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映画 「ニューオーリンズ・トライアル」(03)

2005-07-12 11:20:37 | 映画
 原告側と被告側にそれぞれ陪審コンサルタントがつき、陪審員選びから激しい駆け引きが行われる。自分たちに有利な陪審員を選べれば、裁判は勝ったも同然といわれる。

 原告側弁護士ローア(ダスティン・ホフマン)と被告側陪審コンサルタント、フィッチ(ジーン・ハックマン)それにニック(ジョン・キューザック)マーリー(レイチェル・ワイズ)のカップルが織り成す至上の騙しのテクニックや不法侵入調査、さげすみに満ちたやり取りなどが裁判の裏でエンターテインメント性豊かに展開する。

 事の発端は、ある日の朝証券会社で、男が16人を死傷させ自殺するという事件が発生する。その2年後、被害者の一人の遺族が、銃の無差別な販売によって夫が殺された原因だとして、銃器メーカーを相手取って損害賠償を求める民事訴訟を起こす。

 映画はハイテク機器を備え陪審員の背後を徹底的に調べ上げる凄腕陪審コンサルタントの緊迫感のある映像が楽しめ、ニックたちが仕掛ける罠も見応えがある。それに加えて典型的な正統派弁護士の、この裁判を通じて法を変えようとする実直な正義感がさわやかな印象を与えている。

 ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンは、若いころ友人関係にあったという。共演はこの作品が初めてだそうで、二人が対峙するトイレの場面は核心部分だ。この場面の終わりごろ、稼ぎのいい凄腕陪審コンサルタントのハックマンの本性が現れる。
 「連中(陪審員)は、真実と正義とアメリカの理想など屁とも思っていない」と言ってはばからない。そして、トイレのドアを引きながらホフマンに向かって、小馬鹿にしたような笑みと笑い声で指差しながら「安いスーツだ!」と言い放つ。なんと、憎まれ役を心憎いほど演じる。

 この陪審コンサルタントは「アメリカでは産業化されていて、30年以上の歴史があり広く一般に知られたのはO・J・シンプソンの裁判からで、人間の表情や仕草を観察し反応を判断する」と言うのは有名な陪審コンサルタントジョー=エレン・ディミトリアスと言う人。

 この映画を監督したゲイリー・ブレダーは、「詐欺師の話だ」と言っている。いずれにしても、観て損のない映画だ。エンディング・ロールのバックに流れるのは「Heart of Mine」で、ノラ・ジョーンズが歌っている。ミディアム・テンポで印象的。
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