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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

元安政策―”インフレ”という名のブーメラン

2011年01月06日 15時54分51秒 | 国際経済
リンク: 北京・上海など大都市の分譲住宅価格、10年は20%以上の上昇―中国 - 速報:@niftyニュース.

 中国の不動産バブルの凄まじさは、”農民工ならば、1000年働いても家が買えない”という国民の嘆きからも伺えます。中国政府は、輸出競争力を高めるために、頑なに元安政策を堅持してきましたが、この政策には、インフレという副作用があります。

 当局による度重なる元売りドル買い介入の結果、国際金融市場には、大量の元が供給されることになりました。まだまだ経済に対する統制が強い中国では、為替取引に制限を加えたり、金融市場の開放を渋ることで、何とか、この大量の元が国内に逆流することを防ごうとしているようです。それでも、規制の網をかいくぐって、元は中国国内に流れ込んでおり、住宅価格の高騰にみられるようなバブル型のインフレを引き起こしているのです。防波堤を破られた中国は、国内の政策金利を引き上げることで事後的に対処しようとしていますが、中央銀行の利上げは、さらなる元の流入の誘因となりますので、インフレ抑止にどれほど効果があるのかも未知数です(逆効果になる可能性も・・・)。

 価格上昇が一部の不動産バブルに留まらず、食料品や生活必需品にまで及ぶとしますと、国民の不満が一気に高まりますので、その影響は図りしれません(政府批判、賃上げ要求の激化、バブル崩壊…)。遅れてやってくるインフレという怪物に、果たして、中国は、太刀打ちすることができるのでしょうか。

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コメント (29)
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