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映画「いつか眠りにつく前にEVENING ’07」劇場公開2008年2月

2013-06-17 16:53:50 | 映画

                 
 時にハッキリしたり、また夢を見るような混濁した意識に包まれながら、やがて訪れる永久の眠りの前に人はどんなことを思うのであろうか。

 病の床に臥せるアン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、「ハリス」という名前をよく口にするようになった。ニナ(トニ・コレット)とコニー(ナターシャ・リチャードソン)姉妹は、今まで聞いたこともない名前だし、しかも「バディ」を殺したとも言う。謎の多い母の言葉。その言葉が気になるニナ、過去の母のことを詮索しないほうがいいと言うコニー。

 40年前の出来事はアン(クレア・デインズ)がロードアイランド州ニューポートの海沿いにあるバス停に降り立ったところから始まる。
 豪華な別荘が点在するここニューポートで、バディ(ヒュー・ダンシー)の姉ライラ(メイミー・ガマー)の結婚式に出席して、ライラのために「タイム・アフター・タイム」を歌うためだった。

 ここで出会ったのがハリス(パトリック・ウィルソン)だった。が、二人は結ばれなかった。死の間際に甦るかつて愛した人の面影。
 それでもアンは娘たちに「人生に過ちなんてないのよ。怯えないで!」

 ニナは妊娠していて恋人と結婚するか、あるいは堕胎するか迷っていた。姉のコニーからは、根無し草のようだと揶揄もされていた。
 そんなある日、老いたライラ(メリル・ストリープ)が訪ねてくる。アンと昔話に懐かしい時間を過ごしたあと、玄関ホールでニナの問いかけに「お母様の人生は完璧よ。あなたを生んだもの。お母様のすべてを知ることはムリだけど、間違いなくとても豊かな人生よ」
ニナは呟く「変なことを口走るの」
「人間は謎めいた生き物よ。最期には多くのことにこだわらなくなるの」とライラ。
ニナが「本当にそう思う?」
「ええ、老人の言葉を信じて!」」とライラ。

 母と娘の年代の違いを埋めるもの、それは時間と人生経験といえる。娘は母のたどった年代にならないとそのときの母の気持ちは分からない。そこに人生経験が加わると、はるかな先の母の年代を見通せるようになる。年を重ねていくと深い思いやりが見られるのはそのためだ。

 娘二人は、母の死によって、母のように強くなった。そしてニナに子供が生まれる。一人が去り、一人が誕生する。

 それにしても老年のライラを演じたメリル・ストリープには感心する。玄関ホールから階段を昇る場面は、実に自然に老年を演じていた。階段を昇る前に周囲に目をやりながら、たどたどしい足取りで昇っていった。勿論降りるときも老女だった。ストリープ自身は、まだ64歳だからまだ老け込む年齢ではない。何をやってもそつがない。

 もう一つ、気になる仕草が見えた。それは女性同士だが、相手の前髪が垂れているのを優しく後ろへ撫でながら整える仕草だ。ニナとコニー姉妹。老いたライラとアン。老いたライラとニナでもそれがあった。
 そう思いながら今日(6月16日)のニュース、ロシアのプーチン大統領が「私はかもめ」で有名なかつての女性宇宙飛行士テレシコワにその業績をたたえる表彰をした。(いまごろなんで? とも思うが。政治的利用?)

 それはともかく、映像ではどこかで献花していて終わったあと金髪の少女の前髪をやはり後ろに撫でていた。これは欧米の親愛の情の表現の一種なんだろか。ふとそう思ったが、どうなんだろう??
            
            
            
            
                   

監督
ラホス・コルタイ1964年4月ハンガリー、ブタベスト生まれ。

キャスト
クレア・デインズ1979年4月ニューヨーク生まれ。
ヴァネッサ・レッドグレーヴ1937年1月ロンドン生まれ。
トニ・コレット1972年11月オーストラリア、シドニー生まれ。
ナターシャ・リチャードソン1963年5月ロンドン生まれ。トニー・リチャードソン監督とヴァネッサ・レッドグレーヴとの間に生まれる。
パトリック・ウィルソン1973年7月ヴァージニア州ノーフォーク生まれ。
ヒュー・ダンシー1975年6月イギリス、イングランド生まれ。
メイミー・ガマー1983年8月ニューヨーク生まれ。母がメリル・ストリープ。
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