ゑの巣

ここでは管理人個人の日々の妄言、妄想、創作などを世に晒しています。ごゆるりと。

手作業

2012年11月24日 23時25分31秒 | Weblog
昨晩の話である。トイレのレバーを引いたら急に手応えがなくなった。
並大抵のことはスルーする我が家にあっても、これはさすがの一大事である。
しかも発生は深夜であるため、おいそれと修理は呼べない。以前に
蓋を開けてみた時に、構造は拍子抜けするほど単純だとも知っていたので、
自力での修理を試みる。

トイレの仕組みは様々な様式があるのかも知れないが、我が家のそれは
実に単純で、水を貯める大きな槽をベースに、浮きの付いた棒によって
可動する蛇口と、レバーと鎖でつながったゴムの栓という、平たく言えば
ピタゴラ装置のようなつくりである。
レバーを引く→ゴム栓が引っ張られ、水が抜ける(流れる)→これにより
水位が下がる→浮きのついた棒が下がる→蛇口から水が出る→水が貯まり
水位が上がる→浮きによって棒が上がる→水が止まる という流れ。

今回の故障はレバーからの鎖とゴム栓をつなぐ部分が、劣化により
ちぎれたために起こったものであることが判明。比較的簡単な作業で修理
ができるだろうと見積もり、少し安心する。

しかし実際は、水場であることや動ける場所の狭さ、そしてゴム栓が劣化の
ために触れると墨のように黒くなるという要因のために、存外の苦戦を
強いられる。一般の家庭では配備されていないであろうヤットコやペンチ、
真鍮線などがすぐに出てくる特異な環境と自負してはいるが、さすがに
それらに耐水性が付与されているほど特異ではなかった。
劣化したゴム栓を保持するだけで、比喩ではなく真っ黒になるという状況が
最も厄介で、“破損部位を真鍮線で補強修復する”という至極単純な作業に
すら、ひどく手こずる有様。ついでに、往年のデスクワークがたたってか、
すっかり指の力が弱くなってしまっているということも、ここで今更の
ように判明する。器用さに指の力という要素は外せないものだったのだ。

そんな予想外の苦闘の末、特にオチもなく修理は完了する。
どんなに洗っても落ちない爪の間の黒い汚れに、学生時代を思い出し、
少しだけ誇らしげな気持ちのうちに眠りについた。具合は悪いままに。
コメント
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