Wind Socks

気軽に発信します。

暗号機エニグマの解読をした変人数学者アラン・チューリングを描く「イミテーション・ゲーム’14」

2015-10-07 15:51:42 | 映画

              
 アラン・チューリング1912.6.23~1954.6.7 41歳の夭折。研究分野は、数学、暗号解読、計算機科学とウィキペディアにある。この人が、今われわれが使っているコンピューターの礎を築いた。大変ありがたい人なのだ。

 天才といわれる人はおおむね変わっている人が多い。変人だ。この映画でも孤独で他と交わろうとしない。そんな彼を助言して支えるのがジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)。

 彼女もクロスワード・パズルの天才だった。エニグマの解読を成し遂げた業績もさることながら、この二人のドラマも感動を呼ぶ。一度は婚約した二人だったが、アランから同性愛者を理由に婚約解消をしている。仕事は今まで通りアランを助けて暗号解読に貢献する。

 次のセリフは、脚本のグレアム・ムーアの思いが込められているようだ。「君は、すべて手に入れたね。仕事も夫も、普通の暮らしも」とアラン。

 しばらく考え込んだジョーンは「普通の人には出来ないわ。今朝、私は消滅したかもしれない街の電車に乗った。あなたが救った街よ。死んでいたかもしれない男から切符を買った。あなたが救った人よ。仕事に必要な科学研究の資料を読んだわ。あなたがその基礎を築いたのよ。あなたが普通を望んでも私は絶対お断り。あなたが普通じゃないから世界はこんなにすばらしい」

アラン「本当にそう思う?」

「私はこう思う。時として誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げる」と言うジョーンは、アランと過ごしたかったのだろう。この二人が結婚していたら、どんな子供が生まれたのだろう。天才と天才で狂人にならないか? まあ、そんなことはどうでもいい。

 アカデミー脚本賞受賞のグレアム・ムーアは受賞スピーチでこんなことを言っているようだ。fc2のナドレックのブログから引用しよう。

 「アラン・チューリングは、このような舞台で皆さんの前に立つことができませんでした。でも、わたしは立っています。これは不公平です。16歳の時、わたしは自殺未遂をしました。自分は変わった人間だと、周りに馴染めないと感じたからです。でも、いまここに立っています。この映画を、そういう子どもたちに捧げたい。自分は変わっている、どこにも馴染めないと思っている人たちへ。君には居場所があります。変わったままで良いのです。そして、いつか君がここに立つときが来ます。だからあなたがここに立ったときには、君が次の世代に、このメッセージを伝えてください。ありがとう」

 冒頭からミステリアスに展開する物語は、作り手の確かな技もあって単なる成功物語でなく人間ドラマに仕上がっている。エンドロールに重ねるナレーションは、「1年間の強制的なホルモン投与の後、アラン・チューリングは1954.6.7自殺した。1885年から1967年までに英国法により約4万9000人の同性愛の男性がわいせつ罪で有罪となった。2013年エリザベス女王はチューリングに“死後恩赦”を与え、前例のない彼の偉業をたたえた」余情のあるいい映画だった。劇場公開2015年3月
          
          
          
          

監督
モルテン・ティルドゥム1967年ノルウェー生まれ。
脚本グレアム・ムーア1981年シカゴ生まれ。

キャスト
ベネディクト・カンバーバッチ1976年7月ロンドン生まれ。
キーラ・ナイトレイ1985年3月イギリス、ミドルセックス生まれ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする