2006年12月に、鰻谷にあるビルの二階にグランド・オープンした。イタリアン、カウンターがメインであると言うことも、イタリアンであると言うことも、メンソールの2008年のテーマに一致する。植田シェフは、『ビランチャ』におられた方らしい。
カウンターに案内されてしばらくすると、メニューを持ってきてくれるんだけど、一番上に食前酒のメニューがあって、食前酒を勧められたりする。こうした店に北場合は、食前酒など飲みながらじっくりとメニューを吟味したいので、それがシェリーであっても泡であっても、あるいはビールであったとしても、まずオーダーする。メンソールにとっては、食前酒のメニューがあってもなくても何らかのドリンクはオーダーするんだけど、食前酒という物を啓蒙していこうという店のポリシーはうれしいかな。食前酒をサジェストすることによって客単価も上がるだろうし…。
で、泡を飲みながら、メニューを吟味する。メンソールは、メインから決めていくことにしてる。前菜から決めていくと、メインが決まった時点でもう一度料理の構成を見直すと、何となくしっくり来なくなって、またメインを見据えて前菜とプリモを再吟味することになったりすることを何度か経験したからそうなってる。この日のメインは四種類あったんだけど、豚肉とか牛肉の料理は何となく気分が違うというかモードが違ったので、二種類あった肴系料理からフグを使った料理を選んでみた。パスタとしては、茹で上げるのに25分かかるというロングフィジッリを狙いたかったんだけど、ソースとか食材とかが重複しないように選ぶと、鱈白子を使った玉子麺パスタと、車エビを使ったアクセントにトマト味をきかせたアリオリ系のやや太めのパスタとなった。で、前菜はアワビと牡蠣のクレマとなった。考えが半分くらいまとまったところで、オーダーを取りに来てくれて、「前菜から伺います」と言われたんだけど、メンソールはメニューを逆順で決めることをお話しして、逆順でオーダーしていった。全部が決定してからだったら、ちゃんと前菜から伝えるんだけどね。
結局のところ、アワビ、車エビ、鱈白子、フグという流れになったので、ワインの方もしっかり目の白ワインで通すことにした。泡と言うことも考えたんだけどね。
まず、アワビ&牡蠣のクレマ。クレマというのは、言えばクリームスープ仕立てかな。アワビが結構たくさん入ってる。クレマは口の中でフワッと広がるし、仕上げに使ってあるオリーブオイルの薫りがアクセントになってるし、フェンネルシードが使ってあるので、若干の甘みと清涼感が増しているように思う。アワビはコリコリしていて新鮮なことは判るけど、メンソールとしては、コリコリよりももう少し柔らかくなって旨みが出てきた頃の方が良いような気はする。ただ、牡蠣が入っているので、アワビのコリコリ感と、牡蠣のユルさ加減の食感の違いを狙ったのかもしれない。
パスタの一皿目だけど、車エビが結構たくさん入ってる。この店の特徴として、メニュー名になっている食材がしっかりとは行っていると言うことが挙げられるんじゃないかと思う。パスタ二皿目は鱈白子、かぶら、下仁田ネギのパスタなんだけど、カウンターテーブルに皿が置かれた瞬間に立ち上ってくる野菜達の柔らかい薫りが何とも言えず、食欲をそそり、期待感を増幅させてくれる。例によって鱈白子もしっかりと入ってる。
パンは三種盛りがバスケットに入れられてやってくる。バゲットと丸パンと、グリッシーニ。丸パンとグリッシーニは自家製だが、バゲットは業者から仕入れているらしい。たぶん全粒粉だと思われ、若干酸味があるので、ライ麦が配合されてるのかとも思ったけど、天然酵母を使うことにより生じる酸味と言うことらしい。
さてメイン。セコンドのトップに書いてあったので、一番自信のある、売りたいメニューなんだとは思うけど、果たしてフグにハムを巻いてソテーして旨いのか?、と言う思いがメンソールにはあった。フグは脂身も少ないし淡泊な味なので、結局は刺身(てっさ)にしてもポン酢と薬味の味で食べるし、鍋にしても出汁の味で食べることになってしまう。そうした部分をハムの塩分と脂分で補おうという考えは判る。だけど…、だった。ハムが勝ちすぎて、ハムの味しかしないんじゃないかとも思ったりした。でも、旨いんだ。これが…。もちろん、真っ先にはハムの味が来るんだけど、フグのプリプリとして食感があって、そしてちゃんとフグの味がする。脇を固めている野菜達も、特別な物を使っている訳じゃないんだけど、ちゃんと主役を引き立ててるといった感じ。
料理の特徴としては、柔らかめの優しい目と言った感じ。でも、柔らかくて優しいと言っても腰が砕けてるわけではないし、食材の主張はしっかりしてるし、料理の一口目を食べるたびに、その複雑さと計算に、心を奪われたりもする。
カウンターメインの店ではあるんだけど、カウンター奥の大理石が結構高いので、カウンターに座って、ライブ感覚で調理されてる一部始終を見ようと思っても無理。シェフとダイレクトに話ができたりするのは魅力だけど、(カウンター席)=(ライブ席)というわけではない。メンソールとしては、角の丸テーブルが夜景も見れてお勧め。高層階のレストランから見る夜景と、鰻谷の夜景は比べるべくもないけど、それでも夜景はロマンチックだし、女心を揺り動かすシチュエーション作りには欠かせないと思う。一気に心理的空間を詰めるならカウンター席だと思うけど、そうでないなら角の丸テーブルだと思う。本来3人掛のテーブルなので、カップルで予約できるかどうかは判らないが…。
フロア担当もしっかりしてる。かなり細かいところまで気を遣ってくれてることがよく判し、サービスについては不満はない。お願いしたバゲットが焼いてる最中で、料理終了までには間に合わなかったりしたので、帰り際におみやげとして包んでくれたりした。もちろん、その分も料金には含まれているのかもしれないけれど、客の一人一人についての気遣いは見事だと思う。
誤解を恐れずに言うと、突出して 評価できるところはないけど、欠点を探すと見つからないと言うところかな。昨年末に、メンソール以上に食通の友人と話したんだけど、当たり前のことを、当たり前に気取らずに、スルッと、サクッと、サラッとやってのける店が一番怖い。要は、本当の底力を持ってる。だから、普段通りが、こんなに旨くて、こんなに満足できる。そして、奇をてらったり、パフォーマンスに走ったりしてない分、それは自然に客の日常となって、何かの時にまた恋しくなってリピートする。そんな店だと思う。
(店 名) アルバロンガ
(ジャンル) イタリアン
(所 在 地) 大阪市中央区東心斎橋1-19-15 Unagidani Block二階
(電 話) 06-6258-0118
(営業時間) 11:30-14:00、17:30-22:00
(定 休 日) 日曜日
(ウ ェ ブ)
(席 数) カウンター10席、テーブル13席。
(予 約) ベター
カウンターに案内されてしばらくすると、メニューを持ってきてくれるんだけど、一番上に食前酒のメニューがあって、食前酒を勧められたりする。こうした店に北場合は、食前酒など飲みながらじっくりとメニューを吟味したいので、それがシェリーであっても泡であっても、あるいはビールであったとしても、まずオーダーする。メンソールにとっては、食前酒のメニューがあってもなくても何らかのドリンクはオーダーするんだけど、食前酒という物を啓蒙していこうという店のポリシーはうれしいかな。食前酒をサジェストすることによって客単価も上がるだろうし…。
で、泡を飲みながら、メニューを吟味する。メンソールは、メインから決めていくことにしてる。前菜から決めていくと、メインが決まった時点でもう一度料理の構成を見直すと、何となくしっくり来なくなって、またメインを見据えて前菜とプリモを再吟味することになったりすることを何度か経験したからそうなってる。この日のメインは四種類あったんだけど、豚肉とか牛肉の料理は何となく気分が違うというかモードが違ったので、二種類あった肴系料理からフグを使った料理を選んでみた。パスタとしては、茹で上げるのに25分かかるというロングフィジッリを狙いたかったんだけど、ソースとか食材とかが重複しないように選ぶと、鱈白子を使った玉子麺パスタと、車エビを使ったアクセントにトマト味をきかせたアリオリ系のやや太めのパスタとなった。で、前菜はアワビと牡蠣のクレマとなった。考えが半分くらいまとまったところで、オーダーを取りに来てくれて、「前菜から伺います」と言われたんだけど、メンソールはメニューを逆順で決めることをお話しして、逆順でオーダーしていった。全部が決定してからだったら、ちゃんと前菜から伝えるんだけどね。
結局のところ、アワビ、車エビ、鱈白子、フグという流れになったので、ワインの方もしっかり目の白ワインで通すことにした。泡と言うことも考えたんだけどね。
まず、アワビ&牡蠣のクレマ。クレマというのは、言えばクリームスープ仕立てかな。アワビが結構たくさん入ってる。クレマは口の中でフワッと広がるし、仕上げに使ってあるオリーブオイルの薫りがアクセントになってるし、フェンネルシードが使ってあるので、若干の甘みと清涼感が増しているように思う。アワビはコリコリしていて新鮮なことは判るけど、メンソールとしては、コリコリよりももう少し柔らかくなって旨みが出てきた頃の方が良いような気はする。ただ、牡蠣が入っているので、アワビのコリコリ感と、牡蠣のユルさ加減の食感の違いを狙ったのかもしれない。
パスタの一皿目だけど、車エビが結構たくさん入ってる。この店の特徴として、メニュー名になっている食材がしっかりとは行っていると言うことが挙げられるんじゃないかと思う。パスタ二皿目は鱈白子、かぶら、下仁田ネギのパスタなんだけど、カウンターテーブルに皿が置かれた瞬間に立ち上ってくる野菜達の柔らかい薫りが何とも言えず、食欲をそそり、期待感を増幅させてくれる。例によって鱈白子もしっかりと入ってる。
パンは三種盛りがバスケットに入れられてやってくる。バゲットと丸パンと、グリッシーニ。丸パンとグリッシーニは自家製だが、バゲットは業者から仕入れているらしい。たぶん全粒粉だと思われ、若干酸味があるので、ライ麦が配合されてるのかとも思ったけど、天然酵母を使うことにより生じる酸味と言うことらしい。
さてメイン。セコンドのトップに書いてあったので、一番自信のある、売りたいメニューなんだとは思うけど、果たしてフグにハムを巻いてソテーして旨いのか?、と言う思いがメンソールにはあった。フグは脂身も少ないし淡泊な味なので、結局は刺身(てっさ)にしてもポン酢と薬味の味で食べるし、鍋にしても出汁の味で食べることになってしまう。そうした部分をハムの塩分と脂分で補おうという考えは判る。だけど…、だった。ハムが勝ちすぎて、ハムの味しかしないんじゃないかとも思ったりした。でも、旨いんだ。これが…。もちろん、真っ先にはハムの味が来るんだけど、フグのプリプリとして食感があって、そしてちゃんとフグの味がする。脇を固めている野菜達も、特別な物を使っている訳じゃないんだけど、ちゃんと主役を引き立ててるといった感じ。
料理の特徴としては、柔らかめの優しい目と言った感じ。でも、柔らかくて優しいと言っても腰が砕けてるわけではないし、食材の主張はしっかりしてるし、料理の一口目を食べるたびに、その複雑さと計算に、心を奪われたりもする。
カウンターメインの店ではあるんだけど、カウンター奥の大理石が結構高いので、カウンターに座って、ライブ感覚で調理されてる一部始終を見ようと思っても無理。シェフとダイレクトに話ができたりするのは魅力だけど、(カウンター席)=(ライブ席)というわけではない。メンソールとしては、角の丸テーブルが夜景も見れてお勧め。高層階のレストランから見る夜景と、鰻谷の夜景は比べるべくもないけど、それでも夜景はロマンチックだし、女心を揺り動かすシチュエーション作りには欠かせないと思う。一気に心理的空間を詰めるならカウンター席だと思うけど、そうでないなら角の丸テーブルだと思う。本来3人掛のテーブルなので、カップルで予約できるかどうかは判らないが…。
フロア担当もしっかりしてる。かなり細かいところまで気を遣ってくれてることがよく判し、サービスについては不満はない。お願いしたバゲットが焼いてる最中で、料理終了までには間に合わなかったりしたので、帰り際におみやげとして包んでくれたりした。もちろん、その分も料金には含まれているのかもしれないけれど、客の一人一人についての気遣いは見事だと思う。
誤解を恐れずに言うと、突出して 評価できるところはないけど、欠点を探すと見つからないと言うところかな。昨年末に、メンソール以上に食通の友人と話したんだけど、当たり前のことを、当たり前に気取らずに、スルッと、サクッと、サラッとやってのける店が一番怖い。要は、本当の底力を持ってる。だから、普段通りが、こんなに旨くて、こんなに満足できる。そして、奇をてらったり、パフォーマンスに走ったりしてない分、それは自然に客の日常となって、何かの時にまた恋しくなってリピートする。そんな店だと思う。
(店 名) アルバロンガ
(ジャンル) イタリアン
(所 在 地) 大阪市中央区東心斎橋1-19-15 Unagidani Block二階
(電 話) 06-6258-0118
(営業時間) 11:30-14:00、17:30-22:00
(定 休 日) 日曜日
(ウ ェ ブ)
(席 数) カウンター10席、テーブル13席。
(予 約) ベター