「なにを買ったの?文房具」 片岡義男著 東京書籍
「孤独な僕は、I think better with a pencil in my hand. というワン・センテンスを思い出す。鉛筆を手にしていると自分はより良く考えることができる、という意味だ。ずっと以前にどこかで読み、それ以来いまも忘れずにいる」(本文より)
文房具は面白い。
その面白さは、実用という部分ではないところに発生する。
人生をやり直したければ消しゴムを、彩りが欲しいならば色鉛筆を、尖った部分が欲しければ鉛筆削りを、几帳面さが欲しければ定規を、思い出を大切にしたければノートブックを、君といつまでもいたいのならば香りのよい糊を、口うるさい彼女ならばその口にキスの代わりにホッチキスを、君の心が闇ならば白鉛筆を、減らず口をたたいてしまったなら修正液を、どこかでくくりたいのなら輪ゴムを・・・
僕らの生活を演出してくれる文房具たち。
「なにも描かれていないまっ白なページのなかに、あるときふと、ごく淡く、画像が浮かんでくる。そしてその画像は、少しずつ輪郭をはっきりさせていき、思いがけないディテールを次々に獲得していく、というふうにストーリーが手に入るといい。部品をもとにしたストーリーが、こんなふうに生まれていくことを僕は期待している」(本文より)
きっと、まだ見ぬ文房具たちは僕たちを待ち受けてくれている。
「孤独な僕は、I think better with a pencil in my hand. というワン・センテンスを思い出す。鉛筆を手にしていると自分はより良く考えることができる、という意味だ。ずっと以前にどこかで読み、それ以来いまも忘れずにいる」(本文より)
文房具は面白い。
その面白さは、実用という部分ではないところに発生する。
人生をやり直したければ消しゴムを、彩りが欲しいならば色鉛筆を、尖った部分が欲しければ鉛筆削りを、几帳面さが欲しければ定規を、思い出を大切にしたければノートブックを、君といつまでもいたいのならば香りのよい糊を、口うるさい彼女ならばその口にキスの代わりにホッチキスを、君の心が闇ならば白鉛筆を、減らず口をたたいてしまったなら修正液を、どこかでくくりたいのなら輪ゴムを・・・
僕らの生活を演出してくれる文房具たち。
「なにも描かれていないまっ白なページのなかに、あるときふと、ごく淡く、画像が浮かんでくる。そしてその画像は、少しずつ輪郭をはっきりさせていき、思いがけないディテールを次々に獲得していく、というふうにストーリーが手に入るといい。部品をもとにしたストーリーが、こんなふうに生まれていくことを僕は期待している」(本文より)
きっと、まだ見ぬ文房具たちは僕たちを待ち受けてくれている。
「日の丸あげて」 赤川次郎著
短編ですが、年輩者が国民の祝日に、忠告しても国旗を玄関の前に出さない人に苛立ち、同調者と一緒に少女にいたずらをしたとでっち上げ、会社も辞めさせられ、自殺に追い込んでいきます。
ラストは、年輩者が同調者を殺してしまうところで終わりになりますが、この手の人たちは僕らの周りにも少なからずいたりします。
自分の考えを押し付け、くだらないプライドのために同調してくれる人を求め安心する。
そのためには、人を中傷し傷つけようがなにしようがかまわない。
他者に束縛し、それを私のためと思い込み、ほくそ笑んで機嫌がいい。
期待を裏切った者には、いじめ倒す。
人は、あなたたちの孤独とつきあっているわけではない。
著者は、この作品に対して、こう記しています。
「強制してはならないものを法律で強引に押し付ける。その法律が通ったときに、私は小説の形で何か言わなくてはならない、と思った」
短編ですが、年輩者が国民の祝日に、忠告しても国旗を玄関の前に出さない人に苛立ち、同調者と一緒に少女にいたずらをしたとでっち上げ、会社も辞めさせられ、自殺に追い込んでいきます。
ラストは、年輩者が同調者を殺してしまうところで終わりになりますが、この手の人たちは僕らの周りにも少なからずいたりします。
自分の考えを押し付け、くだらないプライドのために同調してくれる人を求め安心する。
そのためには、人を中傷し傷つけようがなにしようがかまわない。
他者に束縛し、それを私のためと思い込み、ほくそ笑んで機嫌がいい。
期待を裏切った者には、いじめ倒す。
人は、あなたたちの孤独とつきあっているわけではない。
著者は、この作品に対して、こう記しています。
「強制してはならないものを法律で強引に押し付ける。その法律が通ったときに、私は小説の形で何か言わなくてはならない、と思った」