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映画「アイズ ワイド シャット」アマゾンプライムで観る Fuck(ファック)がテーマ 1999年制作

2018-08-26 14:06:36 | 映画

         
 原題の「Eyes Wide Shut(眼を大きく閉じて)」は「Eyes Wide open(眼を見開いて)」のナンセンスで、劇中には仮面をつけた人たちの集まりでの乱交が描かれているから、キューブリック監督のユーモアの発露と言える。「セックスは見るものではない。するものだ」と言っているのかな。

 人が生きていく上でセックスの占める割合は、かなり大きい部分になるだろう。切っても切れない関係ともいえる。しかもセックスを楽しむというのも人間だけだ。このセックスは、人を選ばない。天才にも凡人にも公平に与えられている。セックスの後をどう責任をとるかというのが人間性に関わる問題。意外に凡人の方が素直に結婚して責任を果たしているように見える。

 今日(8月24日)アップル社の今は亡き共同創業者のスティーブ・ジョブズの娘リサが暴露本を出版したというニュースがある。(この記事はこちらで読んでください

 リサは婚外子でDNA鑑定でようやくジョブズがわが子であること認めたという経緯がある。ジョブズ23歳の時の子で、出産を機に恋人と別れた。無責任だね。しかも正妻への遺産が2兆円あるのにリサの母親に全くない。リサには数百万ドルと言われる。リサの母親とは血のつながりがないが、リサは血を分けた娘と思っているのかも。単なるはけ口としての母親だった。業績と人間性は関係がないが、男としては尊敬できない。

 そしてこの映画は、ニューヨークの内科医ビル・ハーフォード(トム・クルーズ)とアリス(二コール・キッドマン)の実際の夫婦がコンビを組む。このとき、トム・クルーズ37歳、二コール・キッドマン32歳。娘一人を持つ夫婦、結婚して数年。どこの家庭とも同じように、セックスも毎度おなじみの手順と触れ合いで終わり刺激に乏しい。

 ヴィクター・シーグラー(シドニー・ポラック)夫妻のクリスマス・パーティに招かれる。多くの人が招かれていてステージではバンドが演奏している。ビルはアリスと踊りながらピアニストに気がついた。曲が終わり「あのピアニストは、医学部時代の同僚でニック・ナイチンゲールだ。話してくる」「私はトイレに行きたいからバーで待ってる」ニック・ナイチンゲール(トッド・フィールド)と旧交を温めて「ビレッジの“ソナタ・カフェ”で仕事をしている。よかったら寄ってくれ」とニック。

 パーティから帰ってベッドでマリファナを吸う。やや酩酊のアリス。
「ビル、あなた女の子二人と何をしていたの? やったの?」とアリスは言う。
ビル「何もしてないよ。それより踊っていた男は何者?」
アリス「シーグラーの友人でハンガリー人。私とファックしたがってたわ」

 これなんかわざと下品な言葉とお互い男や女に関心をもたれるという刺激剤なのだろう。「おれの女房とやりたがる男がいるんだ。そんなことさせるもんか。おれ専用なんだぞ」とビルは自分に言い聞かせる。

 そんなときアリスの告白を聞いたビルは、その妄想に付きまとわれる。それはある夏のケープゴッド。「食堂で若い海軍士官がいたでしょ。あの朝ロビーで彼を見たの。彼はチェックインして荷物を持ったベルボーイについてエレベーターに。彼は通り過ぎる時、私をチラッと見たわ。

 その日の午後あなたとセックスをした。でも、ずーとあの人のことが心に残っていた。もし、あの人が私を欲したら、それがたったひと夜限りでもすべてを捨てられると思った。でも、不思議なのはそのとき一番あなたが愛おしかった。そしてその時、私はあなたを愛しながら胸が痛んでいた」

 聞きながらアリスを上目づかいに凝視するビル。「そうなのか。おれを愛しながら他の男とのセックスも期待する。心の闇か」と思うが、一人でぼんやりとしているとき、妻と海軍士官のセックスを想像してしまう。

 患者宅からの緊急電話で夜訪問する。すでに患者は死んでいた。しかし、あろうことかこの家の娘がビルにキスしてきた。「愛している」と何度も言う。ビルはくじける心を気丈にも耐えながら呼び鈴に救われる。彼女の恋人が来訪した。しかし、女は理解できない思いで辞去する。

 アリスの待つ家に帰るのも何故かためらいの気持ちがある。あの告白がビルを混乱させている。交差点の信号が赤で立ち止まっていると横に女が立った。
「私の家に来ない? すぐそこよ」
「えっ、君のところに?」
「分かるでしょ」
「まあね」

 ビルの頭の中は“娼婦なら後腐れがない。別のセックスを楽しむのも悪くない”部屋に入って「じゃあ、決めよう。金額を」「150ドルでいいわ」女はビルにキスをしてきた。(ちょっと待った。娼婦は口にキスをしない人が多い筈。娼婦でもプライドがある。好きな人のために口へのキスは断固拒否する筈だ)

 ビルの携帯電話が鳴った。アリスからだった。「患者宅でもう少し時間がかかる」と言って誤魔化す。セックスする気持ちは消え伏せた。女に150ドルを握らせて外に出る。

 ぶらぶらと歩いて気が付いたら、ニックが働く「ソナタ・カフェ」の前だった。何かが起こる期待とどうしても自宅への道のりが長くいつまでも歩いていたい気分だ。ニックが演奏するジャズが終わった。

 ビルがビール、ニックがウォッカトニック。ニックが言う「目隠しをして演奏することがあるよ」驚くビル。ビルが聞き出したところによると、「これから演奏する場所は毎回違う。しかも分かるのが1時間前。目隠しがずれて目にしたものは、あんなのは初めてだった。あんな女たちも」

 俄然興味を覚えたビル。そこへニックの携帯が鳴る。ニックは返事をしながらナプキンに何かを書く。そのナプキンには「フィデリオ」とあった。ニックによるとこれはパスワードで仮面仮装が条件という。一緒にはいけない。「じゃあ、住所を教えてくれ」とビル。映画は、ここら辺りからミステリアスな展開になっていく。

 真夜中を過ぎて閉店していた貸衣装店に無理を言ってマスク、マント、靴を借りてタクシーで、ニューヨーク州南部ロングアイランド北岸にあるグレン・コーブの壮大な屋敷に着いた。案内されてマントにマスク姿で見たものは、黒い布で目隠しをされたニックがオルガンで荘厳な音楽を奏でている。
 その広いフロアにはTバックショーツだけのマスクをした女性たちが円形に並んでいる。その中央にマスクをして長い杖と振り香炉を持った男が、女の前で杖をドンと音をたてると女はマントを着てマスクをした男と別の部屋へ移動する。

 ビルもその部屋へ移動する。そこはいろんな体位の乱交が繰り広げられ、マスクとマントの人たちがそれを見ている。やっと気付いた。ここは秘密の仮面仮装セックス・パーティだ。すると女が現れ「このままでは危険だから、すぐに帰った方がいい」と言うがビルの好奇心は素直ではなかった。

 ぶらついていると強引にさっきのフロアに突き出された。女の前で杖をドンと突きたてていた男が言う。「このハウスのパスワードを言え」
ビルは「忘れた」と答えた。門とハウスにパスワードがあるとは思ってもみなかった。
男は言う「マスクをとって裸になれ!」
 逡巡していると吹き抜けの2階から女の声。さっきこのままでは危険と言った女だった。「やめて、その人を行かせて 私が身代わりになります」

 ここの状況を口外するなと言われて追い払われた。翌日、貸衣装店に返品したが、入れた筈のマスクだけがない。不思議に思いながらもその代金を払うことで決着した。腑に落ちないことが多いあのパーティ。

 受けている診断予約を変更して、イギリスの4WD車レンジローバーでグレン・コーブの屋敷に向かった。大きな門の前で監視カメラに顔を見せて待った。やがて木々の間からロールスロイスに乗った男がやってきて一通の手紙をよこした。そこには「ビル・ハートフォードへ 無駄な詮索はやめろ これは2度目の忠告だ これ以上は言わんぞ 君の身のためだ」とあった。このミステリーについてはこれ以上書かないことにする。意外な人物が関わっている。

 人類の根源と言えるセックスを描き妄想から派生する人間の愚かさにも触れるが、最後のセリフは逃れられない究極を示すのか。
「アリスどうする?」すべてを告白したビルの質問。
アリス「大切なのは今、私たちは起きている。そしてこれからも目覚めていたい。あなたを愛している。だから私たち大事なことをすぐにしなきゃダメ」
ビル「何を?」
アリス「ファック」
  
  
  
 監督のスタンリー・キューブリックは完ぺき主義者だったらしい。一つ一つのシーンが長い。しかも飛行機恐怖症でイギリスでしか映画を撮らない。したがってトム・クルーズ、二コール・キッドマン夫妻も1年ほどイギリスに住んだ。アメリカの自宅に拘った二コール・キッドマンとの破局はこれが原因ともいわれる。1928年7月ニューヨーク市ブロンクス生まれ。1999年3月没 アカデミー賞にはあまり縁がない。ノミネートはされるが1968年「2001年宇宙の旅」で特殊効果賞の受賞のみ。

キャスト
トム・クルーズ1962年7月ニューヨーク州シラキュース生まれ。1990年キッドマンと結婚、2001年離婚。
二コール・キッドマン1967年6月ハワイ、ホノルル生まれ。2002年「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演女優賞受賞。
シドニー・ポラック1934年7月インディアナ州ラファイエット生まれ。
トッド・フィールド1964年2月カリフォルニア州ポモナ生まれ。 
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