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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

財政危機問題―歳入に歳出を合わせるべきでは

2011年11月27日 15時47分29秒 | 国際政治
欧州共同債、期待しぼむ=独首相、反対を堅持(時事通信) - goo ニュース
 世界中を見渡しますと、ヨーロッパ諸国をはじめ、深刻な財政問題に苦しむ国が少なくありません。アメリカでは大統領と議会が財政議論で火花を散らしていますし、日本国もまた、1000兆円の累積債務が何時日本経済に襲いかかってくのるか気が気ではありません。

 こうした問題は、特に先進国において顕著です。これは、高い生活水準と手厚い社会保障を誇った”豊かな先進国”の幻影が、消えつつあることをも示しています。市場のグローバル化の結果、今日では、「世界の工場」の座は安価な労働力と元安を武器とした中国へと移動し、各国とも、実体経済を動かす原動力も雇用機会が流出しています。この状態で、これまでのレベルを維持しようとすれば、常に、政府は、多額の国債を発行して歳入を補填するか、増税で埋め合わせるしかないのです。しかしながら、国債発行を増やしますと財政危機が悪化しますし、大幅な増税は、国民の購買力を低下させ、さらなる景気後退を招くことにもなります。

 ここで考えるべきは、政府の予算編成は、税収の方に合わせるべきではないかということです。これまで、政府は、最初に予算を組んで、足りない分を国債で補ってきました。今後は、歳出に歳入を合わせるのではなく、逆に、歳入に歳出を合わせるのです。例えば、予算の編成を、前年度の税収の枠内に収めれば、少なくとも、国債増発による財政危機からは逃れることができます(もちろん、移行期間を設けて・・・)。

 この方法を採りますと、政府は、限られた予算で最大限の政策効果を発揮できるよう、これまで以上の努力をする必要に迫られます。もちろん、社会保障レベルの低下も起こりうることですが、工夫次第では、スリム化と効率化によって乗り越えることができるかもしれません。どこかで大胆な方向の転換をしませんと、結局、ハードランディングによる破滅に至るのではないかと思うのです。

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