「暁の寺」として名高いワット・アルンは、中央の大仏塔が化粧直しの最中だった。塔の上部はすっぽりと足場に覆われ、ほとんどが隠されていたけれど、修復中の壁面を近くで眺められるというのは一興だった。宗教美術とは、その教理を形に具現化するものだから、様々な制約に縛られ、概ね似た佇まいになる。それでも建立者の思いはどこかに反映されるのだろう、ワット・アルンは陶器片で彩られた、実に美しい姿なのだった。
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