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ニューズウィーク日本版から、熾烈なアメリカ社会が見えてくる。

2015-12-30 16:10:01 | 社会

     
 どれほど熾烈かというのがコラム「ベストセラーからアメリカを読む」の中にある。コラムを書いている人は、渡辺由香里さんという人。

 この人の略歴は「助産婦、日本語学校勤務、広告業、外資系医療製品製造会社勤務など、さまざまな職業を経験。 平成13年/2001年に「ノー ティアーズ」で小説新潮長篇新人賞を受賞。翌年「神たちの誤算」を新潮社から出版」となっている。

 「今年5月にニューヨークで開催されたアメリカ最大のブックフェア『BookExpo America』で新人作家のジェシカ・トム(Jessica Tom)と偶然出会い、10月に発売予定の彼女のデビュー作品『Food Whore: A Novel of Dining and Deceit』をいただいた」という紹介があって本の中味の説明は「食べることが大好きで、料理本を出版する夢を持つ若い女性ティナが、ニューヨークの熾烈なグルメ業界で恋とビジネスに格闘するという小説」という。

 「著者のトムによると「Food Whore」とはA person who will do anything for food.(食べ物のためなら何でもする人)を意味する」の説明もある。

 このWhoreは、売春婦という意味とアメリカの学生俗語で何かを夢中でやる人という意味もあるらしい。詳しい中味は省くとして、この本の真髄はこちらにあると著者は言う。
 「アメリカでは、日本のように有名大学を卒業するだけでは優良企業への就職はできない。アメリカの就活で物を言うのはコネであり、親が金持ちでコネがある学生は成績が悪くても職を見つけることができる。
 だから『Food Whore』のティナのように普通の家庭で育った学生は、人一倍努力しなければならない。料理本を出版する夢があるなら、大学のグルメ雑誌で記事を書き、在学中にインターンで実績を積み、奴隷のような仕事までしてコネを作り、卒業時にはすでに熾烈な競争を勝ち抜いたプロになっていなければならない。
 ティナのようなグルメ業界だけでなく、どの分野でも大学や大学院卒業の時点で何年ものキャリアを持つプロであることが要求される。そうでないと希望の場所には就職できない。それがアメリカの厳しい現実なのだ。成功を目指すアメリカ人の若い男性ならまったく普通の行動だ。女性の場合は普通の男性を超えるくらいでないと、マンハッタンの厳しいビジネスの世界では生き残れないのだ」

 シリコンバレーも厳しいんだろうなあ。マンハッタンの厳しいビジネス社会というから地域限定なのかな。それにしても入社してから学ぶなんてお笑い種なんだ。社内教育なんて期待する方がおかしいんだな。

 子供も親次第とはねえ。親も血眼で金を稼いでコネを作らなくてはならない。大変だなあ。しかし、卒業生が全員マンハッタンに行くわけじゃないからな。おれはコロラドで牧場に勤めるよという人もいる。

 いずれにしても、どんな本でも得るところがあるものだ。ついでに、この本はいまのところ洋書のみ。

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