっとほめていて、ラルクの配合がいいというよりはライラックスアンドレースという繁殖をほめてるんですよね

ラルクが伸び悩んでいる理由の一つは馬群の中で我慢できない精神面で、それはFlower Alleyの母系に入るVaguely Nobleの仕業としか言いようがないのですが、妹にはそういう気性の難しさは見られず、オルフェの牡はヤル気がないとよく言われますが牝はわりと気の張ったレースをします

マウレアはアユサンの全妹で、大成功しているディープインパクト×Storm Catのなかでも最も好きな配合ですが(母母Buy the Firmが北米G1勝ち馬でGood Example≒War Relic4×4)、姉よりも長手でほっそりしたつくりで中距離馬然とした斬れ方をするので、桜花賞よりもオークスで期待したくなる馬です

コメント (8)
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