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別に犯人がいるのを知りながら、なぜ自ら容疑者となったのか「砂上の法廷’16」劇場公開2016年3月

2016-08-07 16:08:29 | 映画

              
 弁護士のブーン・ラシター(ジム・ベルーシ)が寝室で殺された。胸には鋭利なナイフが刺さっていた。ベッド脇には腕時計が落ちていた。母親のロレッタ・ラシター(レニー・ゼルヴィガー)がうろたえているのを目にした息子のマイク(ガブリエル・バッソ)が瞬時に判断したのは自分がやったと言うことだった。

 この場面は、陪審員によるマイクの無罪評決のあとに明らかにされる。それまでは第1級謀殺で起訴されたマイクは、弁護をするリチャード・ラムゼイ(キアヌ・リーヴス)にも一言も喋らない。ラムゼイもなす術がなく様子見からスタートする。

 ラムゼイの戦略は陪審員を如何に味方につけるか。これは死んだブーン・ラシターから教えられたものだった。ルイジアナ州34地区地方裁判所は見るからに薄暗くて質素なたたずまいを見せていた。

 富裕層相手のチャーター機の客室乗務員、ラシターお抱えの運転手、事件捜査の刑事、隣人、司法解剖の担当者などのあとブーンの妻も証言する。これらはみんな嘘をついている。“人は嘘をつく”ドラマ、「ドクター・ハウス」を思い出させる。

 その間マイクは法律用箋に生い茂った木を描いたり、なにか模様のようなものを描いていた。そして唐突に知らされたのは、マイクが証言したいと言いはじめたことだった。危険な賭けでありラムゼイの戦略を消し飛ばしかねない。しかし、憲法で保障されている権利であり拒むことは出来ない。

 その証言は衝撃的なものだった。「12歳の頃から父親ブーンにレイプされていた」法廷は声もなく静まり返った。
 ブーンが殺害される直前、進学大学を巡る旅でチャーター機を利用したがそのときもレイプされたのか。答えはイエスだった。

 そこで客室乗務員を再喚問する。検事の質問にレイプを否定する客室乗務員に対し、ラムゼイの法律補助員黒人女性のジャネル(ググ・ンバータニロー)が質問に立つ。巧みな質問で客室乗務員から機内でレイプ行為の可能性を示した。これは合理的な疑いとして弁護の武器になる。

 しかし、ジャネルは懐疑的で「もし、マイクが嘘をついていたら」本当の犯人は母親かもしれない。ラムゼイは「弁護士は依頼人の利益を優先する」として取り合わない。

 検察は本人の自供だけで証拠がないとして有罪を求めたが、陪審員の評決は「無罪」だった。ほっとした表情を見せるマイク。弁護人のラムゼイとハグしながら「後で話がある」と囁く。そして法廷で腕時計の模様を描いていた紙を渡して「殺したのはお前だろ?」マイクは時計を確認していた。

 ただ、この場面は唐突に出てきたという印象で意外性を持ち込んだのかもしれないが、十代のマイクが第1級謀殺という死刑か無期懲役の重い罪で裁かれるという状況や自白だけで合理的な疑いがあるとはいいながら無罪というのも理解しがたい。物語の流れに無理がある。あまり印象に残らなかったのはそのためか。
           
           
           
           

監督
コートニー・ハント1964年テネシー州メンフィス生まれ。

キャスト
キアヌ・リーヴス1964年9月レバノン、ベイルート生まれ。
レニー・ゼルヴィガー1969年4月テキサス州ケイティ生まれ。
ググ・ンバータニロー1983年6月イギリス、オックスフォード生まれ。
ガブリエル・バッソミズーリー州セントルイス生まれ。
ジム・ベルーシ1954年6月イリノイ州シカゴ生まれ。

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