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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

夫婦別姓訴訟―夫婦同姓は憲法違反ではない

2011年01月07日 11時46分40秒 | 社会
夫婦別姓求め初提訴へ 「同姓の強制は憲法違反」(共同通信) - goo ニュース
 民主党政権が進めてきた夫婦別姓法案の行方が不透明な中、夫婦別姓問題は、司法の場に持ち込まれたようです。原告は、夫婦同姓が、憲法第13条の個人の尊重と第24条の両性の平等などに違反すると主張しているようですが、この主張には無理があると思うのです。

 氏名とは、そもそも自分自身で決定するものではなく、夫婦同姓であれ別姓であれ、姓は親から引き継ぐものですし、名を決定するのも親です。第13条の個人の尊重を家族制度にまで適用しますと、戸籍制度そのものを見直さざるを得なくなり、社会的な混乱が生じることは必至です。この方針を極端まで押し進めますと、個々それぞれが自由勝手に、何時でも何度でも、氏名を変えることを認めることになるのですから。

 また、夫婦同姓が、第24条の両性の平等に反しているとも思えません。何故ならば、どちらか一方に強制的に姓の変更を迫るのではなく、夫の姓であれ、妻の姓であれ、選択権は夫婦平等であるからです。別姓=平等ではなく、権利としての平等は同姓でも保障されているのです。

 民法改正に際しては、当事者である国民多数の支持を要するものであり、憲法訴訟によって立法化を図る行為は、司法の越権ともなりかねません。充分な議論もなく、立法や司法が先走る現状は、国民不在の民法に繋がり、民主主義の精神に反すると思うのです。

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24 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
夫婦別姓は憲法違反 (盗っ人・メドベージェフ)
2011-01-07 13:41:04
憲法24条は、「家族の制度」を保障する。制度保障において、伝統の核心部分は法律によってもこれを侵してはならないものとされている。夫婦同姓は、すでに百年以上の伝統をもっている。「家族」の制度の核心をなすものとして、これを否定することは憲法上許されないとみるべきだ。
長尾一紘(中央大学教授)
盗っ人・メドベージェフさん (kuranishi masako)
2011-01-07 20:39:26
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 原告の主張するような、個々ばらばらな状態を個人の尊重と両性の平等を実現した形とみなすならば、家族という形態そのものを否定しなければならななくなります。しかしながら、憲法は、家族という形態を前提として起草されていますので、原告の主張とは矛盾することになるのです。裁判所が、このような主張を認めるはずはないと思うのですが・・・。
家族の崩壊って・・・ (さる)
2011-01-18 21:07:23
世界中に、男女別姓を認めている国がどれだけあると思ってます?

多くの国が男女別姓を認めてますが、そういう国々の家族は全て崩壊してるんですか?

男女別姓の問題と、家族制度の崩壊を同次元で語ることは問題有りです。

家族ってそもそもなんですか?
愛する男女が共に暮らし、その中で子を育み、共に老いていく。そういうもんでしょ?
名前がどうなるかって、そういうことに関係あります?

別姓になると家族が崩壊する。
じゃあ、具体的に「どう」崩壊するんですか?
離婚が増える? 児童虐待が増える?

共働きしないと生活がままならなくなっている現代で、(主に)女性が姓を変えることの意味って何ですか?

男性が女性方の姓に変える自由もあると言いますが、果たして何%の既婚男性が女性方の性に変えていますか?仕事上問題があるとかって言って、女性に変えさせているのが現状じゃないですか。

私の場合も、私自身は妻の姓に変えても良いと思っていましたが、私の父が強硬に反対したために断念したという過去を持ちます。

男女同姓にこだわる意味、意義に疑問があり、こんなばかげた法律は早くなくすべきだと強く思います。
さるさん (kuranishi masako)
2011-01-18 22:20:34
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 この記事では、夫婦同姓は、違憲ではない、という意見を述べたつもりです…。さるさんは、”ばかげている”、とお考えかもしれませんが、同じ家族の一員として、同姓を名乗ることが自然であると考えている国民は多数おります。家族法とは、国民意識の現れでもありますので、その改正には、国民多数の支持が必要なのです。もし、夫婦同姓に反対ならば、さるさんは、国民を説得する必要があります。
ヨコヤリ失礼します (通りすがり)
2011-01-24 14:18:07
>多くの国が男女別姓を認めてますが、そういう国々の家族は全て崩壊してるんですか

おそらくアメリカやイギリスのことを言っているのだと思いますが、それらの国は男女別姓を認めているのではなく、元々国が個人の名前だけしか管理していないだけです。いわゆる不改姓結婚なだけです。別姓結婚ではなりません。
なので、アメリカ人もイギリス人も戸籍上は夫婦別姓なのに、規則でもなんでもないのに結婚後は同姓を(主に夫の)苗字を名乗るのが常識であり一般的のようです。

世界でわざわざ夫婦で別の姓を名乗りましょうなんていう事を制度化しようとしている国はないでしょう。
通りすがりさん (kuranishi masako)
2011-01-24 18:09:52
 貴重な情報をお寄せいただきまして、ありがとうございました。
Unknown (Unknown)
2011-01-25 17:07:41
通りすがり様のおっしゃることは日本人でも実感できます
ハリウッドの女優は結婚すると自分の姓の後に夫の姓をつける
コレ、よくあると思いません?

例えばマサコ・クラニシという女優がジョージ・クルーニーと結婚したら
マサコ・クラニシ・クルーニーになる
あっちの人達は再婚を繰り返すから程なく離婚
マサコ・クラニシに戻り、数ヵ月後ザック・エフロンと再婚
マサコ・クラニシ・エフロンになる
1年で離婚
マサコ・クラニシ
あ~忙しい
でもその時々でマサコ・クラニシは恋をしてるからしょうがないかww

よく外国では外国では、と外国の事例を持ってきて日本は遅れてる、と語る人がいます
表面をサクっと掬ってるだけ
今の日本で騒がれてる男女平等の理念から来てるものではない
騙されないぞ~
Unknownさん (kuranishi masako)
2011-01-25 18:21:38
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 物事は、表面ばかりで判断してはいけないのですね。それにしましても、コメントのたとえには、苦笑するばかりです・・・。
Unknown (unknown2)
2011-01-25 19:41:49
 100年あまりほど、夫婦同姓でやってきたのだから、それでよいでしょう。でも、まあ、細かな調整は必要でしょう。改姓が困る人には通称の使用を認めるとか。また、一人息子と一人娘の結婚もありえますから、妻方の祭祀を守るためにも、二人の子のいずれかが、民法上の成人になれば、母方の姓を名乗ることを届けだけでできるようにするとか。
Unknown2さん (kuranishi masako)
2011-01-25 21:35:46
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 夫婦別姓の支持者には、妻側の家の継承ができる、という理由があるようです。しかしながら、法案では、子供の姓は同一にしなければならず、第二子を別姓に、ということはできないそうです。こうした理由は少数なようで、それ以外の支持者は、個人主義的な思想によるのでしょうが、やがては、みな、無縁仏になるのではないかと思うのです。

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