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" AS SLOW AS POSSIBLE AND AS FIRST AS NECESSARY "

新 4x4 世界秩序

2020年12月27日 | OVERLAND VEHICLE

 世界のエクスペディション、或いはオーバーランドトラベルを引率してきた署名人達は総じて、オーバーランドビークルはシンプルでなければならない、という共通の見解を持っている。英国人の自動車冒険家マック   マッケニィ氏は以前、ランドローバーの専門誌であるランドローバーマンスリーの記事の中でオーバーランドビークルについてこう述べている。Everything will evantually break and need to be easy to fix. 全ての機能は最終的には壊れる、その時に容易に直せるようでなければならない。 Keep it simple in term of vehicle choice. Do you really want to take a new Range Rover?  シンプルで維持し易い車両を選ぶ事、本当に新しいレンジローバーは必要なのか? と、自己の経験からくる主張を堂々と述べていた。

 

  MOTOR TREND が選んだ 2021 SUV OF THE YEAR は新型ランドローバーディフェンダーである。ニューディフェンダーの登場において、ランドローバー社はこのディフェンダーを持って、オーバーランドビークルはシンプルでなければならない。とする価値観の書き変えを迫っている様に感じている。それは前回ここで紹介した英国人のトムシェパードの Four-by-Four driving の著書の説明車両にニューディフェンダーが沢山登場しているからである(近年のレンジローバーは全く登場しない)。ランドローバー社のスポンサーも有っての事だが、ニューディフェンダーを前に出して、往来の価値観に対して新しい価値観を受け入れる為の突破口を開こうとする意図。或いは、ランドローバー社のラインナップが全車ラダーフレームを排除したモノコック構造と、多様な電気制御の充実機能を備えた事を正当化する意図も感じられる。

 実はこの新しい4x4に対する価値観は既に大衆には受け入れられている。それは現実を見れば分る。受け入れを拒んでいるのは4x4を愛する保守派に属する少数な人々である。そういった人々に対して往来のオーバーランドビークルはシンプルでなければならない。という価値観に対して真っ向からは否定しないで、それは分っているけど、こちらも受け入れて欲しい、理解して欲しいとする姿勢を見せているのである。最終的に4x4に対する新しい秩序が常識的に部分的にでも保守派の人々に受け入れられる事への努力の過程である。

 一番上の写真はニューヨーク郊外のあるタイヤショップでのランドローバーシリーズ3。時代が変わった現在、乗っているディフェンダーは新しくなってもシリーズ3の時代の四駆の価値観と知識は定着している。この有様をどう捉えるのかは面白い課題である。

 


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2 コメント

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Unknown (ナナマル再販乗り)
2020-12-30 23:56:15
日本でもチラチラと新型のディフェンダー見始めました。先日近くで見る機会がありましたが、堂々としたサイズ、洗練されてレンジローバーよりアドベンチャー的要素を感じさせる新感覚デザインで、日本ではサイズが問題でしょうけど、レンジより安く結構売れそうな車です。

ランドローバー社として、ラダーフレームと決別しても、オフロードとは決別せず、極めて高い踏破性(あらゆる種類のランクルと比較しても)をレンジ、ディスカバリー、ディフェンダーともに持ち合わせている、しかもそれを電子制御+サスペンション等の工夫で実現してるのは良心だと思います。

しかし私は砂漠のおじさんのようにオーバーランドの精神は理解していませんが、残念ながら現在ランドローバー社は旧型ディフェンダーのような「機能からくる必然的デザイン」は一切新型ディフェンダーには施していないと思います。見た目だけ。
耐久性はそう高くなく、事故や衝撃に関して、モノコックではもはや修理も無理でしょう。

ですが現在の自動車会社を取り巻く環境から見れば、部品の共用化、コストダウン、衝突安全性、エコの観点、購買層重視ば仕方ないことだとも思います。

ランクルも近い将来、ラダーフレームを捨てるでしょう。見た目は変わらずオフローダーでも、少なくとも長期間、抜群の耐久性はもはや過去のものになるはず(これ言うのが保守派の証・・・)

話は変わりますが、そのオーバーランドの世界で、例えばJeep(現クライスラー)という車はどう見られているのでしょうか?現在でも日本でも都会派から人気あるJeep、不思議とアフリカや南米ではあまり見ない気がするのです。

旧宗主国がイギリスだった国は、日常の足としてアフリカ・南米を中心に旧型ローバー勢が浸透しており、部品の途絶えた国はランクルに変えていく、という流れが一般的だと思うのですが、そこにJeepはあまり出てこない気がします。

Jeepという車の歴史を今一度、私もなんとなく追ってみたい気がします。軍用車両として以外は、案外アメリカ国内だけなのでしょうか。

いろんなことのあった2020ももう終わります。
良いニューイヤーホリデーをお過ごしください。
また来年もコラムを楽しみにしております。

Unknown (砂漠のおじさん)
2020-12-31 20:42:56
 10年以上前の事ですが、ニューヨークのある会社で若くてエリートのインド人のCEO(最高経営責任者)の方と仕事をした事があります。彼はデジタル思考者で紙が嫌い、長い話が嫌い、スピード決断志向のマスターディグリーの有資格者でした。彼と話をした時に、彼はこんな事を言いました。日本人の一人の貴方を見れば日本人がどういうタイプの人間なのかが大体理解出来る、と。

 この様な内容を思い出すのは、ジャガー、ランドローバーブランドは現在インドのタタ社の傘下に位置し、会社の商品には資本の意思が大きく反映されていると理解するからです。そして、以下は根拠のない妄想と想像で、ありゆるんじゃないか、という前提でのコメントです。

 ランドローバーブランドに対して、インドのエリート経営者はどの様な方針を打ち出したであろうか、という想像に対して、身近にいた一人のインド人CEOを重ねて見て、資本の意思という概念を置いて、インド人エリート経営者がどの様な判断をしてきたのであろうか?を勝手に想像します。それは、ランドローバーブランドの高級化、そして古い価値観からの離脱だったと思います。ランドローバーの持つ泥臭いイメージを排除し商品は世界中の高収入者が対象です。そして、耐久性は商品の保障期間のみに限定されています。その様に割り切って理解するとランドローバーは生まれ変わった。経営志向が変わることで製品ラインに一線が引かれた、と理解する事が出来ます。悪く捕らえると、我々が知るランドローバーは終わったと捕らえる事にもなります。

 話は変わってジープですが、ジープ(特にラングラー)が世界的にどの様に捕らえられているかの理解は私にとっても今後の課題となります。米国内に限れば、街と郊外、そしてリモートエリア。また、ニューヨークは世界中の田舎者がしのぎを削っていますので、直接当地のジープ状況などにも探りを入れる事が出来ます。今後、点と点を繋いでジープの全体像を理解出来る形になるようにやってみたいと思っています。

 それでは、良いお年をお過ごし下さい。

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