次のセッションへ、と切り替えたところで大きなくしゃみが一つ出て、鼻水が止まらなくなった。
あまりにも急な変わりように笑いが出てしまう。
やって来た女性にはそんな症状はない。
だがあらゆるところに痛みの信号は出ていて、いわゆる「未病状態」だ。
セッションが始まると、僕の鼻水はおさまったがゲップが止まらない。
僕は僕で失礼を謝り、彼女はゲップは自分のものだと自覚しているから謝る。
お互いに謝り合う。
相談内容は転職について。
本人にもわかるよう兆しは来ていて、順調に辿ればスムーズに進みそうな話だった。
問題は体調。
『寝たきりになる』
と聞こえるのを伝えるのは気が重い。
脅しになるような言葉はつとめて伝えたくないが、それでは本人のためにはならない。
前置きとともに伝えるとショックは受けたようだが、これも兆しがないわけではないから、対策を考える方向への転換は速い。
「『寝たきり』は避けられないことでしょうか？」
と尋ねられるが、そうではないだろう。
このタイミングで伝えられたことに感謝して、迅速に生活習慣を変えていけば良い。
やるべきことは単純。
未来の決定権は本人にある。
『自分が何をほしいのか、わかっているのか？』
と追いかける。
そこに一心に問い続けたら、寝たきりになることなどは絶対にないだろう。
