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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

保守の政策は”移民受入”より送出し国の”国造り支援”では

2014年06月03日 17時00分20秒 | アジア
 内閣府が公表した毎年20万人移民受入れ案は、政府が検討を開始したことから、国内に波紋を広げております。保守派とされてきた知識人や政治家からも、移民受け入れ容認の意見も聞かれるようになりました。そもそも、安定志向を基本とする思想系譜からしますと移民に賛成する保守派はあり得ませんので、こうした人々は、突然、”逆転向”してしまったかのようです。

 昨今、移民増加の弊害に苦慮してきたヨーロッパ諸国では、移民政策に対する反発が強まっており、規制強化は世界的な潮流でもあります。一般の日本国民の多くも移民推進は支持しておらず、特に、移民規制強化を期待して自民党に投票した保守派の人々の間は、政府の姿勢に失望感が広がっています。そもそも、自国では生活できない、あるいは、自国の現状に不満を抱く人々が移民となって海外に移住するものです。移民の原因の一つは、出身国の政治・経済・社会的な状況の劣悪さにあり、それ故に、こうした諸国出身の人々は、移民先の国でも自国の悪しき慣習や低い倫理観を持ち込んでしまう傾向にあるのです。狼の群れを嫌って逃げ出した狼が平和な羊の群れの中に入ってくる事態ともなりかねず、受け入れ国の国民が反対するのも無理からぬところがあります。文化や風習の違いには耐えられますが、風紀の乱れや治安悪化の原因を持ち込まれるのでは、誰もが反対するわけです。こうした移民の送り出し国側の原因を考慮しますと、保守がとるべき政策とは、送出し国の状況を改善することです。送出し国の国民の多くが、自国をより良い国にしようとする積極的な意思がなければ、国民の海外流出は止まるはずもありません。日本国は、移民を受け入れるよりも、移民をなくすための”国造り支援”こそ強化すべきなのではないでしょうか。留学生の受け入れも、日本国への永住や帰化よりも、将来における出身国への貢献を目的とすべきです。

 移民賛成派の世界ヴィジョンが融合による一元化-世界市民主義?-であるとしますと、保守の理想は、多様な歴史や伝統を引き継ぐ諸国がそれぞれの個性を発揮しながら相互に協力し、補完し合うことができる体制を構築することです。前者には、共産主義にも通じる狂信的な側面が潜んでいることを考えますと、後者の方がよほど常識的ですし、人類の自然な分化過程にも即していると思うのです。

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コメント (4)
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