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心に傷を負った男(その2)「マンチェスター・バイ・ザ・シー」2016年制作 劇場公開2017年5月

2017-11-22 20:31:50 | 映画

               
 タイトルを見ると「海辺のマンチェスター」と思ってしまうが、実はそっくりそのまま町の名前だそうだ。マサチューセッツ州ボストンから39キロ北東にあるエセックス郡にある。実際、大西洋に面したものすごく小さい町。2010年現在の人口は5136人、うち白人が97.6%を占めるという。

 この町で育ち今はボストンで便利屋の仕事をしているリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)には、火事で子供三人を失い妻とは離婚という消すことのできない悲惨な過去がある。それが多分に性格へ影響しているのか、快活とはほど遠い暗い印象の男だ。相手の感情を逆なでするような物言いで不評を買っている。

 女性にも興味がなさそうで、バーのカウンターでビールを飲んでいる時、隣の女性が振り向きざまリーに当たりビールが飛び散る。恐縮する女性。女性は名乗ったがリーは知らん顔。そんなリーにチラチラと目を向ける男二人連れ。それがリーには不快なのか男たちにいちゃもんをつけて殴り倒す。まるで悪ガキ。

 そんな日常に兄死亡の訃報が届く。忌まわしい思い出の故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーへ。兄の妻も変わった女で家を出ている。そして弁護士から告げられたのは、残された一人息子16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人にリーを兄が指名していることだった。

 16歳といえば生意気盛り。この二人の関係がやがてリーにも変化が起きる。真冬から早春へ、マンチェスター・バイ・ザ・シーのロケで風景が満喫できる。その中でリー・チャンドラーを演じたケイシー・アフレックは、独特の口調で閉ざされた心を持つ男を好演、アカデミー賞主演男優賞受賞を手にする。

 こういう映画はアメリカの日常が見える。リーが便利屋ということでごみを捨てるが、立って人が入れるぐらいの大きなゴミ箱で、何でもかんでも投げ入れている。分別処理なんて考えてもいない。ちなみに千葉市のごみ処理は、分別だがペットボトルのシールまではがして出すことになっている。内心これはやりすぎじゃないかと思っている。ミシン目まであるトイレット・ペーパーともども外国では考えられないような日常が日本にはある。映画はいろいろ考えさせられる。

 製作陣にマット・デイモンの名もあり資金も出しているようだ。製作費850万ドル、興行収入7770万ドル。マット・デイモンにとって効果的な投資だったと言える。
      

      
監督
ケネス・ロナーガン1962年10月ニューヨーク市ブロンクス生まれ。

キャスト
ケイシー・アフレック1975年8月マサチューセッツ州生まれ。
ミシェル・ウィリアムズ1980年9月モンタナ州生まれ。
カイル・チャンドラー1965年9月ニューヨーク州バッファロー生まれ。
グレッチェン・モル1972年11月コネチカット州生まれ。
ルーカス・ヘッジズ1997年1月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。

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