波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

坂本龍一氏 逝く

2023年04月03日 | 日記・エッセイ・コラム

坂本龍一(以下、他も敬称略)ご逝去。若い時は、「のへーっとした間の抜けた風貌に化粧なんかしやがって、何がテクノよ、バブルの軽薄芸能人」なんて感じていた。映画音楽で「やるな」となり、原発、沖縄、安保、自然保護の真っ直ぐな意見表明で「すごいな」に変わった。長い闘病生活もあるのか、顔つきに厳しさと優しさと深さが入り交じるようになった。享年71歳、惜しい人が逝った。

大江健三郎が先月亡くなった時、「長い間、ご苦労様」と思った。先週末のTV(1995年放送『追悼 大江健三郎さんノーベル賞の旅』)の録画を今朝見ていたら、授賞式講演の言葉に「戦争に抗議しない人間は共謀者である」があり、この意志を坂本龍一も持っていた、だが一緒に消えてしまった。2年前の坂本の「戦争は外交の失敗。攻められたらというより先に、責められないようにしましょう。それをせず軍備増強に金を使うなど本末転倒」は、今こそ思い出すべき言葉。

大手マスコミが戦争反対、軍事費拡大反対を言わない中、世界に通用する表現者の勇気ある姿勢がどれほど庶民を元気づけるものであったか。坂本と同学年の忌野清志郎(享年58)が今も生きていてくれたらなあ、とつくづく思う。時代をまっとうに表現した3人、表現方法は違うが、本質は詩人なんだろうなあ。炭坑のガスを感知して鳴くカナリヤのように。亡くなるその日まで毅然と美しく鳴き続けてくれた。


久しぶりに似顔イラスト描く。この前は、柳家小三治だったかな瀬戸内寂聴だったかな。特徴をデフォルメしつつ「この人好きだな」を定着させる作業。聞いたり見たりした言葉も、ブログに書くのは脳に「定着」させたいから。もっと大事だと思えば筆で書いて壁に貼り、さらに進むと板に彫る 『大江健三郎 作家自身を語る』(新潮社)を読んでいる。辺境の地に生まれ育ったことが人生に仕事(小説)にどんな影響を与えたのかを知る。

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