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盗んだパトカーの持ち主は悪徳保安官……どうしよう!「コップ・カー’15」劇場公開2016年4月

2016-08-09 15:45:24 | 映画

               
 ケツ」「ケツの穴」「ださい」「おっぱい」十代はじめの少年トラヴィス(ジェームズ・フリードソン=ジャクソン)が言う。復唱するのはハリソン(ヘイズ・ウェルフォード)。家出をしてきた二人の少年は、そんな言葉遊びをしながら草原を歩いていく。

 やがて藪に囲まれた空き地に一台のパトカーを発見する。用心深く近づいていくが無人なのが分かる。鍵を発見してパトカーに乗って草原を走り回る。そして閉ざしてあるフェンスを車で壊して幹線道路へ出る。一体どうなることやら! 

 一方パトカーの保安官はどうしているんだ。多分近くの家で人妻と楽しんでいるんだろう。この推測は見事に外れた。クインラン郡保安官ミッチ・クレッツアー(ケヴィン・ベーコン)は、死体を埋めていた。パトカーを置いた場所に戻ってみると、もう一人の気絶した男とパトカーが消えていた。保安官はかけ出した。こちらも一体どうなることやら!

 心配は要らない。綿密な構成と芸達者な俳優に恵まれて秀作という出来栄え。一言で言えば瑕疵の一切ない映画といえる。

 例えば、子供が車の鍵を見つけるシーン。鍵のついていないパトカーの運転席でパトカーを走らせている気分で手をぶんぶん振り回す。その手がサンバイザーに当たり鍵が落ちてくる。

 鍵を探す場合、普通はグローブボックスやシートの下などだが、子供の特長を生かした鍵発見場面には感心した。一つ一つが考え抜かれていると言ってもいい。

 ただ一つ、あのようにうまく行くかな? という場面。それは走ってきた保安官が車を盗むシーン。当然鍵がかかっている。保安官はブーツの紐を外し運転席側の窓を力任せに隙間を作る。そこから投げ縄のように丸い輪をロックノブに引っ掛けて引き上げればロックが外れる。この場面は感情移入のせいかハラハラとしたが、果たして本当に出来るのかとの思いも浮かんだ。映画では成功するが。

 保安官が何故死体を始末しないといけないのかという疑問もいずれ分かる。そして納得できる。結末から見ると少年二人にとって「家出ほど怖いものはない」というところか。これは必見の映画ですよ。
          
          
          
          
          

監督
ジョン・ワッツ1981年6月コロラド州ファウンテン生まれというからまだ35歳。脚本も書いていてこれから楽しみな監督ではある。

キャスト
ケヴィン・ベーコン1958年7月ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。劇中ケヴィン・ベーコン扮する保安官が本部と連絡をとるが、その相手を妻のキーラー・セジウィックが声の出演をしている。1965年8月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ジェームズ・フリードソン=ジャクソン出自不詳。
ヘイズ・ウェルフォード2003年7月生まれ。
カムリン・マンハイム1961年3月ニュージャージー州生まれ。
シュー・ウィガム1969年1月フロリダ州タラハシー生まれ。

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別に犯人がいるのを知りながら、なぜ自ら容疑者となったのか「砂上の法廷’16」劇場公開2016年3月

2016-08-07 16:08:29 | 映画

              
 弁護士のブーン・ラシター(ジム・ベルーシ)が寝室で殺された。胸には鋭利なナイフが刺さっていた。ベッド脇には腕時計が落ちていた。母親のロレッタ・ラシター(レニー・ゼルヴィガー)がうろたえているのを目にした息子のマイク(ガブリエル・バッソ)が瞬時に判断したのは自分がやったと言うことだった。

 この場面は、陪審員によるマイクの無罪評決のあとに明らかにされる。それまでは第1級謀殺で起訴されたマイクは、弁護をするリチャード・ラムゼイ(キアヌ・リーヴス)にも一言も喋らない。ラムゼイもなす術がなく様子見からスタートする。

 ラムゼイの戦略は陪審員を如何に味方につけるか。これは死んだブーン・ラシターから教えられたものだった。ルイジアナ州34地区地方裁判所は見るからに薄暗くて質素なたたずまいを見せていた。

 富裕層相手のチャーター機の客室乗務員、ラシターお抱えの運転手、事件捜査の刑事、隣人、司法解剖の担当者などのあとブーンの妻も証言する。これらはみんな嘘をついている。“人は嘘をつく”ドラマ、「ドクター・ハウス」を思い出させる。

 その間マイクは法律用箋に生い茂った木を描いたり、なにか模様のようなものを描いていた。そして唐突に知らされたのは、マイクが証言したいと言いはじめたことだった。危険な賭けでありラムゼイの戦略を消し飛ばしかねない。しかし、憲法で保障されている権利であり拒むことは出来ない。

 その証言は衝撃的なものだった。「12歳の頃から父親ブーンにレイプされていた」法廷は声もなく静まり返った。
 ブーンが殺害される直前、進学大学を巡る旅でチャーター機を利用したがそのときもレイプされたのか。答えはイエスだった。

 そこで客室乗務員を再喚問する。検事の質問にレイプを否定する客室乗務員に対し、ラムゼイの法律補助員黒人女性のジャネル(ググ・ンバータニロー)が質問に立つ。巧みな質問で客室乗務員から機内でレイプ行為の可能性を示した。これは合理的な疑いとして弁護の武器になる。

 しかし、ジャネルは懐疑的で「もし、マイクが嘘をついていたら」本当の犯人は母親かもしれない。ラムゼイは「弁護士は依頼人の利益を優先する」として取り合わない。

 検察は本人の自供だけで証拠がないとして有罪を求めたが、陪審員の評決は「無罪」だった。ほっとした表情を見せるマイク。弁護人のラムゼイとハグしながら「後で話がある」と囁く。そして法廷で腕時計の模様を描いていた紙を渡して「殺したのはお前だろ?」マイクは時計を確認していた。

 ただ、この場面は唐突に出てきたという印象で意外性を持ち込んだのかもしれないが、十代のマイクが第1級謀殺という死刑か無期懲役の重い罪で裁かれるという状況や自白だけで合理的な疑いがあるとはいいながら無罪というのも理解しがたい。物語の流れに無理がある。あまり印象に残らなかったのはそのためか。
           
           
           
           

監督
コートニー・ハント1964年テネシー州メンフィス生まれ。

キャスト
キアヌ・リーヴス1964年9月レバノン、ベイルート生まれ。
レニー・ゼルヴィガー1969年4月テキサス州ケイティ生まれ。
ググ・ンバータニロー1983年6月イギリス、オックスフォード生まれ。
ガブリエル・バッソミズーリー州セントルイス生まれ。
ジム・ベルーシ1954年6月イリノイ州シカゴ生まれ。

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天才医師の一風変わった愛情表現。海外ドラマ「ドクター・ハウス」

2016-08-04 16:34:24 | 映画


 白衣を嫌う医師グレゴリー・ハウス(ヒュー・ローリー)は、放射線、感染症、腎臓内科の専門医でニュージャージー州にあるプレインズボロ教育病院の診断科のチーフである。

 相当変わった人物で外来の診察を嫌い、しかも特異な病状だけに興味を示す。その時は「面白い」と言う。患者をモルモットのように扱うから批判が多いが意に介さない。「人は嘘をつく」が口癖で患者の家に不法侵入させて、病気の遠因を探ることまでやらせる。

 言葉遣いは横柄で部下に「バカ呼ばわり」でひんしゅくを買う。緊張を解くつもりか下ネタ連発もある。気遣いや心遣いもするが表現が下手なのかなかなか相手に伝わらない。それは比ゆを用いて伝えるからともいえる。直截的な表現でないから伝わる人には伝わると言う按配だ。

 こんな性格だから受け入れる病院がない。業界では天才医師と言われるハウスを、学生時代の友人でプレインズボロ教育病院の院長リサ・カディ(リサ・エデルシュタイン)が拾い上げた。

 ハウス自身も誤診により血栓の発見が遅れたため、右足の筋肉が失われ慢性的な痛みを抱えている。その痛みを抑えるために鎮痛剤のバイコデンの依存症でもある。これがドラマの流れを複雑にしハウスにも精神病院への入院や刑務所への収監という不名誉な痕跡を残す。

 ドラマのオープニングは、ある人間が何らかの原因で嘔吐や喀血をしながら倒れる。搬送された患者にハウスの部下が手を尽くすが原因の特定が思うように行かない。患者の何度かの痙攣や呼吸困難を見ながらハウスは白板に病名を列挙。部下とブレイン・ストーミングを行い絞っていく。そして毎度のことながら何らかのヒントにはっとして原因が判明、治療に成功する。

 部下のレギュラー・メンバー第一次は、エリック・フォアマン(オマー・エップス)、アリソン・キャメロン(ジェニファー・モリソン)、ロバート・チェイス(ジェシー・スペンサー)。

 紅一点のキャメロンは、ハウスに真意をただす。レストランで「あなたがどう思っているか知りたいの。私のことを……」しばし考えをめぐらして「君は完全じゃないものを愛するクセがある。だからガン患者と結婚した。それは愛じゃない。欲求だ。夫が亡くなって欲求を満たせる男を探している。だから俺を選んだ。歳は倍ほど違うし、俺は外見も中味も最低だ。だから俺が必要なんだろう。不良品だから」とハウス。この言葉が当たっていたのかどうか、その後キャメロンはチェイスと付き合い始める。

 このキャメロンを演じたジェニファー・モリソンも可愛い女優だ。キャメロンを見るのが楽しみだった。

 魅力的な女性といえば第二次唯一の女医レミー・ハドリー(オリヴィア・ワイルド)だ。レズビアンで難病のハンチントン病患者でもある。ハウスは厳しいけれどハドリーを気にかけていて、ハドリーと恋人の女性とのキス・シーンを見て自由を与えるためクビを宣告する。

 そのときハドリーのセクシーな目にハウスへの敬慕と感謝の念が浮かんだ。「さよなら ハウス」彼女は去っていった。

 のちにハドリーは「ハウスほど私を愛してくれた人はいない」とまで言わせている。あるとき、難病を抱えるハドリーの不安について、いよいよとなれば「殺してやるよ」とハウスは約束をする。それをハドリーは愛と感じたのかもしれない。

 そう、このハドリーに毎回会うのが楽しみだった。手が届く範囲にこういう人がしたらメロメロになるだろうなあ。

 この医療ドラマもいよいよ最終回。最終回はハウスの友人ジェームス・ウィルソン(ロバート・ショーン・レナード)がガンを患い治療を続けて生きながらえるか運命に任せるか。

 運命を選択したウィルソンにより添えるべく奇策をめぐらすというハウスらしい結末だった。バイクにまたがって、病院のしがらみから逃れるように緑の森を疾走するハウスとウィルソン。このドラマは友情の物語とも言える。愛とは友情とは、考えさせられるドラマだった。
           
           


キャスト
ヒュー・ローリー1959年6月イギリス、オクスフォード生まれ。作家、コメディアン、ミュージシャンと多才。2006年テレビドラマ男優部門でゴールデングローブ賞受賞。2007年テレビドラマ男優部門でゴールデングローブ賞受賞とドラマシリーズ主演男優部門で全米映画俳優組合賞を受賞した。
 シーズン6第16話のラストシーンでピアノを演奏する。曲はイギリスのロック・グループ、プロコル・ハルム1976年のヒット曲「A Whiter Shade of Pale青い影」をそのプロコル・ハルムでどうぞ!

ロバート・ショーン・レナード1969年2月ニュージャージー州生まれ。 2001年にトム・ストッパードの舞台"The Invention of Love"でトニー賞を受賞した。
リサ・エデルシュタイン1966年5月マサチューセッツ州ボストン生まれ。
ジェニファー・モリソン1979年4月イリノイ州シカゴ生まれ。
オマー・エップス1973年7月ニューヨーク、ブルックリン生まれ。
ジェシー・スペンサー1979年2月オーストラリア、メルボルン生まれ。
オリヴィア・ワイルド1984年3月ニューヨーク生まれ。目がすごくセクシー。やっぱり2009年のマキシム誌による「セクシーな女性100人」の1位に選ばれたという。

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