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フィンランドの風景が見られるロードムービー「旅人は夢を奏でる’12」フィンランド映画 

2015-03-17 17:14:46 | 映画

               
 太っちょで足の悪いレオ(ヴァサ=マッティ・ロイリ)は、35年振りに息子ティモ(サムリ・エデルマン)のマンションのドアの前で眠っていた。帰宅したティモは、35年前の父親を覚えているはずがない。それでもレオが「ティモ」と呼んだくらいだから怪しいやつではないだろう。ということで部屋に入れる。

 ここからのやりとりが、ぎこちないながらやはり親子という雰囲気になっていく。ティモはプロのピアニストで妻と子供は実家に帰っていて別居中、マンションでは一人暮らし。

 ティモはレオに聞く、「それで?」
「さあな」とレオ。

 いったい何のために来たのか分からない。このレオという男、コンビニ強盗までもさりげなくやってしまう。店にあったナイロンストッキングで顔を覆い、食品の入った買い物籠を提げてレジで右手のひらをぬっと出す。店員がレジを開ける。金を掬い取り、取った中から札を出し「釣りはいらない」笑っちゃうよ。

 「とにかく北へ向かおう」という事でレオが盗んだオープンカーをレンタ・カーだとウソをついてティモに運転させる。ここで気がつかないとおかしいんだが、ティモの「キーは?」の返事が「最新式だから青と赤の線で掛かる」ティモは納得したのかどうか、すいすいと運転する。この映画は、こんな具合に笑わせながら最後は「ええっ、本当?」という展開で終わる。

 フィンランドという国は、面積が日本より少し小さいくらいだが、人口は約540万人しかいない。だからちょっと幹線道路から外れると人家や車が極端に少なくなる。

 画面は向かって左がレオ、ティモは右の運転席。他愛のない会話が続く。車の後方まで見通せる。淡い外灯に照らされる道路。
 その雰囲気は、私がよく走った真夜中の三桁国道、例えば365号のようだ。前にも後ろにも車なし。時折対向車とすれ違う。ひたすらテープの音楽に耳を傾け、眠気防止のガムを噛む。懐かしい思い出が蘇る。ほとんどは登山へのナイトランだった。

 フィンランドの風景も、わが日本を連想させるには十分で、住宅も日本で建てられている洋風建築とそっくり。そういう連想もあったのか、この映画は意外に印象の残るものとなった。

 レオ役のヴェサ=マッティ・ロイリは、俳優、歌手、スポーツマンとある。このヴェサ=マッティ・ロイリと息子のティモ役のサムリ・エデルマンとのデュエットはなかなか聞かせるものだった。歌ったあとこの二人は男の本性を表した結果、二人の女に財布を盗まれる。

 それがガソリン給油のときに分かる。レオは「まあ、楽しんだから仕様がない。ガソリンは入れて逃げよう」と屈託がない。家族とか親と子の絆をなにげなく描いていて、観て損はないと思う。劇場公開2014年1月
            
            
            
            
            

監督
ミカ・カウリスマキ1955年9月フィンランド生まれ。製作、原案、脚本も担当。

キャスト
ヴェサ=マッティ・ロイリ1945年1月フィンランド、ヘルシンキ生まれ。
サムリ・エデルマン1968年7月フィンランド、ポムリ生まれ。
ティモの妻役イリナ・ビョークルンド1973年2月スウェーデン生まれ。

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