中東や中南米の産油国とは比べ物にならないがアメリカは自動車のガソリン価格がG7の中では一番安い。アメリカにおける原油の供給と確保に対するエネルギー政策は軍隊を動員する程にその位置付けを高く保っている。国土の広いこの合衆国において生活の足である自動車の活用は死活的課題で、これからもこのアメリカ合衆国が存在して行く為には安定した原油燃料の供給が、我々が生きてゆく為に食事の糧を必要とするのと同じ様に求められるのである。原油価格がアップストリーム(上流価)とすると我々が身近に感じるガソリン価格はダウンストリーム(下流価)となる。
アメリカで一番売れている車は日本ブランドの中型乗用車やSUVではなくフォードF-150のピックアップトラックである。大型ピックアップトラックは高い乗車位置を持ち大型エンジンを搭載している。フリーウェイを平均時速120キロで走破し、地方の農場や牧場に隣接した未舗装なダートコースも難無く走破してしまう高い実用性を持っている。ピックアップトラックを足として活用する人々が世界と繋がる一つの糸口がガソリン価格なのである。自動車燃料の供給や価格の不安定要素は国民感情を刺激する。このアメリカという国を動かす一つの大きな要が自動車燃料価格なのである。悪く言えば、アメリカの大衆を動かす手段として燃料価格が操作出来れば魔法の杖を得たみたいなものだ。
合衆国の豊富で継続した燃料の供給はトーイング(牽引)移動の肩を押している。オフロードビークルもキャリアーに乗せて目的地まではピックアップトラックで移動する。クローラー仕様のラングラーやクラッシックランドローバーも、BMWのGSも、または、モディフィケーションを施しルーフテントを組んだオーバーランドビークルでさえ運んでしまう。こういったピックアップトラックを活用した車の文化が定着している。アメリカのオフロードビークルを考える時には、ガソリン価格とピックアップトラック。普段表には出てこない要素を頭の隅に置いておく事も今後の参考になると思う。