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性のグラデーションを楽しむ~岸野令子(映画パブリシスト)

2008年11月30日 | 書評・紹介記事

『聞きたい 知りたい 性的マイノリティ』の書評を映画パブリシストの岸野令子さんよりいただきました。ありがとうございました。

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 NHK教育TVの「ハートをつなごう」で〈LGBT〉を特集した番組が作られたことを知って、ようやくNHKもここまでの番組はできるようになったのだなあ、と思った。性的マイノリティ、その多様性を知らせることで、悩んでいる人が、悩まなくても良いんだと思うようになるという働きとともに、自分は関係ないと思っている人にも、もう一度自分の性的アイデンティティはどういうものか考える契機になると思う。

 自分に則して言えば、最近の私は、男性のオスの部分に全く興味も魅力も感じないのであるが、かといって、友だちの男性は必要ないとまでは思っていない。女性の友だちはたくさんいるが、性的な親密性は求めていない、という状態である。さて、私はレズビアンか、異性愛者か、はたまた両性愛者か。結論を言えば、なんでもいいのである。人がどう見ようと私は私でしかない。自分を分類し定義づけることはないのだ。そういう性のグラデーション状況をむしろ楽しんでいる。

 ファッションもその時々で〈女〉に見える服、〈男〉に見える服、どちらかわからない(相手を困らせる)服を着る。年齢も不詳の服が好き。

 そんな私なので、杉山貴士編『聞きたい 知りたい 性的マイノリティ つながりあえる社会のために』を興味深く読んだ。
 杉山さんは同性愛者で兵庫民医連職員。この本は、最後の人権といわれている性的マイノリティの人権についての理解を深めてもらうために編まれたもの。人権問題として位置付け性的マイノリティの権利を守ることを政策として発表している日本共産党の人と支持者たちがこもごも語っている。まだまだ民主勢力と言われ、人権意識の高い人たちの中でも〈性〉に関することが俎上にのぼると、ためらいや戸惑いがあることを踏まえ、そのような活動家に読んでもらいたいと書かれたものだ。

 なるほど、これは、共産党関係の人への手引きにもなろうが、一般人にも面白くてためになる内容だ。性的マイノリティを自認している人たちの日本共産党への偏見を除く役割も果たすのではないか。政治的マイノリティ(ごめんね)共産党であるからこそ、すべてのマイノリティの思いを掬い上げ、国と対峙して権利擁護するのだ、という点をもっとアピールしたっていいんじゃないかと思う。オススメします。

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