蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

「へしこ」はすごい

2007-05-10 22:37:42 | 日本料理
蕎麦屋横町を味わった日の晩、たつやさんに魚の美味しいお店に案内していただきました。
本当に新鮮な魚のお造り(特に蝦にイカ、そして鰤は絶品)、ゲンギョの焼き物(すごく珍しいものです)、アマダイの焼き物、烏賊の煮物と珍味が並びます。
しかし、これはやられた!という一品が。それは、へしこ。「へしこ」は鯖を多目の塩と粕漬けにしたもの、なのだが、その実態は驚くほどの差がある。東京で「へしこ」を求めようとしても、ドライサラミソーセージのような、乾燥しきったものしかないのだ。確かに、旨みは凝縮しているが、酒で戻すにしても噛み続けるのには違和感がある。
ところが、こちらの「へしこ」は驚くほど、生なのだ。まるで、塩焼きのように箸に従い、(多分)醗酵した香りは怪しいほど。燻製のようなガチガチした歯ざわりはどこにも無い。そしてその香りが食欲を沸きたてる。


箸でふれれば、生鮭のような感じで身がほぐれるし、漬け込んだ香りがなんとも力強い。酒を飲みに行ったはずの四人が、全員ご飯をもらってしまった。お酒を飲みに来たんでしょうに?なんておばちゃんに、叱られたが後悔まるでなし。
あの「へしこ」、もう一度食べられるのなら、何物にも代えがたし・・・。


それでも、岩牡蠣は印象的だった。


蕎麦も、さすが。こちらのお店スペシャル。敷居の低い、洗練のお店です。


鯖江市  つつじ祭蕎麦屋横町

2007-05-09 22:04:23 | 蕎麦
鯖江市の中心近くに西山公園がある。つつじの名所で、五月の連休辺りが、ちょうど盛りらしい。それに合わせて、鯖江市では、つつじ祭が行われる。これは、なかなか大きなイベントで、福井テレビのニュースにも出てしまうくらいなものだ。

 
公園だけではなく、誠照寺近くの道路も会場となり、いろいろな屋台が建ち並ぶ。
その一画が、蕎麦屋横町。「たつや」さんプロデュースで、今年が初めてのイベントだ。


からっと晴れた青空の下、そばのノボリがみえる。蕎麦屋横町は、普通のお店がテントに出店しているのではない。蕎麦打ちコンテストの第9代名人や、福井各地のそば道場など、普段はお店を出していない方々が、このイベントの時だけ、仮設の店を出されるのだ。普通には食べるのも大変な蕎麦が並んでいる、なんて素晴らしい企画だ。たつやさんから、この話を聞いたとき、往復1000キロを走っても、行くしかないと確信した。








昼時で、お客さんは次々と来る。各店とも、次々と追い打ちで忙しそう。それにしても、このイベントは、水道水の美味しい町でしか出来ない。火を持ち込むのは比較的容易だが、水は大変だ。






おろし蕎麦のスタイルでも、蕎麦の太さ、薬味など随分違いが出るものだ。それぞれ、主張のある打ち手を集めたイベントは、流石である。

標準的越前おろし蕎麦

2007-05-08 23:50:18 | 蕎麦
福井駅に到着したのは8時も過ぎていて、駅前の繁華街も灯りが消えたお店が多い。歩き回って疲れてもいるし、肩の凝る名店はやめて、近くの手ごろな店に入ろうと思ったのだが、それにしてもマクドではね。いつもそうなのだが、疲れていても結構お店を探して歩いてしまうのだ。
やがて蕎麦屋さんを発見。客層はファミリーとカップルが半々か。セット物や、丼物を頼んでいる人が多い。ちょうど好都合だ。


お酒を頼んでいる人が妙に少ないのは気になったが、喉も渇いていることだし、そばの実とろろにビールを注文。そばの実とろろは、中々の味。侮りがたい。


調子に乗って、てんぷら盛り合わせに冷酒まで行ってしまった。油気無しの昼食だったので、とても美味に感じられた。


締めは、越前おろし蕎麦。蕎麦は、中皿に盛られ、薬味の大根おろしにネギ、かつお節がつきもの(今回の福井旅行でこの3点の薬味が付いていないおろし蕎麦は一杯もなかった)。これに、出汁または生醤油をかけて食べるのだ。


越前おろし蕎麦は、性質として
・大根おろしの辛味が効いていて、少なくとも「もり」でベタ甘い汁が出てきた場合のような、甘さ過剰な蕎麦にはならない。
・冷たかけ、の系統なので、「もり」のようなつけ蕎麦の系統よりも汁はさっぱりとした感じになる。ただし、その分蕎麦だけを純粋に味わうような(例えば、塩をつけて食べる蕎麦とか、水蕎麦とか)物にはならない。
・載せる皿が比較的小ぶりで、一杯のお値段も「もり」より安い。蕎麦屋のはしごをするには、うってつけである。
・かつお節(それも厚削りが多い)が載るので、滋味は豊かである。
という所だろうか。
一般的な「もり」に較べると、安定して美味しい蕎麦が食べられるが、蕎麦の差が出にくいのでは、と思われる。ところが、いやいや、越前おろし蕎麦もバラエティーが実に豊かである。一軒一軒、まあ本当に違う蕎麦を出すのだ、ということを直に認識する事になるのであった。

福井県  丸岡城

2007-05-07 20:51:03 | 古民家、庭園
丸岡城は、日本最古の木造城郭建築である。つまり、石垣を築いただけの砦のようなものは除き、一応それらしい屋根のある天守閣付きの城としては最古のものである、という事だ。


日本の多くの城郭は、関ヶ原の決戦の時、または明治維新の廃藩置県に伴い姿を消したものが多い。また、江戸城のように、その間の火事で失われたものもある。それらの危機を乗り越えて現存する城郭は、ごく限られる。


しかし、この丸岡城は実際に見てみると、何となく生き残った理由が分かるような感じがする。
まず、城郭としての規模が非常に小さい。これくらいの規模の城を守る軍勢なら、関ヶ原で東軍につこうが、西軍につこうが、大勢に影響は無かったように感じる。
明治維新の廃藩置県のときも、近くに悲劇的な最後を遂げた城がいろいろあるのだから、という理由で、城郭の取り壊しを免れたとしても、不思議はないように感じる。また、この地は永平寺がそびえる「信仰の地」であり、それも何か影響したような気もする。
そうやって明治維新をのりきり、さらには第二次大戦敗戦直前の福井空襲さえも逃れた丸岡城だが、敗戦の3年後に福井大震災であっさりと倒壊してしまう。現在の天守閣はそれを再建したもので、確か古材の使用率は70%と記されていた。それ程、高くはないのだ。


再建後は、一時公民館の分館として使われたと、記してあったと記憶しているが、これは実に不向きである。天守閣という建物は、一層ずつ急傾斜の梯子段でよじ登るようなものなので、子供や老人も使う可能性のある施設としては、最悪である。おそらく、戦後直ぐの極端な政策への対抗手段だったのであろう。どの時代、どの地域にも、頭の働くひとはいる、というように感じた。

福井県丸岡町  坪川家

2007-05-06 22:11:59 | 古民家、庭園
北陸自動車道の丸岡インターを降りて、県道を東に回り込む。辺りは、田植えの真っ盛りだ。金元で、そういう平らな風景を離れ、国道364号線をどんどん登っていく。福井は、道がいいのと、表示が親切なのが助かる。古民家なんてのは相手にしないよ、という感じで、すぐ近くに行くまで一切案内表示の無い県もあるのだが、少なくとも坪川家に関しては、ちゃんとした表示がインターすぐの所から立っている。
高速道路を長時間走ってきたせいか、速度感覚が少しおかしい。結構なペースで走ってしまう。5分といわず、3分も走れば非常にのどかな世界になる。地図の上では、そこそこの距離が有りそうに見えたのだが、あっという間に到着してしまった。
駐車場には大型バス用のスペースもあり、訪れる人も多いのだろうが、9時開館のところを9時5分についたので、辺りに人気はない。受付の係の人をインターフォンで呼び立ててしまった。




坪川家の建築年代は、はっきり分かってはいないが、中世末期といわれる、福井で一番古い民家のようだ。


屋根は、吹き直した直後で、非常に状態がよい。これだけ重厚な造りをしているのだから、かなりの各の家であることが伺える。この地区が丸岡町に併合されるまでは、代々村長を勤めた家だという。

自然の材の曲を生かした柱は、非常に巧みなものだ。但し、内部は撮影禁止なので、写真はなし。

囲炉裏には、屋根を虫から守るため、火が入っていた。その囲炉裏端でお茶をいただいていると、なんともゆったりとした気分になる。


裏山の湧き水を今日も台所に引き、流しには水があふれている。




坪川家の裏は、江戸初期に作られた回遊式庭園になっている。こちらは苔の保護のために回遊することはできなかったが、裏山の緑を借景として、素朴な石組みが美しい。


庭園は、裏山との間のごく限られた平地に作られている。




朝早くの見学だったので、裏山の蔭がまだ屋根にかかっている。最初の写真と較べると、時間の経過がわかる。


伝統ある日本の原風景だろう。

妙高市  野菜販売所「トマト」

2007-05-01 18:34:04 | 蕎麦
国道沿いに、地物野菜を販売しているお店があるのだが、その一画に食堂があり、ラーメンやらトンカツやら、いろいろなものが食べられる。そのメニューの中に、十割蕎麦があるのだ。


さすが、蕎麦の産地妙高。蕎麦の上には、地物と思われる浅葱も載る。蕎麦の下には、笹の葉。笹寿司で有名だけある。


汁は薄めで、蕎麦を全部つけるような食べ方が合いそう。そうしても、蕎麦の香りは汁に負けたりはしない。


風は強かったが、よく晴れていて、山がくっきりと見えた。