残留か離脱か、社説で舌戦=英主要紙
EUからの離脱を問うイギリスの国民投票を明日に控え、関連の報道も過熱気味です。かつては、EU誕生、ユーロ導入、並びに、新規加盟等が華々しく報じられたものですが、最近は、ソブリン危機や難民・移民問題をはじめ、マイナス面での報道が目立っております。
こうした中、先日の日経新聞の紙面に、フランスの知識人として知られるジャック・アタリ氏の見解が掲載されていました。混迷を深めるEU情勢について、氏は、統合のさらなる推進こそが、危機を脱出する道であると説いています。EUは、常に統合に向けて歩み続けなければ倒れてしまうと…。こうした議論は、しばしば漕ぎ続けなければ倒れてしまう二輪車に譬えられますが、氏の処方箋は、EUを救うことになるのでしょうか。
現実には、イギリスをはじめ、EU加盟国の間でEU懐疑論が湧き出てしまった原因は、EUが、統合の深化に向けてペダルを踏み過ぎてしまった点にあるのかもしれません。EUの将来像を連邦国家や超国家に定めるとしますと、EUの統合プロセスとは、完成に至るまでの直線として描かれます。アタリ氏の見解は、この直線論です。その一方で、EUの理想像を複数の主権国家から構成される国家連合と見なす立場からしますと、EUが統合に向けてペダルを踏めば、国家主権を維持したい加盟国政府や国民の側からのブレーキがかかります。統合のレベルは直線的に上昇せず、逓減するのです。後者の見解では、EUと加盟国との間で調和点が模索されることになります。
現在のヨーロッパを見ておりますと、後者の見解の方に説得力があるように思えます。イギリスの国民投票は、同時に、EUのあり方をも問うているのではないかと思うのです。
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EUからの離脱を問うイギリスの国民投票を明日に控え、関連の報道も過熱気味です。かつては、EU誕生、ユーロ導入、並びに、新規加盟等が華々しく報じられたものですが、最近は、ソブリン危機や難民・移民問題をはじめ、マイナス面での報道が目立っております。
こうした中、先日の日経新聞の紙面に、フランスの知識人として知られるジャック・アタリ氏の見解が掲載されていました。混迷を深めるEU情勢について、氏は、統合のさらなる推進こそが、危機を脱出する道であると説いています。EUは、常に統合に向けて歩み続けなければ倒れてしまうと…。こうした議論は、しばしば漕ぎ続けなければ倒れてしまう二輪車に譬えられますが、氏の処方箋は、EUを救うことになるのでしょうか。
現実には、イギリスをはじめ、EU加盟国の間でEU懐疑論が湧き出てしまった原因は、EUが、統合の深化に向けてペダルを踏み過ぎてしまった点にあるのかもしれません。EUの将来像を連邦国家や超国家に定めるとしますと、EUの統合プロセスとは、完成に至るまでの直線として描かれます。アタリ氏の見解は、この直線論です。その一方で、EUの理想像を複数の主権国家から構成される国家連合と見なす立場からしますと、EUが統合に向けてペダルを踏めば、国家主権を維持したい加盟国政府や国民の側からのブレーキがかかります。統合のレベルは直線的に上昇せず、逓減するのです。後者の見解では、EUと加盟国との間で調和点が模索されることになります。
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