蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

浄信寺  木之本町 滋賀県

2014-10-14 22:27:08 | 古民家、庭園
浄信寺は木之本地蔵院の中にある。人で賑わう地蔵院の表門辺りとはまるで違う雰囲気が漂う。


庭園の入り口が分かりづらく(看板も何も出ていない)、お寺の玄関から入ってお坊さんに合う事もなく書院へと上がり込んだ。


江戸中期の作庭のようだが、なかなか手入れがよい。庭園の後ろでは丁度折悪しく工事が行われていて、クレーンがどうしても写真に写り込んでしまう。






中之島は頭を左に向けた亀島になっている。
池の向こう岸、築山と築山の間の谷を枯滝が流れ、池に注ぐ。




池を囲む石にも、なかなか見所のあるものが使われている。


他に拝顔客もなく、しばらくの間、書院と庭を独占する事ができた。


九頭龍蕎麦  神楽坂

2014-10-10 23:03:49 | 蕎麦
神楽坂と福井の縁は意外に濃い。なにしろ、福井藩主の酒井家の下屋敷が神楽坂近くにあり(未だに銀行の寮として一区画が細分化されていない)、そのお供として江戸に来ておられた方が始められたのか、神楽坂の商店には昔を調べれば福井出身の方が創業者となったお店が結構ある。


そういうご縁がある為か、近年神楽坂にも越前ぶっかけ蕎麦を食べさせるお店が出現した。
すでに本ブログでご紹介した「九頭龍蕎麦」さんである。


このお店、なんとランチでも蕎麦を食べさせる。
相当に評判になっているのか、平日のランチタイムでも、一人で訪れて座るのがやっとの繁盛である。
メニューから、蕎麦としては最も欲張った、せいろとぶっかけの両方を食べさせるコースを注文した。
さすが、数十人が昼休み時間内に食べ終わる事を前提としたランチタイムに出すだけあって、実に素早く蕎麦が出て来る。これは、褒められて当然で、決して悪い事ではない。

ただ、注文が入ってから、大根を下ろすゴシゴシという音が聞こえる越前流も、本当に貴重な世界を造っているのだと、再認識できた。
御馳走様でした。

旧岸名家  三国 福井県

2014-10-08 23:19:23 | 古民家、庭園
鯖江で昼のプログラムが終了した時には、全く時間的な余裕はなかった。
計算すると日没までに取れる時間は20分程度。迷う時間もなく出発した。




三国は福井の中でも特別な場所のようだ。天然の良港がありながら、すぐ隣は海路だろうと陸路だろうと、人が近づくのを拒絶する東尋坊。
港の近く災害にも強い場所に、手広く商売をしていたお店が今まで残されている。


お店は規模は大きいが、造りは向かって左手にトオリニワが奥まで通る基本通りの町家造り。


帳場の後ろの中の間には、様々な文法での障子が引かれている。
これを使い分けるだけでも、その昔の商家の手代は相当に頭を使ったのだろう。


町家の内部はいろいろの機能をこなす装置がぎりぎりに詰め込まれている。
しかし、その中にも庭が造り込まれているのは見事な手腕だと思う。
たった一坪程度の庭ではあるが、水琴窟まで設置された庭の名にふさわしい存在である。


けんぞう蕎麦  福井県丸岡町

2014-10-07 22:48:18 | 蕎麦
この数年間、福井にある文化財や、独特の蕎麦に魅せられている。なにしろ、年に5回も訪れた年もある。
坪川家で福井で食に関係する仕事を手広く扱うAさん(仮称)と落ち合い、最近の流行のお店を案内していただいた。
お店の前まで来て驚いた。お店の前に行列、駐車場も随分増設した感じだがほぼ満杯。今、福井で一番評判のお店である。


ごく普通の民家を改装した感じのお店は、その周りで列を作っていてもなにか不思議な落ち着きを感じさせる。




けんぞう蕎麦は、汁に一工夫こらすお店のようだ。お店の名ともなった「けんぞう蕎麦」は、辛み大根のおろし汁と醤油で蕎麦を食べさせる。辛みは、わざわざ三国に注文して栽培させる特別な大根で、白く泡立っていかにも効きそうである。
しかし、その他に「福井スタンダード」とも言える、ぶっかけも味わえる。薬味も、それぞれ適当に使えば良いようだ。




蕎麦は期待通りの味。大根と出会うと福井の蕎麦は普通ではなくなる。猛然と、食欲を誘って来る。
多少の待ち時間があろうとも、このような蕎麦を週末に食べられるとは、実に贅沢なことだと思った。
毎回感じる事だが、福井の蕎麦世界の深さを垣間みると、それを追い求めて、しばしの間の留守をお願いしたくなる。



坪川家  福井県丸岡町

2014-10-06 23:38:12 | 古民家、庭園
坪川家は忠誠末期に建てられたと推測される。その時期から残る民家は、全国的にも非常に限られている。




豊かな自然の中に、優美な茅葺き屋根が残されている姿は極上とも言うべき姿である。


庭は、夏草が未だに勢いがよく、石組みの全体を見取ることはできなかったが、その昔の姿が殆ど手つかずで残されているらしい事は感じられた。


百日紅の花が、地味ながら紅を添えていた。






夏の盛りはとっくに過ぎたというのに、この家を囲む自然の力強さに圧倒された觀がある。

浅草散歩

2014-10-05 13:53:15 | お散歩
浅草は隅田川が江戸湾に流れ込む河口に位置し、江戸の街の成り立ちとしては臍のような役割を担った。
しかし、明治以降東京という都市は南西方向に広がり、現在では東京の中心にあるとは言えないだろう。
東京に住まうkikouchiとしても、浅草を訪ねる事はごくまれで、そのため浅草初心者を何年経っても抜け出せない。


この日浅草を歩きながら感じた浅草の特徴は、小屋掛けである。
写真にあるように、浅草寺の壁には奥行き半間ほどの屋台の仮小屋のようなお店が張り付くようにして並んでおり、しかも屋台のような仮小屋ではなく常設されている。




その小屋で売られている商品のなかには、祭りと結びついたものも見られ、小屋掛けの店の起源が仮説の屋台であったのではないかと思わせる。




浅草という街は、なんだか街全体で1年365日、いつでもお祭りをやっているような感じがする。これには、大変な体力が必要であろう。




お祭りと言えば、付き物なのがお酒。
これも浅草では小屋掛けで提供される傾向にある。



天丼  大黒屋 浅草

2014-10-03 23:04:39 | 日本料理
浅草の大黒屋といえば、天婦羅や天丼の老舗である。昼時となれば、行列なしではまず入店できない。


観光名所のような存在でもあるが、金襴豪華な丼から海老天婦羅がはみ出す天丼は、十分な魅力と迫力がある。
端正な丼の器が、その昔の郭の美学を少しだけ伝えるような気がする。


このお店の天丼は3レベルのグレードがあり、海老一匹入りから四匹入りまである。
写真は四匹入り。一見すると尻尾が三匹分しかみられないが、最後の一匹は三匹の尻尾近くの下敷きになっている。


揚げ方も、丼汁も、江戸の味を正当に伝えるきつめである。
衣は最近流行の薄めの店に比べれば、まるで鎧のようである。しかし、中の海老は具合よく仕上がり、濃いめの汁がいかにも食欲をそそる。


やはり、一度は試すべきお店だと感じた。
御馳走様でした。



春風萬里荘  笠間市茨城県

2014-10-01 21:37:30 | 古民家、庭園
もともとは厚木郊外の江戸中期の大庄屋の古民家である。


それを北大路魯山人が、北鎌倉に住居として移築したものである。
それを魯山人の死後、日動画廊が笠間の地に更に移築した。昭和40年のことである。


春風萬里荘の周囲は日本庭園が造園され、長屋門も移築された。
それにより、その昔の星岡茶寮を訪ねるような体験をする事ができる。




長屋門を潜り、池に向かう石段を下りながら庭木越しに母屋が見えて来る。




母屋の内部は写真撮影は禁じられている。しかし、母屋から庭を眺める角度は撮影可能だった。
魯山人が設計した夢境庵の姿、なんとか茶庭越しにとらえる事ができた。




夢境庵から眺めた茶庭。




母屋の北側には、かっちりとした石庭が作庭されている。