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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の三次元思考の欠如は共産主義の”神の否定”が原因か

2016年06月15日 15時19分31秒 | 国際政治
南シナ海「深刻な懸念」=ASEANが中国批判―外相会合
 国家レベルと同様に、国際社会における法の支配の基本構図とは、共通のルールの下における全ての諸国の権利保障にあります。この構図では、全ての諸国は法の前に平等であり、国際法を順守する義務を等しく負います。

 全ての人や国の上に共通ルールを設けることにおいて三次元思考-立体思考-を要するのですが、中国など一部の諸国では、この構図を全く理解しようとはしません。何としても二国間対話に持ち込むことで、三次元の問題を二次元に引き下ろそうとするのです。この三次元思考の欠如の主要要因は、共産主義にあると想定されますが、その一つがプロレタリアート独裁、即ち、共産党一党独裁の容認です。階級闘争史観に基づく歴史の法則的展開によって最後の勝者となった共産党より上位のものは一切否定するわけですから、二次元思考-平面思考-に辿りつかざるを得ないのです。そして、想定され得るもう一つの要因は、共産主義による”神の否定”です。法の支配の基本構図が、法の前の平等とセットになることは上述しましたが、この構図は、神の前の平等に類似しています。超越的な存在である神が全ての人々を守護する構図は、ルールが全ての人々や国の権利を護る構図と重なるのです。もっとも、人間は、神の如く全知全能ではありませんので、完璧に公平で正義に適うルールを造るのは難しいのですが、それでも、全ての人や国に適用される共通ルールをつくろうと努力するわけです。

 共産主義は、”宗教は麻薬”と称して平然と切り捨てましたが、同時にそれは三次元思考を捨て去り、二次元思考に自らを閉じ込めることにもなりました。そして、二次元思考が動物と変わらないとしますと、やはり、共産主義は、人類の精神性にはそぐわないのではないかと思うのです。

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