万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国ボーイング200機購入は絆創膏

2011年01月20日 15時59分20秒 | 国際経済
オバマ大統領「人民元、いまだに過小評価」(読売新聞) - goo ニュース
 アメリカの対中貿易赤字は改善されない中、昨日訪米した中国の胡主席は、ボーイング社から200機の航空機を購入することを約したと報じられています。総額3兆円(約450億ドル)を越える大型商談が米中間で成立したそうですが、こうした方法が、貿易収支の不均衡問題を根本的に解決するとは思えないのです。

 一般の自由主義国では、民間航空会社が航空機の乗客数の増加や買い替え需要に応える形で、航空機の購入を検討するものです。一方、中国の場合には、こうした民間の経営者の判断ではなく、政府が、政策的な意図から航空機の大量購入を決定しています。つまり、元安政策や対米貿易黒字に対する非難をかわすための政策手段に過ぎないのです。このため、継続的で恒常的なな貿易収支の改善は、全く望めません。政府が輸入の拡大を止めると決めれば、結局、元の状態に戻ってしまうのです。また、商談の総額は、450億ドルほどのようですが、去年8月に記録した単月の対中貿易赤字は280億ドルとのことですので、焼け石に水のようなものです。

 ここはやはり、国際的な貿易収支の不均衡問題を解決するためには、傷の表面に絆創膏を貼る方法ではなく、元安政策の是正といった根本的な治療が必要なようです。絆創膏を貼るだけでは、病の進行を止めることはできないのですから。

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コメント (28)
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