「月曜日には魚料理を注文しない」とアンソニーは言う。月曜日の魚が古いと知っているからだ。
つまり、シェフは木曜日に魚を注文し、金曜日の朝に届けてくれという。次の配達日は月曜の朝になるから、大量に注文する。市場は金曜日の夜に閉まる。悪くすれば、木曜日の魚と同じものになる。だから、四日前の魚という理屈だ。
月曜日のスペシャルメニューは、気をつけたほうがいい。まあ、こんな調子だが、アンソニーの食への好奇心はとどまるところを知らない。食べ物や料理は賭けのようなものだ。牡蠣を食べてあたることもあるだろう。たまたまあたったからといって、血入りのソーセージや刺身やキューバの安食堂の煮込み料理を味わう喜びを捨てる気は私には毛頭ないと言い切る。
ムール貝を敬遠しろとか、戻ってきたパンの使い回しはほとんど常識だという。そのほかにもいろいろあるけれど、レストランを選ぶヒントもさりげなく記述してある。
つまり、トイレの不潔な店では食事はしない。これは絶対確実だろう。日本ではあまり気にしなくてもいいかもしれない。私は寿司屋に入って思うが、この板前はトイレに行けば手をよく洗っているのだろうか? 手で握られるので気になることではある。
福島県喜多方市は、喜多方ラーメンでも有名なところだ。ある年のあるとき、駅前のラーメン店に入った。ちっちゃい店でお客もそこそこ入っていた。テレビや週刊誌で有名になったのかもしれない。食べ終わってトイレを借りた。目にしたトイレは、汲み取り式の薄暗くて陰気な場所だった。とたんに、食べたものが胃からせり上がってきた。今でも、喜多方=汲み取り式トイレ、ラーメン=汲み取り式トイレが連想されて胸が悪くなる。
どこかのお家を訪問してもトイレの様子が、そこの人を物語る。お寺でも、きれいで身障者用のトイレまであるところは、庭や周辺の手入れが行き届いている例が多い。
また、キャンプ場にも洋式が用意されるようになっていて、私のように和式の苦手な者にはうれしい限りだ。
アンソニーの食へのこだわりは、「シーフードを食べるのは相変わらず火曜、水曜、木曜と決めている。なぜなら、そのほうが旨いと分かっているし、またの機会もあるからだ。
だが、たった一度、内蔵も含めた本格的なフグ料理を味わうチャンスがあったらどうする?その板前とは面識がなく、なじみのない極東の奇妙な都市にいる。そして、明日の飛行機で帰国する予定だったら? 私なら食べる。一生に一度なのだから」
市場についてはアメリカでの話しで、日本の築地市場は日曜日が休みで、祭日や水曜、木曜が休みの場合があるようだ。
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