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映画 ヴィム・ヴェンダース監督の「アメリカ 家族のいる風景(‘05)」

2006-11-27 09:50:41 | 映画
 往年の西部劇俳優ハワード・スペンス(サム・シェパード)がロケ現場から突然荒野に姿を消す。連れ戻すべく追うのがサター(ティム・ロス)。
               
 ハワードは母(エヴァ・マリー・セイント)の元に身を寄せる。そして母から告げられたのは、モンタナからあなたの子を宿したと電話があったという。それも随分昔に。モンタナ州ビュートで見つけたものは血のつながりだった。
 ドリーン(ジェシカ・ラング)との間に出来た息子アール(ガブリエル・マン)と別の女性との娘スカイ(サラ・ポーリー)だ。
               
左から ガブリエル・マン サラ・ポーリー フェアルーザ・バーク ヴィム・ヴェンダース
 若いとき自由気ままに過ごし、相手が妊娠しようが悲しみにくれようが振り向きもしなかった。そんな男がなぜすべてを捨てて姿を消すのか。落ちぶれた俳優といっても。残るわずかな人生に意味を見つけようとしたのだろうか。あるいは不安がその行動を起こさせたのか。
 ただ一つ言えるのは、心の奥深くで血のつながりを求めているということだ。だから母親の元を真っ先に訪れた。運命は二人の子供にめぐり合わせる。

 サターに見つけられ連れ戻される前に、二人の子供に別れを言う場面は感動的だった。それにしても、この映画の女性たちは精神的に強い。現実社会でも強いのは女なのだろう。そんなことを考えさせられた。

 配役も錚々たるもので、見ごたえは充分だった。タイトルや劇中でのカントリー音楽は、ガブリエル・マン本人が歌っているそうで、監督は吹き替えを考えたが、音楽担当のT・ボーン・バーネットがそのままでいいと言って、結果は上出来だった。

 監督 ヴィム・ヴェンダース1945年8月ドイツ・デュッセルドルフ生れ。
’84「パリ、テキサス」でロードムービーを代表する映像作家として評判になる。

 キャスト サム・シェパード1943年11月イリノイ州フォート・シェリダン生れ。劇作家として出発。‘79年にはピューリッツア賞を受賞。’75年ごろは自分のバンドをもちドラムを叩き、ボブ・ディランのツアーにも参加。‘78「天国の日々」で強い印象を残し、以来俳優として’83「ライトスタッフ」でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。「パリ、テキサス」の脚本も書いている。
               
 ジェシカ・ラング1949年4月ミネソタ州クロケット生れ。’82「トッツィー」でアカデミー助演女優賞を受賞。‘94「ブルー・スカイ」でアカデミー主演女優賞を受賞。
               
          ジェシカ・ラングの受賞作「ブルー・スカイ」のポスター
 ティム・ロス1961年5月イギリス・ロンドン生れ。
               
 ガブリエル・マン1972年5月コネチカット州ニューへブン生れ。
 サラ・ポーリー1979年1月カナダ・オンタリオ州トロント生まれ。評判になった’03「死ぬまでしたい10のこと」に主演。
 フェアルーザ・バーク1974年5月カリフォルニア州ポイントレイエス生れ。
 エヴァ・マリー・セイント1924年7月ニュージャージ州ニューアーク生まれ。‘54「波止場」でアカデミー助演女優賞を受賞。
      

 「波止場」でのエヴァ・マリー・セイント 彼女に向き合うのはマーロン・ブランド

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