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映画 ジャック・ニコルソン「さらば冬のかもめ(‘73)THE LAST DETAIL」

2007-10-11 10:59:23 | 映画

              
 ジャック・ニコルソンが36歳での出演作である。邦題には詩的なタイトルがつけられているが、寒々とした冬の風景の中に護送する水兵二人が、ポーツマス海軍刑務所で囚人が連れされられるのを無言で階段を見上げているショットが、いやでも現実的瞬間を意識させられる。
 また二人が刑務所を出て歩みさる住宅地の風景も、人影一人なく道ばたの黄色の枯れ草と吐く息の白さと足音が厳寒の厳しさとともに僅か40ドルの窃盗で、8年の刑と懲戒除隊の運命も重なる。

 ビル(ジャック・ニコルソン)とマルホール(オーティス・ヤング)は、小児麻痺の献金箱から40ドルを盗んだとして懲役8年と懲戒除隊の判決を受けたラリー・メドウズ(ランディ・クェイド)を護送することになる。
 バージニア州ノーフォーク海軍基地からメイン州ポーツマス海軍刑務所までグレイハウンド・バスやアムトラックの鉄道で移動する。
 最初は手錠をかけていたが、途中からはまったく手錠なしの護送となる。その間、ビールをがぶ飲みして列車の発車時間に遅れたり囚人ラリーの筆おろしに手を貸したりする。
 娼婦とのこの場面がなかなか秀逸だが、筆おろしの意味が現在も通用するのだろうか? 童貞を失うことで、生涯最初のセックス体験だ。そして、雪の舞う公園でバーべキューと震えながらビールを飲んでいると、女の味を知ったラリーは、刑務所に入るのがいやになったのかゆっくりと離れようとして気づいたビルに、教えてもらった手旗信号で右手を横に出してブラボー、右手を斜め上に左手を斜め下にだしてヤンキー、ひざの前で両手を交差してバイバイ。結局は捉まってしまうけれど。
              
 ジャック・ニコルソンの自然な演技は、この頃から一級品といってもいい。DVDに入っている監督解説などでよく言われる、街中を歩くシーンが非常に難しいと。この映画は、そんなシーンの連続で注意深く見ていたが、葉巻を吸いながら唾まで吐くということまでやっていた。

 監督 ハル・アシュビー1929年9月~1988年12月ユタ州オグデン生れ。
 キャスト ジャック・ニコルソン1937年4月ニュージャージー州ネプチューン生れ。この映画では、アカデミー主演男優賞ノミネート。
 ランディ・クェイド1950年10月テキサス州ヒューストン生れ。この映画でアカデミー助演男優賞ノミネート。
 オーティス・ヤング1932年7月~2001年10月ロードアイランド州生れ。
コメント (3)
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