万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「外国人起業特区」が招く日本の危機-既に9.1%移民系起業の現実

2016年06月05日 15時02分37秒 | 国際経済
 近年、政府は、経済特区造りに熱心に取り組んでおり、その中には、外国人に対する起業優遇措置があります。日本国の経済成長を外国人の起業に期待してのことらしいのですが、メリット面ばかりではなさそうなのです。

 本日の日経新聞の記事によりますと、2012年のGEMによる調査では、日本国の起業総数に占める移民起業家の割合は凡そ9.1%です。華僑系の多い東南アジアと比較すると低い率ですが、日本国の人口に占める移民系の割合が2%弱程ですので、起業家の約1割が移民系という数字は、驚くほど高い数値です。

 多民族国家であるアメリカと比較しても、この率の高さは歴然としています。人口総数の13%程度が移民であるアメリカでは、移民系起業家の率は11.9%であり、両者の率は、粗比例しています。日本国の場合、何故か、移民系起業家の率が突出しているのです。この状態で、政府が特区を設けますと、さらに移民系起業家の比率が上昇することでしょう。政府は、特区において在留資格を緩和するらしく、来日する移民の人々には、経済的理由の他に、一般の日本人にはない、強い動機が働くことになるからです。また、東南アジアと同様に、華僑系の移民による起業が多数を占めるようになりますと、日本国内の経済構造や雇用にも影響を与えかねません。東南アジアでは、華僑系による経済支配が現地住民の反感を買っているとの指摘もあり、日本国もまた、中華経済圏に飲み込まれる怖れもあります。また、目下の不況から就職難にある中国では、山東省済南市が、年間600人を日本へ送り出す計画を公表しており、政策として日本国に就職先を求める地方自治体も出現しております。この動きに呼応するように、日本国内の中国系企業が、率先して低賃金の中国人労働者を大量に雇用する事態も想定されます。

 こうしたリスクを考慮しますと、日本国政府は、既に高レベルにある外国人の起業よりも、自国民の起業率が極めて低い現状こそ問題視すべきです。最近の日本国政府の経済政策は、あまりにも外国人を偏重しており、自国民に起業を促す政策こそ実施すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。



にほんブログ村
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする