昨日に引き続き、東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信氏による「日本語人の脳」(言叢社)より。
ここから先は、さらに神秘的、超自然的な分野に切り込んでいく。
耳から入力された信号がどうやって左脳と右脳に振り分けられるか。
それは、大脳皮質の働きではなく、その手前の脳幹にある左右選別の自動スイッチ機構によるもので、無意識下で行われる。
音の物理的な姿を認識して右と左に振り分けているのだ。
著者は、周波数の純音を1ヘルツ刻みで人の耳を通して調べてみて、40ヘルツのところで右脳と左脳のスイッチが突然切り替わることに気づいた。
39ヘルツまでは右脳優位だった音が、40ヘルツになった途端に左脳優位になり、41ヘルツになると元の右脳優位に戻るのだ。
同様のことが60ヘルツ、80ヘルツでも起こり、さらに100ヘルツ以上大体1万ヘルツまでで、40と60の倍数ヘルツで正確に逆転現象が起こる。
この現象は日本語人だけではなく人類共通だという。
驚くべきはその精度で、40ヘルツや60ヘルツぴったりから0.000001ヘルツずれても逆転は起こらないのだそうだ。
また、このセンサーは満年齢にも反応する。
55歳の人は55ヘルツの音、あるいは周波数の違う55種類の音を合わせた音でも左右脳の逆転現象を起こす。
しかも、誕生日できちっと変わる。
これらが何を意味するかというと、人間の脳センサーは地球が太陽の周囲を公転していることを把握しているし、100万分の1秒の精度をもつ、極めて精密な脳内時計を持っているということだ。(周波数は時間情報と空間情報の厳密な統合ということが背景にある。)
宇宙と一体化したシステムが人の脳に組み込まれているということになる。
脳は月齢も把握している。
満月の日はやはりセンサーのスイッチが逆になる。
この精密な脳センサーに異常をもたらすものを、著者はある時発見した。
実験を続ける中、満年齢と正確に合致していた「年輪系」の数値が減少し始めた時があったのだ。
それに止まらず、減少のスピードが加速し、左右差が消失してどちらの耳も高感度に反応するようになった。
その状態が、あることが契機となって解消し、年輪系が元通りに機能するようになる。
そのあることとは、地震の発生だった。
地震ストレスがあるとセンサーに狂いが生じ、地震発生後には正常に戻ることがわかったのだ。
地球の地殻の歪みが、耳に関連した脳センサーに狂いを生じさせることを、著者が発見した瞬間である。
著者はこのことを利用して地震の予測を試みる調査をしてみたが、地震発生時期を予測するまでには至っていない。
著者の研究はさらに進む。
周囲では地殻の歪みを検知させる脳センサーを起動させるのに、ある一線を越えると正常に戻る地域的な特殊例があることを、彼はあるとき発見した。
それは伊勢神宮でのことだった。
内宮、外宮ともに外側では脳センサーによる地殻異常が検出されたのに、神宮内部ではそれがなくなったという。
それに気づいてからの彼は多くの著名な神社仏閣で調査してきたが、周囲よりストレスレベルの低い特殊な領域には出会わなかった。
それでも例外として発見できた特殊領域として、千葉県市川市国府台の天満宮周辺、成田市佐倉市その他に点在する麻賀多神社を挙げている。
参詣者の多い所より、古い土地で樹木に囲まれてひっそりとした、神主不在の神社に彼は可能性を見出しているようだ。
ちなみに、これらの実験は、被験者の両足裏が常に床に接地していないと、スイッチ機能が正常に機能しなくなり、反応が消失して検査結果が成り立たなくなるという。
グラウンディングは大事なのだ。