栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

血統クリニック~弥生賞

2013-03-03 20:59:20 | 血統予想

「競馬総合チャンネル」では「血統クリニック」と題して、メインレースの出走予定馬の血統解説をしています(毎週木曜夕方更新)
弥生賞はこんな感じです

◆本質はダービー向きだが
 エピファネイアはオークス馬シーザリオの息子で父はシンボリクリスエス。母を少し長手にしたような体型で、Kris S.≒Habitat2×4のニアリークロスで体質が抜群に柔らかくしなやかで、デビュー戦のスピードに乗ったときのフォームには痺れた。一方でRobertoとSadler's Wellsの組み合わせからパワーと機動力も受け継いでいて、京都2歳SやラジオNIKKEI杯では内回りで器用に立ち回れるところもみせた。今でも内回りよりは外回り向きで、皐月よりはダービー向きだと思ってはいるのだが、中山内2000mだからといって大きく割り引く必要はないだろう。

◆ディープの教科書的好配合
 カミノタサハラはボレアス・マウントシャスタの全弟で、母母クロカミは府中牝馬Sなど重賞2勝。母はNorthern Dancer4×4とLa Troienneの継続クロス、自身はナスキロとBurghclere≒Aureoleのニアリークロスというディープ産駒の教科書的な好配合で、全兄弟がこれだけ走っても何ら不思議はない。兄弟のなかでは最も体型に伸びがあって体質もナスキロ柔く、東京で伸び伸び走って強い馬だろうが、中山内回りでも少頭数なら外捲りでねじ伏せてしまうかもしれない…と思わせるだけのスケールはある。

◆母方のマイラー資質で
 コディーノの母ハッピーパスは京都牝馬S勝ち馬で、その半姉にマイルCSのシンコウラブリイがいる。キングカメハメハは万能だが配合には正直な種牡馬だから、コディーノは母方のマイラーっぽいスピードと実直で前向きな性格を強く受け継いだ。コディーノと7/8同血(父キンカメ、母がサンデーサイレンス×シンコウラブリイ)のマイネエポナも前向きなマイラーに出ている。2000mだとスロー希望だろうが、となると朝日杯でガツンと行きたがったのがやはり気になる。

 キズナはファレノプシスの半弟で、ナリタブライアンやビワハヤヒデのイトコ。ディープ×Storm Catは柔らかさや軽さがオンになりやすい配合だが、この馬は牝系のパワーも表現されていて動きに力強さがあるのがいい。そのぶん少し俊敏さに欠けるところもあるので、スローの瞬発力勝負よりは時計や上がりがかかる決着がベターか。

 サトノネプチューンは皐月賞馬ヴィクトリーと父系(Roberto)と母系(バレークイーン)が同じで、だからシンボリクリスエス産駒にしては中山内回り向きの機動力がある。レース運びの巧さで食い下がりそう。

 ヘミングウェイはファンタスティックライトなど近親に活躍馬多数の名牝系で、ネオユニヴァース×MachiavellianでHalo3×4はヴィクトワールピサと同じ、母系にMachiavellianとDanzigが入るから配合パターンはロジユニヴァースとも似る。こちらのほうが母のマイラーっぽさが出ているが、上記2頭が弥生賞を勝っているように中山内回り向きの機動力を誇る配合なのはたしかだ。

 ダービーフィズはアプリコットフィズの全弟でマンハッタンカフェの甥。こちらは男馬のぶん姉のような繊細さやひ弱さがなく、折り合いはつきすぎるほどだし、一瞬の鋭さこそないが持続力に富み追えば追うほど伸び続ける。本質的には東京向きだが、中山でも前走のような上がりのかかる持続戦なら強い馬だ。ここは流れが落ち着きそうなので評価を落とした。

 バッドボーイは父マンハッタンカフェ、母父ミスプロ系、そして自身はRibotのクロスだからマンハッタンスカイを思わせる配合パターンで、先行しぶとい脚質も似ている。細身でナスキロ柔い体質で、スピードの乗りがジワジワだから、中山内回りで緩急の激しいレースになるとどうか。平均ペースで逃げてみる手はある。

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弥生賞回顧~それでも際立った脚

2013-03-03 20:10:11 | 血統予想

中山11R 弥生賞
◎12.エピファネイア
○3.コディーノ
▲6.キズナ
△8.カミノタサハラ
×5.マイネルクロップ
注7.ヘミングウェイ
昨年は多頭数でいろいろ不利や紛れが生じて波乱になったが、クラシック路線の王道だし頭数も落ち着くので大きな波乱はないレースだ。ただしエクイターフの導入とともにイン伸びが顕著な馬場になったので、当時のフェノーメノやショウナンマイティのようにまだ緩さがあって、大外を回して追い込むしかないような馬ではなかなか届かない。◎は母シーザリオを少し長手にしたような体型で、クリスエス≒ハビタット2×4のニアリークロスで体質が抜群に柔らかくしなやかで、デビュー戦のスピードに乗ったときのフォームには痺れた。一方でロベルトとサドラーズウェルズの組み合わせからパワーや機動力も受け継いでいて、京都2歳SやラジオNIKKEI杯では内回りを俊敏器用に立ち回ってもいる。今でもダービー向きだと思ってはいるのだが、内回り偏重のローテを組んで皐月にも色気をみせる陣営の思惑も理解できる。キンカメは配合に素直な種牡馬で、○は母系のマイラーっぽさも出ていてベストは1800mだと書いてきた。2000mならスロー希望で、イン好位で我慢できれば東スポ杯のようにビュンと抜け出してくるはず。ディープ2騎やダービーフィズは俊敏さ鋭さでは見劣るので、◎○にスローで折り合われてしまうと辛く、大知や和田がレースを動かしてくれるのを待つ身。

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エピファネイアが押さえきれずに行ってしまったこともあって、上がりだけの競馬ではなく4Fのややロングスパートというか、使える脚の速さと長さの両方が問われる弥生賞やったと思います

エピファネイアの敗因は前にカベがつくれず行きたがったこと、イン伸び馬場で少し外を回らされたこと、この二つによってラジオNIKKEIと比べると1馬身ほどはロスがあっただろうし、そして1馬身ロスがあって勝てる相手ではなかったと

よく言うように名馬と呼ばれるような馬は柔らかく大きく、かつ強く速く動ける体質をしているもので、パドックを並足でリラックスして歩いているときは身のこなしは柔らかいのですが少し頼りなく思えるほどなのに、何かに驚いたり気合いが乗ったりして小走りになったりするときにはギュッと筋肉が収縮するのがわかる…というのが優れた体質だと思っていて、テレビのパドックなんかではそういうところを一生懸命見てるんですが、弥生賞のパドックをみていて、体質だけなら1にコディーノ、2にカミノタサハラで、キズナはちょっとしなやかさと俊敏さが足りないし、エピファネイアは溜息が出るほど柔らかいのですが、動作の際にギュッと収縮する力感があんまり伝わってこないのです

この馬は胴長でナスキロ柔いのでストライドを華麗に伸ばして走れるし、一方で後駆はRobertoの影響も強くて加速も俊敏なのですが、パワーや力強さという点では物足りなさがあり、ようするにまだ緩いというやつで、角居先生はそういう馬に無理から筋肉をつけて完成を急かすようなことはしないですから、たぶん春は緩くて非力なままでしょう

でも引っかかって早めに行く形から、4角で追い出したら他をアッという間に置き去りにして、最後は坂で失速してしまいましたが、今日も際立つ脚をみせたのはこの馬だけ

これもよく言うことですが、数完歩のハッとするような脚を使うとか、そんなにスローでもないのにガツンと引っかかってしまうのは、並の馬にはない俊敏さや加速力を持っているという裏付けでもあるわけで、そして極限のハイレベルの競馬になればなるほど、そういう「ハッとする脚」がモノを言うものなのだ…とは言っておきたいです

昨年さっさんが共同通信杯の後に言ってた、差されはしたけれどディープブリランテの4角の加速の物凄さ、あれも「ハッとする脚」といっていいでしょうね~

柔らかく大きく強く速く動けるのが名馬の条件だとすれば、エピファネイアには「強く」がまだ足りないということが明らかになったわけで、新馬を勝ったばかりのときに「母系にHabitatが入るボリクリ産駒はやや非力で京都外回りベストになりやすい」と書いたことがありましたが、走るたびになのになのにと驚かされてきたこの馬にも、「だから」の弱点が一つあったのです

「な~んや、完全無欠の名馬やなかったんや、やっぱりHabitatの非力さもONになっとるんや」と、予想も血統論も穴だらけの血統屋は、しょげ返るエピファの背中をポンポン叩いてなぐさめてやりたくなります(^ ^;)

コディーノは柔らかく強くて体質は最高なんですが、骨格がかなりシンコウラブリイ的だからストライドがバーンと伸びていく走りにはなりにくく、今日の満点のレース運びでミヤジタイガを差せないということは、東スポ杯のように他馬が止まって見えるほどの反応で弾けなかったということは、やっぱりベストは1800mなのだ…ということが明らかになったのではないかと

「な~んや、やっぱりシンコウラブリイ一族やん」(背中ポンポン)

カミノサタハラもディープ産駒らしい体質の良さはあるのですが、「兄弟のなかでは一番体型に伸びがあって、一番距離適性長めで、一番持続型に出ている」と書いてきたように、ちょっと背中が長すぎるので、マウントシャスタほどマイラーっぽい俊敏な加速はできないんですよね~

今日もどこかでビュンと速い脚を使うというわけではなく、3角すぎから外に出して追って叩いて動かして、ウチパクがズブい馬をもってくる必殺技を全部出してやっとこもってきたという感じで、そういう意味では蛯名には悪いですがこの乗り替わりは吉と出たかも

「血統屋」で毎年やってるPOG企画「ディープインパクト好配合馬」では私と栗山さんが◎評価を10頭選んでますが、二人の◎が一致したのはリグヴェーダとトーセンワープとノーブルコロネットと、そしてこのカミノタサハラの4頭でした

いくらディープ産駒でもジェンティルドンナみたいな「なのにの名馬」を血統表だけで激賞するのはなかなか大変ですが、血統表の範ちゅうで推察可能な「だからの発現」だけでも弥生賞馬は指名できるのだと、それぐらいのことは証明していかないと…とは二人とも思ってます

そんなのだって全兄2頭が走ってるじゃん、とおっしゃるかもしれませんが、全きょうだい3頭が、体質や骨格など発現の仕方は微妙に異なって適性も微妙に違っても、「だからの発現」だけで十分重賞を勝てるぐらいの、ほんとに教科書的な好配合なのですよ

とはいえ今日の勝ち方はまだ血統表から説明できる「だから」の範ちゅうの強さで、もちろん地力と底力は世代トップクラスなのは疑いないですが、この先まだまだ成長して「えええええっ!こんな勝ち方もできるのか、こんな強さも秘めていたとは…」と望田を驚かせるほどの、「なのに」の強さをみせてくれることを期待しています

血統解説については、また別エントリで明日以降やりたいと思いますが(もう金麦飲みたいやん…)、いずれにしても「柔らかく大きく」「速く強く」が全部そろったオルフェーヴルみたいな馬は今年は不在ですから、いよいよクラシックが面白くなってきましたね~

コメント (8)
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「一口馬主好配合馬ピックアップ(2011)」ティアーモが新馬勝ち

2013-03-03 11:42:51 | 共有クラブ

先ほどの阪神の新馬戦を「一口馬主好配合馬ピックアップ(2011)」のティアーモ(栗山・望田Wピックアップ)が勝ちました~
これで一昨年ロードHCからピックアップした3頭は、ロードクルセイダー、ロードシュプリーム(ともに栗山ピック)と全て勝ち上がりです(・∀・)
下記に再掲します

★ロードサラブレッドオーナーズ
父キングカメハメハ
母レディチャーム(サンデーサイレンス)
募集価格:1575万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010101353/
多くの活躍馬が出ている「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」。2代母リンダストが「Lyphard×Riverman」ですから、ローズキングダムと配合構成がよく似ています。ローズキングダムの2代母ロゼカラーは「Shirley Heights(その父 Mill Reef)×Lyphard」。リンダストに含まれる Riverman とローズキングダムに含まれる Mill Reef は相似な血なのでそっくりです。もちろん、リンダストとロゼカラーでは実績が違うわけですが、リンダストの母 Barger はフリオーソの3代母で、女傑 Triptych(愛英仏で9つのG1を制覇)の全妹ですから、こちらも血統的には筋が通っています。当たれば飛距離が出そうな配合です。(栗山)

11/1追記
栗山さんも書いているようにローズキングダムと7/8以上同血ということになり、馬のタイプも似ているでしょう。持続力のある中距離馬として期待できる配合だと思います。(望田)

G1阪神JFをローブティサージュが制覇!レッドオーヴァルも桜花賞に名乗り!
現3歳世代は53頭出走で20頭勝ち上がり!平均獲得賞金750万円以上!
現在ウイン(一次、二次)、キャロット、グリーン、シルク、タイキ、ターファイト、ノルマンディー、ラフィアン(一次、二次)、ロード、ローレル、東サラの募集馬をピックアップ中!
栗山求・望田潤の「一口馬主好配合馬ピックアップ2012」
http://miesque.com/c00009.html

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日曜のボツ予想~アンカツさんの置き土産

2013-03-03 10:59:05 | 血統予想

潮来は先行馬がソコソコ揃ってスローは考えにくいし、スローになったらまた▲ショウナンバーズがかかって逃げ馬をつつくでしょうから持続戦想定で

カナロアは母がKingmambo×Sadler's Wells×Alydarで母系の奥にFair Trialが多いから、ピクシープリンセスを体質硬く捲り脚質にしたような馬で中山2500mはピッタリのイメージがあるし、○ナンデヤネンは母がダイワメジャーと同血でそこにKris S.だから先行力のないメイショウカドマツという感じで、これも中山の長いところをダラダラ捲る競馬が合っています

前者は京都内2000mの上がり12.2-12.7でカポーティスターと叩き合い、後者は福島2600mの上がり11.5-12.1でサクセスパシュートに食い下がり、スタミナでオープン入りしたハーツクライをモノサシにすれば1000万下なら本命級の印が打てるだろうと

ちなみにマクリ職人だけあって、蛯名がスカーレットインク牝系に乗ったときは[6.6.2.22]で中山芝に限定すると[3.0.0.4]、ヒシカツジェームスでもグレートバルサーでも決めるべきところはビシッと決めてます(エフティシリウスはバケツを持って立ってなさい)

一方で騎乗数が20以上あるなかで単複回値が低いのが祐一(32,48)と秋山(23,62)というのはあまりにもイメージどおりというか、やっぱりこの牝系は動かしていく乗り役が合いますな~

古いところでは柴田政人師が[3.0.0.1]というのが目についたので、データ一覧をみると全部スカーレットブーケとのコンビで、中山では2戦2勝で1800mの中山牝馬とターコイズをともに通過順位4-4-2で快勝、そら捲るべき馬で捲らないと中山でメシは食えまへん

北宏は中山記念で「目標にされたのが敗因」といってましたが、彼は岡部さんの弟子なので先頭に立ったら一呼吸入れて後ろを待つ癖が染みついてますから、ダイワファルコンももうちょっと強引に動かすほうが勝ち味があるかもしれませんよ

武庫川は◎トウケイヘイロー
字面は1400m[3.1.1.2]1600m[0.0.0.3]も、朝日杯4着もシンザン4着も外を回るロスがあってのもので、1600mが長いということは全くないですよ

父ゴールドヘイローがサンデー×ミスプロ×Buckpasser、自身はCaerleon牝系とMill Reefを通じるナスキロラトロのクロス、そして母母ハイネスポートがノーザンテースト×ファンシミンでHyperion4・5×4でここが1/4異系

冷蔵庫を開けるとサンデーとSeeking the Goldとミルジョージとノーザンテーストとファンシミンがあったので、テキスト105ページ「ゼンノロブロイでオープン馬をつくろう」のアニメイトバイオやルルーシュのレシピを参考に、似たような食材で似たような手順でつくってみたらうまいことオープン級のマイラーができあがり、シマントガワ先生からお褒めの言葉をいただきました…という教科書的好配合です

ちょっと行きたがるので休み明けで外枠で川田が持っていかれないかが心配ですが、そういう気性ですから鉄砲はきくでしょう

大阪城は◎ミキノバンジョー
「グラスワンダー(ロベルト系)×リヴリア(リヴァーマン系)×トウショウボーイだから、タニノギムレット(ロベルト系)×ルション(リヴァーマン系)×トウショウボーイのウオッカと似た累代で血統的には中距離だし、全体にハイインロー的な粘りを増した配合だから前受けしたほうがいいし、マイラーではないから前受けするには1800m以上あったほうがいい」と、ここまで七夕賞の予想コメントのコピペ

短距離で差し追い込みに回るという謎の路線変更でオープン入り後は低迷してましたが、アンカツさんが本来の距離で本来の脚質に戻していった置き土産みたいな馬ですから、インベタ馬場で逃げ馬不在、太宰もキッパリ行くときは行かないと

萌黄は大難解ですがどうせわからんのなら穴っぽいところで、母が芝1200mで3連勝してオープン入りしたエクボ、こっちのキャラで走るサンカルロ型の◎シゲルホウオウザと、菱田くんが短距離でフワリと先行する○ジンセイハオマツリで少し参加

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