京都11R マイルCS
◎10.クルーガー
○12.イスラボニータ
▲11.エアスピネル
△4.サングレーザー
×5.サトノアラジン
クルーガーの母アディクティトはシュヴァルツゴルトレネン(独G3・芝1600m)勝ち馬で、その父ディクタットは英スプリントG1に勝ち安田記念でも2着に追い込んだ。この母方の影響が強いパワー型マイラーで、なるほど前走のような不良馬場も巧い。母母アスティカのところはドイツ血脈など傍系の血で固められていて、この部分を「1/4異系」とする「3/4ノーザンダンサークロス」の配合形。キングカメハメハ産駒としても好配合だとほめてきた。今週の追い切りでは坂路をうなりながら駆け上がっていて、高野師も饒舌で間違いなく出来は前走以上。今の京都のタフな馬場ならば、この馬のパワーで勝ち負けになるのではないか。非サンデーの遅咲きマイラー血統に一票。
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最近はイン伸びが顕著だった京都芝ですが、先週はB→Cに替わった影響か外伸び馬場に変貌し、日曜3Rでゴールドシップの全弟ゴールドフラッグに騎乗したミルコは、それらしい大捲り(11-11-1-1)で快勝
ミルコに捲られて2着に終わったルメールは、5Rフランツ、7Rムーヴザワールド、9Rシグナライズと、その後はいずれも一番外を回して3連勝はさすがでした
そしてこの時点で望田は、大外ペルシアンナイトを無印にしたことを後悔しはじめてます(^ ^;)
荒れ馬場+稍重の外伸び馬場で、マルターズアポジーの逃げは前後半46.7-47.1、まあまあ平均ペースというべきですが、それでも先行勢は壊滅し、好位から4着に粘ったレーヌミノルの頑張りだけが光った(この馬はマイルで時計がかかると渋い)
ルメールの日曜の騎乗を見ていると、イスラボニータもあまり出していかず中団から外に出して差す形やろうなあ…とは思ってたんですが、上位人気馬で最もポジションが前になったエアスピネルを他の有力馬が後ろで見る形で、直線はみんなムーアの外に持ち出して追い出したのは馬場バイアスを考えれば順当なところ
そんななかペルシアンナイトのミルコは、下げたというよりも馬のペースに合わせたような前半15番手、そこからインに潜り込んで直線に向かうと、各馬が外に持ち出して追い合うときに一瞬できたスペースを斜めに横切ってエアスピネルの直後に取り付き、これをハナ差交わしたところがゴールでした
レース前のインタビューでは「う~ん…ベストは1800mかな」とミルコは言ってましたが、ペルシアンナイトが刻んだラップは59.9-33.9
馬のペースに合わせて、1800馬の脚で差し切ったというレース運びでしたが、ハービンジャーの1800馬で届く時計と上がりでもあったかと
勝ったペルシアンナイトは追分ファーム産、看板のニキーヤ牝系でのG1レーシングのG1初制覇ですから、昨晩の研修の打ち上げでも吉田正志さんは本当に嬉しそうでした
エアスピネルは(G1レベルでは)最高速度に限界があるタイプなので時計のかかる馬場はプラスでしたが、京都外回りでこれぐらい流れると最後はストライド>ピッチ、しかしあれをギリギリまでもたせるムーアもさすが
サングレーザーについては、マイルCSのパドックを見ても一頭だけ一流マイラーの肉付きには見えず、そのぶんまだ化ける可能性があるのではないか」と正志さんとも話してたんですが、健闘した3歳馬たちの中でも最も伸びしろがあるのはこれかもしれません
クルーガーはサングやイスラやレッドと同じぐらいのところから同じぐらいの脚では伸びていて、現状の力は出し切ったしG1でも通用するところは見せてくれた
ペルシアンナイトの配合については、「ハービンジャーとDansiliがナスペリオン的に斬れる理由(1)(2)」で詳しく書いていますのでそちらをご覧ください
ハービンジャーとDansiliがナスペリオン的に斬れる理由(2)~代表産駒はNureyevとNijinsky
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/0ef34ccdb522f138a65ef12c7838a69c
要約すると、種牡馬ハービンジャーが他のデインヒル系とは趣を異にする日本向きの斬れ味を伝えているのは、父Dansiliの母Hasiliの血脈構成によるところが大きく、NijinskyとNureyevを持ってくる配合が大成功しているのは、そのHasiliの血脈構成を増幅することになるからである、と
ちなみに下記の栗山ブログにあるように、このHasiliは5頭のG1馬と1頭のG2馬を産んでいる歴史的な名繁殖です
もう1頭のスーパー牝馬Hasili~栗山求BLOG
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/hasili-2836.html
細田さんならDansiliもHasiliも見ているだろうと、昨日の研修の打ち合わせのときに「ハービンジャーが優秀なのはDansiliが優秀だからで、Dansiliが優秀なのはHasiliが優秀だからで、だからNijinskyとNureyevを入れる配合が成功している、という話をしようと思うんですが」と質問したんですが、概ね同意を得られたのでここで付記しておきます
ハービンジャーの輸入が決まったとき、それまでデインヒルやロックオブジブラルタルがリースで日本にやってきてちょっと微妙な種牡馬成績だったこともあり、「父系がデインヒルで母父がBeringかあ…これは何とも微妙な種馬買ってきたもんやなあ…」というのが第一印象でした(^ ^;)
でもハービンジャーの血統表のチャームポイントはスーパー名繁殖Hasiliであり、そのHasiliの血を増幅するべく、NijinskyをクロスしBlushing GroomとYoung EmperorにSpecil(Nureyevの母)を合わせることで、ディアドラとモズカッチャンとペルシアンナイトが出た
Dansiliの代表産駒Rail Linkは、凱旋門賞で直線先頭に立ったディープインパクトを差し切り、社台グループの野望を打ち砕きました
そのRail Linkの血統表を見れば、社台グループもディープインパクトの敗戦に打ちひしがれると同時に、DansiliやHasiliに魅せられてもいたのだ、ということを実感せざるをえません(Rail Linkの母はNureyev、Never Bend×Princequillo、Vaguely Nobleとニキーヤとソックリ)
ちなみにDansiliの代表産駒の一頭Flintshireなんかは、イルドブルボン4×4で母系にナスペリオン二つ(SpecialとMill Reef)ですから、これもまさにHasili増幅配合ですね
これでハービンジャー産駒は京都外回りのG1を連勝、ミルコは京都外回りのG1を3連勝となりましたが、たしかに今の京都はハービンジャーやルーラーシップの重厚なナスペリオン斬れが映える馬場ではあります
そしてドゥラメンテを持ち出すまでもなく、大一番でナスペリオン的ストライドを爆発させたらミルコの右に出るものはいない、ということもまたまた実感させられた凄いレースでした
昨日は胆振軽種馬農協青年部の第4回研修会に、栗山さんと細田直裕さん(社台コーポレーション事務局)と参加してきました
胆振青年部グループが第4回研修会
http://uma-furusato.com/news/detail/_id_91442
細田さんとはこの研修でコンビを組ませていただいたのですが、その経験と知識は本当に凄いの一語で、DansiliやHasiliももちろん見ていて私の質問にもスラスラ答えてくださり、ホンマに何ギガ食ってもいいからあの人をマイパソコンにインストールしたいです(^ ^;)
その後は登別グランドホテルへ移動して待ちに待った打ち上げ、深夜まで実に楽しい宴会がつづきましたが、開会の挨拶のときにエアスピネルの吉田哲哉さんがペルシアンナイトの吉田正志さんを祝福した際には自然と拍手が沸き上がった
マイルCSの回顧はこれから書きます
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■『ディープインパクト好配合リスト(2017)』で望田潤と栗山求がダブル推奨したフランツ(牡2歳)が日曜京都5Rの新馬戦(芝2000mを勝ち上がりました。
◎フランツ(牡・母ロベルタ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2015105105/
母ロベルタはヴィクトリーの全妹でJRA3勝。青葉賞も圧勝したアドミラブルとは、父ディープインパクトと母母グレースアドマイヤが同じで、母父がRoberto系なのも同じなので7/8同血の間柄になる。ディーマジェスティともよく似た輪郭の配合で、ディープの大物中距離牡駒が出るパターンだ。(望田)
★フランツ(牡・母ロベルタ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2015105105/
母は皐月賞馬ヴィクトリーの全妹で、現役時代に芝中距離で3勝を挙げて1000万クラスまで出世した。リンカーンの半妹でもある。2代母はフサイチコンコルドの半妹、アンライバルドの半姉。「父ディープ、2代母の父トニービン」はハープスターやアドミラブルなど出走19頭中15頭が勝ち上がり、芝連対率39.0%と成功している。「ディープインパクト×ブライアンズタイム+Sadler's Wells」という配合は皐月賞馬ディーマジェスティと同じ。また、「父ディープインパクト、2代母グレースアドマイヤ、母の父 Roberto 系」という配合は青葉賞馬アドミラブルと同じ。1歳上の全兄コペルニクスは新馬戦で4着のあと骨折して休養に入っているが、この配合なので復帰すれば未勝利で終わることはない。全弟が順調に大成することを期待したい。(栗山)
■土曜東京10RユートピアS レッドアヴァンセ(ディープ・望田)
■土曜東京12R1000万下 ハウメア(POG・望田)
■日曜東京9R赤松賞 マウレア(ディープ・望田)
■日曜京都7R500万下 ムーヴザワールド(ディープ・望田&栗山)
先週の新馬は推奨馬3頭がみんな圧倒的人気で、けっきょく勝ったのはフランツだけでしたが、ダンケシェーンもエルディアマンテも相手をほめるしかないほど好内容だったので納得はしてます
しかしフランツのレースが上がり11.3-11.0、ブラストワンピースのレースが10.8-11.1、レッドベルローズのレースが11.2-11.1で最近の芝1600m以上の新馬はこんなんばっかり…
イダペガサスとダンケが叩き合ったレースなんてダートなのに上がり11.7-11.3、このラスト11.3は私の調べた限りでは東京ダ良の最速ではないかと
これはもう何度も書いてるネタですが、ディープインパクト×Roberto系の配合は圧倒的に牡馬が走ります
母系にRobertoの血を引くディープインパクト産駒は、ステファノス、ゼーヴィント、ディーマジェスティ、シャイニングレイ、モンドインテロ、マウントロブソン、サトノラーゼン、アドミラブル、ニューダイナスティ、グランプリブラッド、ヴィクトリースター、ダノンプレミアムと収得賞金上位12頭まで牡馬、13位にようやくカワキタエンカがランクされます
フランツは外伸び馬場の京都内回りをひと捲り、だいたい配合のイメージどおりの勝ち方でしたが、欲を言えば、皐月を捲りきるにはあと体重が10キロぐらい増えてほしいかなあ…という第一印象
だから418キロのスリムな牝馬でフランツの2着に食い下がったクリノアリエル(ディープインパクト×ブライアンズタイム)なんかは、一つ下に全弟がいますが、ディーマジェスティ=ホクラニミサやアドミラブル=イサベルと同じ方程式が当てはまる可能性はある