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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”中国軍”駐留―袋小路の北朝鮮

2011年01月16日 15時47分43秒 | アジア
中国軍、北朝鮮に駐留…韓国は有事介入懸念(読売新聞) - goo ニュース
 東アジアにおける中国の台頭は、時計の針を反対方向に戻してしまいそうです。自国民保護を理由とした軍の駐留は、義和団事件の結果、1901年9月に清国と列強との間で結ばれた『北京議定書』を思い起こさせます(現在では、中国が軍を駐留する側に…)。

 北朝鮮に対する中国の影響力と力関係からしますと(北朝鮮は”力”にだけは反応する…)、北朝鮮やその国民が中国人居留民に危害を加えるとは考えられず、おそらく、北朝鮮の体制維持、あるいは、崩壊時における軍事介入が真の目的なのでしょう。いわば、事実上、中国の保護国となったのであり、北朝鮮は、独裁体制の維持のために、独立の放棄という高い代償を払ったことになります。そうして、中国軍の介在により、一つだけ確かとなったことは、北朝鮮の体制崩壊⇒民主化⇒平和裏の南北統一という自由主義国が期待したシナリオは、遠のいてしまったということです。

 このことは、日米をはじめ、自由主義国が、対北朝鮮政策の練り直しを迫られていることを意味しています。単純な体制崩壊促進策では、38度線まで中国の”直轄地”あるいは”傀儡国”となる可能性があるからです。現代に蘇った”帝国”を如何に押さえ込むか、これからが正念場であると思うのです。

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B型肝炎訴訟和解案―”悪魔の証明”に要注意

2011年01月15日 15時28分34秒 | 日本政治
 報道によりますと、民主党政権は、B型肝炎訴訟について札幌地裁が示した和解案を受け入れる方針を示しているようです。厚労省の試算によりますと、3兆円を越える財源を要するそうなのですが、この訴訟には、”悪魔の証明”があると思うのです。

 和解案では、ウィルスの感染原因を、昭和63年まで行われてきた予防接種での注射器の針の使い回しとし、国側に違法行為はないものの、国に和解金の支払いを求めると言うものです。個人を対象に巨額の和解金が支払われますので、事実上、国家賠償に近い形の解決となります。和解金は、国民負担ですので、この点にも疑問あるのですが、さらに、おかしな点は、予防接種の証明は要らない、というものです。つまり、B型肝炎を発症しているか、そのキャリアーであれば、誰でも申請できるということになります(陳述だけでよい…)。原告側や肝炎患者にとりましては、記録が残っているとは限りませんので、自ら予防接種で感染したことの証明は、確かに困難です。ですから、証明なく、全ての患者やキャリアーを救済せよ、ということなのでしょう。しかしながら、政府や第三者にとりましても、救済対象者が本当に予防接種で感染したのかどうかを立証することはほとんど不可能なことです。潜伏期間がある病気の場合には、感染時期を特定することも簡単でははないのですから(実際には、昭和63年以降に感染したとしても、救済対象となる可能性が…)。

 ”悪魔の証明”となる訴訟の扱いは、要注意です。救済を求める人々の中には、和解金を狙う”悪魔”が混じってしまうかもしれないからです。和解金の支払いが国民負担であることを考えますと、この種の訴訟は、原点に返って再考すべきと思うのです。

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廃止すべき死刑は北朝鮮の公開処刑

2011年01月14日 16時00分30秒 | アジア
北で公開処刑急増 金正恩氏後継体制定着狙う 朝鮮日報(産経新聞) - goo ニュース
 我が国は、死刑制度を存続させてきたため、国際人権団体などから散々非難を浴びてきました。しかしながら、真に廃止すべきは、弾圧国家による”見せしめ”処刑なのではないでしょうか。

 欧州諸国が死刑廃止に至った理由の一つは、死刑が、政治的な弾圧手段として利用された歴史があるからです。我が国の場合には、政治犯や思想犯はもはや存在せず、死刑囚は、他者の命を利己的な理由から奪った凶悪犯罪者に限られています。先に被害者の命が奪われているのですから、加害者が命をもって罪を償うことには、社会倫理に反しているわけではありません。一方、中国、北朝鮮、イランといった弾圧国家の場合には、独裁体制を維持したい為政者や政府の側の利己的な動機が死刑囚を生み出しています。こうした死刑囚は、他者の命を無慈悲に奪ったわけではなく、むしろ、国民のために自らを犠牲にして、民主化や自由化を訴えたり、独裁体制を非難した勇気ある人が少なくないのです。

 一律に死刑廃止を唱えるよりも、弾圧手段としての”見せしめ処刑”の禁止運動の方が、遥かに人道的です。死をもって国民を脅す政府が、国民のための政治を行うとは、到底、考えられないのですから。

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子供手当より児童擁護施設に予算を

2011年01月13日 15時42分39秒 | 社会
「失業中のため気持ちだけ」タイガーマスク運動さらに(朝日新聞) - goo ニュース
 児童養護施設に匿名で善意の寄付をするタイガーマスク運動が、全国的な広がりを見せているようです。ランドセルや文房具にもまして、施設で暮らす子供たちへの最大の贈り物となるのは、人々のやさしく暖かい気持ちなのかもしれません。

 ところで、このニュースと共に、児童養護施設の現状の一端も分かってきました。地方自治体から運営費が支出されるものの、毎年赤字が続いており、充分な学用品や日用品を揃えることができないというのです。施設で暮らす子供たちの数は、3万人ほどにも上っており、特に近年では、虐待による入所が増加しているとのことです。この傾向が続けば、今後、経営はさらに苦しくなることが予想されます。

 高額所得の世帯に子供手当が支給される一方で、予算不足で施設の子供たちの養育環境が悪化している現状は、どこか狂っています。しかも、親の不明な子供たちは、日本に居住しながら、支給の対象から外されているはずです。菅首相の政策方針が、”最少不幸”であるならば、子供手当を廃止してでも、真っ先に児童養護施設の予算を増やすべきなのではないかと思うのです。

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中国外交白書―”主権防衛”は侵略宣言

2011年01月12日 15時20分54秒 | アジア
「断固たる闘争で主権防衛」=尖閣問題で中国外交白書(時事通信) - goo ニュース
 今年出版される中国の外交白書には、昨年発生した尖閣問題について、”断固たる闘争で主権防衛”という表現があるそうです。この言葉、日本国からしますと、中国の”侵略宣言”、あるいは、”侵略予定宣言”の以外の何ものでもありません。

 中国の自己中心的な認識によれば、尖閣諸島は中国の主権が及ぶ中国領であり、我が国の海保の活動こそが、主権侵害に当たるということなのでしょう。しかしながら、尖閣諸島は、国際法に基づいて日本国が領有しているのですから、この事実を無視して中国が一方的に領有権を主張することはできません。しかしながら、たとえ国際社会では通用しない論理であっても、一方的に言い募って既成事実化するのが中国の戦法ですから、近い将来、平然と尖閣諸島を武力で占領するとも限りません。”主権防衛”とは、”侵略”を正当化するための中国流の倒錯した表現なのです。

 外交白書では、「日中関係は比較的大きな起伏の後、改善と発展の歩みを踏み出した」と総括しているそうですが、現実は、逆になると思うのです。白書を作成した人物は、”主権防衛”という言葉が”侵略宣言”と解されることを、果たして理解していたのでしょうか。

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中国新車販売世界一―車社会は中国を変えるのか

2011年01月11日 15時32分33秒 | アジア
10年中国乗用車販売は+33.2%で過去最高、今年は伸び鈍化へ(トムソンロイター) - goo ニュース
 中国市場における昨年の新車販売数は33.2%という驚異的な伸び率を示し、新車販売数も1806万台と世界一の記録を更新しているそうです。数字の上では車社会が到来していることは分かるのですが、この急激な伸びには謎もあるのです。

 テレビ、洗濯機、冷蔵庫といった家電製品であれば、中国市場で、爆発的に普及することは理解できます。送電システムさえ完備されていれば、誰でも、購入と同時に使用することができるからです。その一方で、自動車という製品が普及するには、様々な関連する施設や事業が必要となります。まず、運転免許を採るためには、自動車教習所に通わなければなりませんし、自動車購入時には自賠責保険に加入しなければなりませんし、自動車の性能と安全性を維持するためには修理施設や車検の制度も必要です。もちろん、舗装された車道とガソリンスタンドがなければ、自動車は宝の持ち腐れになります。自動車教習所一つをとりましても、新車の販売数とほぼ同数の人々が教習を受けるとしますと、その数は、膨大に上るはずなのです(中国の大学生の数はおよそ2000万人なそうです・・・)。

 この勢いで自動車数が増えるとしますと、交通渋滞と環境汚染も深刻化しそうですし、自動車ローンや自動車の維持費のための賃上げ要求も強まりそうです。自動車の急速な増加は、中国社会や経済に少なくない影響を与えそうなのです。

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”消えない”かもしれない中国ステルス機

2011年01月10日 16時38分38秒 | 国際政治
中国ステルス機開発「予測より早い」 米国防長官が懸念(朝日新聞) - goo ニュース
 中国がステルス機を開発したニュースは、軍事技術においても中国が米軍に追いつきつつある現実を顕としました。しかしながら、この開発をもって、中国ステルス機が、実戦にあって”消える”とは限らないと思うのです。

 何故ならば、人民解放軍が使用している中国製のレーダー上では、実験的に機体が”消えた”としても、アメリカやその同盟国が開発した高性能のレーダーでは、必ずしも”消える”とは限らないからです。実のところ、実際に消えるかどうかは、相手側のレーダー技術に左右されます。ステルス機の開発は、自国レーダーより性能の優る相手方のレーダーに探知されないことが立証されてはじめて、成功したと言えるのです。

 予測よりも早い時期でのステルス機の登場ですので、その性能には疑問があるところです。しかしながら、中国政府が莫大な軍事費を投入していることを考えますと、油断は禁物です。レーダー技術をもってしかステルス機の”隠遁の術”を破れませんので、中国に対峙する日米両国は、よりステルス探知能力の高いレーダーの研究・技術開発を急ぐべきと思うのです。

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”ヤミ臓器移植”1万件が語る中国の悲劇

2011年01月09日 17時53分53秒 | アジア
中国はびこる“ヤミ移植” 年間1万例超の「大国」(産経新聞) - goo ニュース
 日本国の死刑執行数は、近年増加傾向にあるとされつつも、年間20人前後に過ぎませんし、全国の刑務所に収監されている死刑囚の数も凡そ100名ほどです。一方、中国では、ヤミ臓器移植が1万件ほどあり、その主要なドナーは死刑囚であるというのです。

 一人の人から摘出される移植可能な臓器は、心臓、肝臓、腎臓、骨髄、角膜…など複数に及びますので、移植件数イコール死刑囚の数とは限りませんし、また反対に、”ヤミ移植”に利用されずに済んだ死刑囚もいることでしょう(臓器の提供は、医師と刑務所関係者の個人的ルートによるらしい…)。一人の死刑囚から複数の臓器が摘出されたと想定しても年間1000件を越え、この数は、中国においては、桁外れに死刑執行数が多いことを示しています。しかも、中国には、刑法に反した刑事犯のみならず、共産主義体制に異議を唱えた政治犯や思想犯が存在しており、死刑制度は、体制維持のための弾圧手段として機能しています。恐怖政治と死刑との関係が続く限り、現体制を非難しようとする中国国民は、命をかける覚悟を迫られるのです。

 1万件という”ヤミ移植”の数は、中国国内の劣悪な治安状況と共に、共産主義体制の悲劇をも物語っているのではないでしょうか。

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ルノー機密漏洩事件―もし日中合併企業であったならば

2011年01月08日 16時29分07秒 | 国際経済
ルノー機密漏洩 EVの心臓狙い「戦争」(産経新聞) - goo ニュース
 各国の自動車メーカーが開発に鎬を削るEV。ルノー日産は、高性能電池や出力制御技術で先を走ってきたものの、幹部の背任によって、中国に技術情報が流出したらしいのです。

 この事件は、日仏企業の共同開発の過程で発生しましたが、もし、狙われた高度先端技術が、中国との合併企業や共同開発事業であった場合はどうでしょうか。フランス政府は、1996年に民営化された後も、ルノーに対して15%の株式を保有しており、対中技術流出に対する政府の危機感が、この事件を明るみにしたとも言えます。しかしながら、手を組んだ相手が中国企業となりますと、こうした事件は、より頻繁に起きるか、あるいは、既に起きているかもしれません。買収側も収賄側も中国人となり、双方とも中国の国益優先で一致しているのですから。秘密裏に技術情報が漏れ、表にも出ない可能性すらあるのです。

 実際に、次世代の有力産業については、中国当局は、自国企業との合併を条件に現地生産や現地販売を許可する場合も多いと聞きます。長い年月と巨額の費用をかけて積み上げてきた技術力を失わぬよう、企業は、警戒を怠ってはならないと思うのです。

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夫婦別姓訴訟―夫婦同姓は憲法違反ではない

2011年01月07日 11時46分40秒 | 社会
夫婦別姓求め初提訴へ 「同姓の強制は憲法違反」(共同通信) - goo ニュース
 民主党政権が進めてきた夫婦別姓法案の行方が不透明な中、夫婦別姓問題は、司法の場に持ち込まれたようです。原告は、夫婦同姓が、憲法第13条の個人の尊重と第24条の両性の平等などに違反すると主張しているようですが、この主張には無理があると思うのです。

 氏名とは、そもそも自分自身で決定するものではなく、夫婦同姓であれ別姓であれ、姓は親から引き継ぐものですし、名を決定するのも親です。第13条の個人の尊重を家族制度にまで適用しますと、戸籍制度そのものを見直さざるを得なくなり、社会的な混乱が生じることは必至です。この方針を極端まで押し進めますと、個々それぞれが自由勝手に、何時でも何度でも、氏名を変えることを認めることになるのですから。

 また、夫婦同姓が、第24条の両性の平等に反しているとも思えません。何故ならば、どちらか一方に強制的に姓の変更を迫るのではなく、夫の姓であれ、妻の姓であれ、選択権は夫婦平等であるからです。別姓=平等ではなく、権利としての平等は同姓でも保障されているのです。

 民法改正に際しては、当事者である国民多数の支持を要するものであり、憲法訴訟によって立法化を図る行為は、司法の越権ともなりかねません。充分な議論もなく、立法や司法が先走る現状は、国民不在の民法に繋がり、民主主義の精神に反すると思うのです。

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元安政策―”インフレ”という名のブーメラン

2011年01月06日 15時54分51秒 | 国際経済
リンク: 北京・上海など大都市の分譲住宅価格、10年は20%以上の上昇―中国 - 速報:@niftyニュース.

 中国の不動産バブルの凄まじさは、”農民工ならば、1000年働いても家が買えない”という国民の嘆きからも伺えます。中国政府は、輸出競争力を高めるために、頑なに元安政策を堅持してきましたが、この政策には、インフレという副作用があります。

 当局による度重なる元売りドル買い介入の結果、国際金融市場には、大量の元が供給されることになりました。まだまだ経済に対する統制が強い中国では、為替取引に制限を加えたり、金融市場の開放を渋ることで、何とか、この大量の元が国内に逆流することを防ごうとしているようです。それでも、規制の網をかいくぐって、元は中国国内に流れ込んでおり、住宅価格の高騰にみられるようなバブル型のインフレを引き起こしているのです。防波堤を破られた中国は、国内の政策金利を引き上げることで事後的に対処しようとしていますが、中央銀行の利上げは、さらなる元の流入の誘因となりますので、インフレ抑止にどれほど効果があるのかも未知数です(逆効果になる可能性も・・・)。

 価格上昇が一部の不動産バブルに留まらず、食料品や生活必需品にまで及ぶとしますと、国民の不満が一気に高まりますので、その影響は図りしれません(政府批判、賃上げ要求の激化、バブル崩壊…)。遅れてやってくるインフレという怪物に、果たして、中国は、太刀打ちすることができるのでしょうか。

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日本国が目指すべきアジアの国際秩序とは

2011年01月05日 16時18分28秒 | 日本政治
自衛隊、東南アジア諸国支援…来年度から(読売新聞) - goo ニュース
 中国の急速な台頭によって、しばしば日本国の影は薄くなったと指摘されています。このままでは、過去に葬られたはずの華夷秩序が、強大化した軍事力と経済力を背景に、早晩、アジアに蘇るとも限りません。

 おそらく、中国が目指すアジアのモデルとは、栄えある中華帝国の復活なのでしょう。しかしながら、中心に位置する中国に対して、周辺諸国が服属するという国際秩序の形態が、現代という時代には相応しくはありません。非民主的な中国の国家体制が非難を浴びているように。アジアの未来を、覇権志向の共産主義国家、中国の手に委ねるべきではなく、冊封体制の外側にあり、いち早く近代化を成し遂げた日本国には、これを防ぐ役割があると思われるのです。

 日本国が目指す構想、それは、主権平等と民族自決の原則を尊重し、自由と民主主義を基盤とした国際秩序を構築することではなかと思うのです。そのためには、日本国は、全ての諸国を内面から強化すべく、諸外国の統治能力の向上に貢献し、周辺諸国が中国の覇権主義に呑みこまれないように、統治面における政府支援に努める必要があるのではないでしょうか。ODAの供与と同じくらい、制度や政策面での支援は相手国の発展に寄与します。

 防衛省は、2011年度から東南アジア諸国に対して支援を行うと報じられていますが、安全保障を含めて、国政の安定や治安の維持に関するノウハウや知識を伝授することは、この構想の実現に向けての第一歩となります。21世紀がアジアの時代であるならば、それは、前近代的な華夷秩序の再来であってはならないと思うのです。

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奇妙な日韓同盟の報道

2011年01月04日 14時49分22秒 | 国際政治
自衛隊と韓国軍、協力強化へ…北・中国けん制(読売新聞) - goo ニュース
 昨日の新聞紙面に、前原外相が、韓国マスコミに対して日韓同盟を望むと述べたとする記事が掲載されました。すぐさま外務省が否定する展開となったのですが、新年早々、”日韓同盟”とは、何とも奇妙なことです。

 もし、日韓同盟が成立するとしますと、日本国は、事実上、朝鮮戦争に参戦したに等しくなります。南北両国は、38度線を挟んで停戦状態にあるに過ぎず、昨年の延坪島砲撃事件でも懸念されたように、偶発的事件から、突如、交戦状態に至る可能性も充分にあるのです。このことは、日本国の自衛隊は、現在の韓国軍と同様に、常時、臨戦態勢となることを意味します。この状況を考えれば、韓国側からの要請はあり得ても、日本国側が、敢えて韓国との軍事同盟を、自ら希望して相手国に提案するとは思えないのです。

 韓国との間には歴史問題をめぐる軋轢や竹島の不法占領問題もあり、両国には、同盟の基盤となる相互信頼性が欠如しています。また、半島有事に際しては、日本国は、フリー・ハンドを維持する方が、状況に合わせて臨機応変に対応できます。日韓が安全保障問題で協力するとしますと、それは対中国包囲網の文脈においてに他ならず、その形態は、日韓二国間同盟ではなく、潜在的であれ、米国を中心とする対中多国間同盟となるのではないでしょうか。
 
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年の初めのご挨拶

2011年01月01日 10時54分08秒 | その他
 新年、あけまして、おめでとうございます。本年も、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 わたのはら よせくる浪の しふきにも たふるいはほの 千代にあたらし

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