万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の武力統一政策は国連憲章違反

2014年06月10日 17時17分22秒 | アジア
 第二次朝鮮戦争の可能性は、日本国の集団的自衛権の行使に関する議論の隠れた懸案でもあります。間接同盟の問題については、再三、本ブログでも記事を書いてきたのですが、まずは、国際社会における南北再統一問題の解決方法から考えてみたいと思います。

 1991年9月、東西冷戦構造の崩壊を受ける形で、朝鮮戦争の交戦国であった韓国と北朝鮮は国連に同時加盟します。北朝鮮は、日米ともに国交がなく、いわば、国家承認を受けてはおりませんが、国連に加盟したことで、一先ずは、主権国家の一つに数えられています。このことは、北朝鮮にも当然に国連憲章を順守する義務が生じたことを意味しており、この点に鑑みますと、北朝鮮の武力統一政策そのものが、国連憲章違反ということになります。国連憲章では、加盟国に対して、第一義的に平和的な解決を求めていますので、そもそも、武力による現状の変更は許されないのです。今となって悔やまれることは、1991年9月の南北同時加盟に際して、加盟条件として、両国に対して平和的な方法による南北統一をより明確な形で義務付けなかったことです。国連が主導して、南北統一を協議する場をセッティングするといった方法もあったかもしれません。結局、国連の正式なメンバーとなったにもかかわらず、北朝鮮は、あいも変わらず先軍政治を継続し、核やミサイル開発に邁進したのですから、国連加盟の意義は無に等しかったことになります。

 中韓関係の緊密化が進行している現在、南北間の第二次朝鮮戦争は、日米を含め、国際社会を混乱の淵に陥れるのみとなりそうです。今からでも遅くはありませんので、正義もなにもない戦争が人類に戦禍をもたらさないためにも、国際社会は、北朝鮮に国連憲章の誠実なる遵守を求めると共に、南北両国に対しては、平和的な手段による再統一を試みるよう圧力をかけるべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする