拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

三大テナーその6(どや声で「ホセ・カレーラスでございます!」)

2021-03-01 05:01:51 | 音楽
三大テナーの公演は競技場とかでするからマイクを使う。逆に、マイクを使うから大きな会場でできる。その手法に味をしめたのがパヴァロッティ。自分のソロ・コンサートもマイクを使って大きな会場でするようになった。日本でも武道館でやったし。そのときが、私にとって、初生パヴァだった(声はマイクを通すから生ではないが)。マイク越しだとCD聴くのと一緒。こういうのはもういいと思って、次の横浜アリーナのときは行くまいと思ったが、直前になったらやはり生パヴァを見たくなって行ってしまった(声は生でなくとも姿は生である)。そう言えば、カレーラスのドン・ホセ(カルメン)をマイク越しで聴いたことがある。では、カレーラスの話。最初にカレーラスを生で聴いたのは、ロイヤルオペラの引越公演のカルメン(もちろん、マイクは使わない)。カルメンはバルツァだった。ちょうどこの頃、ブーイングおじさんがあちこちに出没し、このときもカレーラスが被害にあった。しかし、これは不当だった。カレーラスは素晴らしく歌った。ブーイングを浴びるべきはバルツァだった。この頃のバルツァは頭声と地声がはっきり分離してしまってて、その転換点がレのあたり。ハバネラはレから降りて行く。この音程がメロメロだった。サルツブルク音楽祭のカラヤンのカルメンをバルツァが降板したのもこうしたことが原因ではないか、と言う人もいた。だが、バルツァにはブーイングはなし。偉い人には文句が言えずに、ちょっと偉くない人にあたる感じがしてイヤだった。その後、カレーラスは白血病にかかり、闘病の末復活した。日本における復活公演がマイクを使ったカルメンだった。代々木のスケートリンクだったと思う。ダブルキャストでカレーラスが出るかどうかは当日にならないと分からない。で、公演日の昼間に事務局に電話して「今日のドン・ホセは誰ですか?」と聴いたときの電話の向こうの声をよく覚えている。たいそうなどや顔ならぬどや声で「ホセ・カレーラスでございます!」。「白鳥麗子でございます」と言ってる風であった。そして終演。カーテンコール(スケートリンクだからカーテンはなかったが)で最後に登場したカレーラスに、今回はブーイングはなし、満場一致で可決確定した……ではなく、満場賛美の渦であった。因みに、この公演ではフラスキータ(ソプラノ)のマイクが不調で、彼女だけ生声だった(消え入りそうだった)。「フラスキータ」とはカルメンに出てくる役名であるが、私がググると馬名がヒットする。馬名と言えば、こないだ出馬表を見てて、え?ストリッパー?と思ってよく見たら「ストームリッパー」だった。ストリップでオペラと言えば「サロメ」。これは、三大テナーとの接点は見当たらない。

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